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时间との闘い!消えゆく言语の保存に挑む

Discover the Research Vol.7 人文科学研究院 准教授 中川 奈津子(なかがわ なつこ)

地元の言叶が失われつつある今。人文科学研究院の中川奈津子先生は、言语の记録や保存活动を行い、その背后にある法则を探る研究を进めています。さらに、デジタル技术を使い、地域の方々と协力して言语と文化の継承にも取り组んでいます。中川先生に、言语学と人文情报学の魅力について伺いました。

言叶に隠された法则を探って

先生の研究内容を教えてください。

日本の方言について研究しています。日本で话されている言叶を満遍なく扱いたいですけど、今は东北地方の南部方言や、琉球诸语、特に八重山语を中心に调査を进めています。

方言研究には、発音、文法、语汇の调査など、多岐にわたる侧面がありますが、私は主に文法と発音に焦点を当てています。言叶がどのように生まれ、使われ、変化していくのかという仕组みに関心があります。现在、名词に付く助词(「私は」の「は」や「私が」の「が」など)に関する研究に取り组んでいます。

「琉球诸语」とはなんでしょうか?

研究室にある琉球诸语の辞书

冲縄と奄美で使われる言叶のことです。その中には八重山语や宫古语、与那国语といった南琉球の言语や、冲縄本岛の言语など北琉球に属するものが含まれます。

琉球の言葉は非常に多様で、島ごとに単語、文法、イントネーションに大きな違いが見られることも珍しくありません。そのため「琉球語」ではなく「琉球諸語」と複数あることを強調しています。島々の地域差が著しく、且つ日本语と大きな違いがあるので、私たち言語学者は、琉球の言葉を「方言」よりも「言語」として扱うべきだと考えています。

研究室にある琉球诸语の辞书

日本の方言とどれほど违いがありますか?

お互いに理解できないほど大きな违いがあります。(笑)

例えば、私は今、竹富島という南琉球の島で研究しています。現地で使われる言葉は方言で「テードゥンムニ」と呼びます。「テードゥン」は「竹富」、「ムニ」は「言葉」という意味です。また、「ん」や「っ」のような小さい「つ」で始まる発音があり、これは日本语では見られない発音の一つです。

なぜ琉球诸语の研究に兴味を持ったのですか?

まず、島が好きだということが大きいです。そして、日本语の古典には存在していたものの、現在では失われてしまった「係り結び」のような文法現象が、南琉球にはまだ残っていて、これについて詳しく調べてみたいと思っています。

どのように研究を进めていますか?

地元住民の语り継ぐ民话を闻く

これまでの研究は、言語学の伝統的な手法に従って行ってきました。具体的には、日本の各地域に行って、「この日本语は方言でどのように言いますか?」といった質問を準備し、カメラを設置して録音や録画を行っています。

言语の知识って、自転车の乗り方に似ていて、方言を话す人がその言语の知识を持っているはずですが、説明するのが难しいですね。そこで、地元の方々に闻くときに、文脉をいろいろ考えながら、「こういう状况でこの言叶は使えますか?使えませんか?」という形で质问を重ねていきます。そのプロセスを通じて仮説を立て、话し手が持つ知识を少しずつ明らかにし、そこから地域の文法、语汇、発音を比较分析します。

しかし、最近では少し异なるアプローチも取り入れたいと考えています。地域の方々に自由に话してもらい、その方が生きてきた中で印象に残った出来事や语りたいことを记録することに重きを置いた方法に転换していこうと思っています。

地元住民の语り継ぐ民话を闻く

方言の未来を守るために

ユネスコの报告によると、八重山语は消灭の危机にありますね。

竹富岛の集落、人口は约360人

八重山语は消灭危机言语の「重大な危険」と分类されました。ユネスコの危机言语の判断基準によれば、言语が若い世代に引き継がれているかが重要な基準の1つです。八重山语を含む琉球诸语、および日本本土の方言も、ほとんど若い世代によって使われなくなり、消灭の危机に濒しています。

琉球諸語に関して言えば、赤ちゃんに話しかける際には日本语が使われるのが一般的で、日常的に地元の言葉を話しているのは主に70、80代以上の方々です。このままでは、年配の話者がいなくなると、若い世代は日本语しか話せなくなる可能性があります。加えて、新聞やテレビなどのメディアの影響で方言に触れる機会や、その言語で教育を受ける機会が限られていることも、状況を悪化させています。

一方で、闻いて理解できる人々はまだ多く存在し、新たに方言を学び始めている人々もいるため、すぐに完全に消灭には至らないだろうと楽観的な见方もあります。

竹富岛の集落、人口は约360人

方言の未来を守るために、どのような活动に取り组んでいますか?

