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免疫システムを作ろう

澤 新一郎教授

澤 新一郎
教授
生体防御医学研究所 附属システム免疫学統合研究センター 粘膜防御学分野
専门分野
免疫学

疫システムは私たちの体の中で最も复雑で入り组んだ细胞组织の一つです。物理的、化学的、そして遗伝的に、何重にも张り巡らされたバリアで、あらゆる种类の病気から私たちを守っているのですから、それも当然でしょう。

免疫システムは体内にある他の仕组みと同様に、一つの细胞から构成されています。细胞は分裂し、组织を形成し、気の远くなるほど复雑な分子経路を経て、私たちの身体を形作ります。九州大学生体防御医学研究所の泽新一郎教授の専门领域は、免疫システムのような重要なものがどのようなプロセスを経て构筑されるのかを解き明かすことです。

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免疫システムを构成する复雑な分子と遗伝経路解明の研究について説明する泽教授

「私たちを守ってくれる素晴らしい免疫システムですが、多くの可动部分と関わっていることから、その机能不全は多くの病気を引き起こすことがあります。例えば、アレルギーは免疫システムが特定の物质に対して过剰反応することにより生じ、関节炎は免疫システムが関节を攻撃することによって起こります。1型糖尿病は免疫システムが膵臓のインスリンを生成する细胞を攻撃することで引き起こされます」と泽教授は话します。

「こうした病気が引き起こされる原因を理解する一つの方法は、免疫システムのそもそもの仕组みを解き明かすことです。免疫システムの仕组みと病気が発症する原因の间には深い関係性があります。ある物の仕组みを理解することは、それがどのように壊れるのかを理解する上で重要な键となります」。

泽教授の研究室では骨髄とリンパ节の2种类の免疫组织の产生に焦点を当てています。
リンパ節は身体中に張り巡らされた器官で 、病原体を捉える濾過器の役割を果たし、身体が感染症と闘う準備を整えます。骨髄は骨の中心にある組織で、免疫細胞や赤血球を含む血液細胞を作り出す造血というプロセスを担う工場です。最近では、澤教授の研究チームは骨髄がどのように形成されるかを調査し、細胞や分子の役割を特定しようとしています。

「骨髄が作り出される过程は非常に兴味深いものです。発达段阶にある骨は中に空洞のない固体ですが、やがて破骨细胞と呼ばれる细胞が现れ、骨の中心をくり抜き骨髄を构成するのです」と泽教授は説明します。「破骨细胞は大人の骨再形成でも中心的役割を果たします。私の研究室ではこの破骨细胞がどこからやってくるのかを解き明かそうとしています」。

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免疫染色した一连の细胞のスライドサンプルを観察する泽教授

泽教授によれば、彼の研究チームは、骨髄产生の初期の段阶において破骨细胞の役割をガイドする细胞を発见したといいます。それら细胞の机能を明らかにすることは、大理石骨病のような骨の病気や、免疫细胞产生部位の形成についてより深い理解に繋がるかもしれません。

泽教授のもう一つの研究対象であるリンパ节の产生では、顿狈础そのものの产生过程における変化を直接観察しています。

「私たちが注目している重要な転写因子には、顿狈础に结合して転写を促进あるいは抑制するタンパク质があります。生物の成长において転写因子がどう机能するかが细胞の运命を大きく左右するのです」と泽教授は目を辉かせます。「近年、研究者たちは転写因子の作用の仕组みを理解するために、転写因子が结合する顿狈础のより正确な箇所、より正确な结合の仕组みを调べています。私たちの研究室ではリンパ节と罢细胞の产生に関する重要な転写因子であり、炎症性肠疾患のような疾患にも関係のある搁翱搁?迟について研究しています」。

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学生と共に直近のサンプルを観察する泽教授

泽教授の研究チームの最近の研究により搁翱搁?迟が顿狈础に结合して产生を诱発する新たなメカニズムが明らかになりました。

「この発见が次の発见の波を引き起こし、その次の波へと连なり、そうして无限に続いていきます。それぞれの段阶における正确なタイミングや仕组みを明らかにすることで、免疫システム构筑の全体像の解明に近づくことができます」と泽教授は言います。

免疫システムの仕组みの解明は决して容易なことではなく、その起源を明らかにすることは困难を极めるでしょう。

「免疫システムの基础は生后约6ヶ月で构筑されますが、それがどのように构筑されるかは、人の一生を左右します」と泽教授は结论づけます。「免疫システムがそれ自身、そして人の身体のバランスを保っている様は、惊き以外の何者でもありません」。

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