磁场から地球と太阳系の起源に迫る
磁场から地球と太阳系の起源に迫る
2020/09/11
动画作成者
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高桥太
准教授
理学研究院地球惑星科学部门
専门分野
地球惑星内部電磁気学 月惑星探査
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地球磁场は私たちに方角を教えてくれるだけでなく、太阳から恒常的に飞んでくる有害な高エネルギー粒子である「太阳风」から大気を守り、かつ、轨道上にある人工卫星への干渉を防いでいる重要な自然环境です。このバリアがなければ、地球上の生命は危険にさらされ、私たちの暮らしに必要な电子システムは大混乱してしまいます。
「地球磁場は見たり感じたりすることができないため、見過ごしてしまいがちですが、私たちの現代的な生活に深く関わっています」と、九州大学理学研究院の高桥太准教授は指摘します。「さらに、地球磁場は時間的に一定ではないので、その変動を予測することは、私たちの日常生活を支える上で非常に重要です」。
高桥准教授の研究グループは、地球や他の惑星、卫星の磁场を调べることで、天体の起源と进化のメカニズムを解き明かそうとしています。磁场から得られる情报は、ナビゲーションシステムなど电子机器に関わる磁场変动の予测にとって重要なだけでなく、幅広い可能性を秘めています。
惑星や卫星の中心部から発生する磁场は、その内部构造や天体の生い立ちについての重要な情报を持っています。高桥准教授は理论に基づくシミュレーションと観测による実証に基づいて、太阳系全体に渡る谜に迫ろうとしているのです。
例えば地球の場合、地球磁場は地下約2,900 km、地球中心部にある厚さ約2,200 kmの層「外核」に由来し、高温で液体状となった鉄の対流による発電作用(ダイナモ)によって生成されています。高橋准教授の初期の研究成果として、2005年、当時世界最高の解像度で地球のダイナモの数値シミュレーションを発表しました。
以来、高桥准教授は地球のダイナモへの理解をさらに深めると共に、太阳系をより理解するための新たな知见を得るために、他の惑星や卫星の研究を进めています。宇宙航空研究开発机构(闯础齿础)の月探査机「かぐや」とアメリカ航空宇宙局(狈础厂础)の「ルナ?プロスペクター」による月磁気异常の観测データの解析から、月には过去に磁场を生成するダイナモが存在していた証拠を示しました。さらに、月の自転轴の向きが现在とは异なっていたことを発见しました。
「これは、月の歴史のどこかのタイミングで、月の自転轴に剧的な変化があったことを示しており、月の起源と进化を探る上で、新たな见解をもたらします」と高桥准教授は説明します。
最近では、地球磁场と大きく异なる水星磁场の発生メカニズムを明らかにしました。高桥准教授は、メッセンジャー探査机が観测した水星の特异な磁场构造を、中心核内部の热化学的状态を考虑することで再现しました。この研究成果は、水星についての理解を深めただけでなく、人工卫星のデータが、惑星の秘密を解き明かしダイナモ理论を発展させる上で、いかに重要かを示しています。
人工卫星によるデータ収集において、高桥准教授は、かぐやの月探査ミッションに磁力计の开発?较正担当として参加した経験を持っています。月の磁场を正确に测るためには、他の机器からの干渉を避けなければなりません。闯础齿础、部品メーカー、多くの研究者たちと协力して、各部品レベルで彻底的に开発やテストを重ね、卫星全体の设计と、磁场観测に最适な设计の両立を図りました。
「卫星探査ミッションは、多様なバックグラウンドを持つ、たくさんの人たちとの共同作业の上に成り立っているということを、忘れてはいけません。このプロジェクトを通じて多くの机会と时运に恵まれるなどして、研究が轨道に乗り、今日の私に繋がっていると思います」と、振り返る高桥准教授。
高桥准教授の研究グループは、磁场を通じて太阳系についてさらに探求すると共に、私たちの住む地球がいかにユニークで特别な惑星であるかを知るべく、研究を进めていきたいと考えています。