言语学者として「日常的に方言を使い続けなさい」と言うことは难しいですが、话す机会が増えればいいなと思います。研究と并行して、これまで他の研究者やイラストレーターと一绪に、民话をもとにした作品や絵本を制作しました。また、朗読会を行うなどして地域で活跃されている方々と协力し、文化の継承を目指す活动も进めています。

しかし、最も重要なのは、何と言っても地元の方々のご尽力です。例えば、竹富岛ではこれまでテードゥンムニ大会(しまことば大会)を50回以上も开催し、保育所児から中学3年生まで、みんな一生悬命练习しているおかげで、皆さんテードゥンムニが上手です。そこから地元の方々の文化を残そうという热意をすごく感じています。

なぜ方言を研究し、守る必要があるのですか?

中川研究室にある「しぃさぶむに」(八重山白保で话されている言叶)カレンダー

方言は、その地域の文化や歴史、そして人々の知恵が詰まった贵重な财产です。私は関西方言を话しますが、もし自分の言叶がなくなったらどうなるだろうと考えると、自分らしさの一部が失われてしまうような気がします。自分が话している言叶を谁にも马鹿にされずに使えること、自分らしくいられるために言叶を话し続けられることが大事なことだと思います。

さらに、话したいと思ったときに、その言叶を学び直せる资料や记録がきちんと残っていることも必要です。未来の世代が、自分の言叶を通じて地域の文化に触れられるようにするためにも、方言の研究と保存は欠かせないと考えています。

中川研究室にある「しぃさぶむに」(八重山白保で话されている言叶)カレンダー

言叶とデジタル技术で社会を结ぶ

デジタルヒューマニティーズという言叶を耳にしましたが、少し详しくお闻かせいただけますか?

日本语では「デジタル人文学」や「人文情報学」と訳されることがあります。要するに、デジタル技術を活用して、人文学的な問いに基づいた研究を行うことです。

例えば、私が取り组んでいる言语学の研究では、デジタルデータを扱うことが大前提になります。録音をするところから始まり、その音声を文字に书き起こし、翻訳をつけるといったプロセスの最初から最后まで、すべてデジタル技术を活用して进めています。

技术革新により、言语の研究はどう変わりましたか?

大量のデータを効率的に扱えるようになりました。言语データを一つずつ目で确认して探すのは非常に时间がかかりましたが、今は言语データが200时间あったとしても、特定の言语表现を抽出するのが简単になりました。

また、データを分析する际には、例えば、名词が「生き物」なのか「生き物じゃない」のか、いろんな情报を付与する、いわゆるアノテーションが必要になります。近年急速に进化している础滨技术は、このアノテーション作业を大きく手伝ってくれます。

さらに、一般の人々にとっても、崩し字の资料や外国语の论文といった、これまで専门家にしか理解できなかったものが、生成础滨の力を借りることである程度読めるようになっています。学习者にとっても、これらの情报がよりアクセスしやすくなり、学びの机会が広がっています。

人文情报连係学府(2025年4月开设)

九州大学にが新たに开设されますね。先生は学生たちにどのような人材に成长してほしいですか?

人文情报连係学府(2025年4月开设)

2025年の4月に人文情报连係学府が開設される予定です。人文学的な問いを持ちつつ、デジタル技術を学んでみたいという学生さんを募集しています。

ただ、「社会に役立つ人材にならなきゃ」というふうに思ってほしくないです(笑)。そういう考え方では、あまり社会全体の幸せは増えないんじゃないかなと思います。それよりも、自分らしく、「これがやりたい」と思うことを楽しく勉强できたり、行动できたりっていうのが幸せになると思います。

今后の研究の展望について教えてください。

方言を研究していますけど、歴史とか、文化人类学の人とか、情报学とか、いろんな人と、一绪に研究できたらいいなと思います。

最近は础滨を使って言语の仕组みを解明したいという気持ちが涌いてきました。特に、生成础滨がどうしてあんなに上手に「喋れる」のかがとても不思议で、それを调べてみたいと思っています。

また、言语学の研究に戻ると、地域の方々を巻き込みながら、地域の方々の証言を集め、その地域の歴史や文化をもっと记録したいです。その上で、デジタル技术を活用して、集めたデータを地域の方々に还元したいと考えています。それを地域の财产として残していけるようにしたいですね。

最后に、进路に悩む中高生に何かひと言いただけますか?

自分の兴味のあることをぜひ见つけて、探求していくのがいいんじゃないかなと思います!

中川先生の研究の详细については、をご覧ください。