伊人直播app 九州大学について
このたび、九州大学大学院に入学される皆さん、诚におめでとうございます。九州大学教职员を代表して心よりお祝い申し上げます。九州大学の学部から进学して来られた方、他大学や社会人から入学して来られた方など色々な方がおられます。新たな気持ちで今日を迎えられたと思います。また、今日まで长きにわたって皆さんの勉学と生活を支え、励ましてこられたご家族や関係者の皆様にも心からお庆び申し上げます。
今年度の大学院入学生の数は2,496名です。そのうち、博士课程556名、修士课程1,813名、専门职课程127名です。男子1,889名、女子607名で女子が24.3%になります。また、外国人留学生は31ヶ国 392名15.7%です。
ところで、皆さんがいるこの椎木讲堂ですが、3年前に完成し、ここで入学式が行われるようになりました。椎木讲堂は九州大学の創立百周年記念事業にご賛同を頂き、世界で活躍し、社会に役立つ人材育成を願って、椎木正和様のご厚意により、できたものであります。このホールは約3,000名を収容でき、この講堂で入学式を挙行できますことを大変喜ばしく思います。
さて、皆さんがこれから过ごす九州大学の歴史と现状についてご绍介したいと思います。1903年(明治36年)今から114年前に京都帝国大学福冈医科大学が设置されました。その8年后の1911年(明治44年)に工科大学が设置され、医科大学と工科大学が一绪になり、九州帝国大学の歩みがスタートしました。日本で4番目にできた国立大学です。初代総长は、山川健次郎氏でありました。“修养が広くなければ完全な士と云う可からず”という言叶を残しておられます。
以来、学部等の増设、2003年(平成15年)九州芸术工科大学との统合、2004年(平成16年)大学法人化などを経て现在に至っています。
九州大学は現在、11の学部と21世紀プログラム、16の大学院研究院、18の大学院学府、4つの専門職大学院、そして高等研究院、基干教育院、5つの研究所及び最先端の医療を提供する国内最大級の大学病院、420万冊余りの蔵書を誇る図书馆などを擁する我が国屈指の基幹総合大学として発展を続けています。
現在の学生数は、学部学生11,758名、大学院生6,901名、合計18,659名、教職員8,024名、総合計26,683名の大きな組織です。土地面積は、箱崎キャンパス、病院キャンパス、筑紫キャンパス、大桥キャンパスそして伊都キャンパス、附属農場、4つの演習林などを合わせて合計76km2であり、日本で3番目に広い敷地を持つ大学です。
次にこの伊都キャンパスを紹介します。この伊都キャンパスは、古来より大陸文化を取り入れた伊都の国としての歴史ある场所であります。豊かな自然環境に恵まれた丘陵地で、東西3km、南北2.5kmの広大な敷地です。伊都キャンパスの建設にあたっては自然環境に配慮し、生物多様性の保全に努め、古墳などの貴重な文化財の保存に可能な限りの工夫と努力がされてきています。近くには糸島のきれいな海岸線や田園が広がっております。福岡市の中心部からは離れてはいますが、勉学や研究にいそしむ素晴らしい環境です。
この伊都キャンパスは、平成17年秋に工学系の第一陣が箱崎から移転して開校以来、12年が経過しました。伊都キャンパスの整備は着実に進んでおります。第1ステージから、第2ステージを経て、現在最終の第3ステージであります。残りは新中央図书馆、人文社会学系及び農学系の建物です。最近出来た建物として椎木讲堂、カーボンニュートラル?エネルギー国際研究所、センター3号館、一昨年10月に完成した理学系総合教育研究棟などがあります。基干教育院の建物、九大ゲートブリッジ、寄宿舎のドミトリーⅢ、留学生と日本人の混住する伊都協奏館なども出来ています。学生の寄宿舎としては合計約1,000名入れるようになりました。
椎木讲堂隣の現在建設中の新中央図书馆は昨年10月に一部開館し、来年10月に全面開館します。また、伊都図书馆は、平成28年4月に地下1階~地上3階までの全館オープンの図书馆となっています。
今后の整备予定としては、农学系総合教育研究栋があります。一昨年12月に安全祈愿祭を行い、来年1月の完成に向けて建设が进んでおります。人文社会科学系の総合教育研究栋は、来年2月には完成します。一年半后には移転がほぼ完了し、素晴らしい充実したキャンパスになります。また、大学として福冈市や糸岛市と协力し、皆さんが生活しやすいように、交通や生活环境を整备していくことにしています。
九州大学のその他のキャンパスとして病院地区、大桥地区、筑紫地区のキャンパスがあります。これらのキャンパスもさらに整备し、充実していく予定です。箱崎キャンパスは现在跡地利用计画や売却に向けて福冈市や地域住民との协议を行っています。医歯薬系研究院や芸术工学研究院の皆さんは、これらのキャンパスで研究を行うことになります。
次に九州大学の基本理念について述べたいと思います。2011年の创立百周年を记念して、新たな百年に向けて、「跃进百大」、すなわち、すべての分野において世界のトップ百大学に跃进する、というスローガンを掲げ、基本理念は「自律的に改革を続け,教育の质を国际的に保証するとともに、常に未来の课题に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点となる」としています。
私は、2年半前に総长に就任しました。大学の主な役割は、研究、教育、社会贡献です。一昨年10月には今后の大学の活动指针となる「アクションプラン2015-2020」を策定しました。6つの项目があります。
であります。この実现に向けて教职员や学生の皆さんと一绪に努力していきたいと思います。
これからの大学院生活を送るにあたり、皆さんに3つのことを心にとめていただきたいと思います。一つ目は一流の研究を目指すこと、二つ目は、グローバルな视野、叁つ目は社会の课题への挑戦です。
大学院では、これまでの学士课程で身につけた幅広い知识、教养、技术をもとに、より専门的な知识や技术を习得し、専门性を深化させていきます。彻底した実験、调査、観察を通して新たな真実を导くという研究の感动を味わってほしいと愿っています。素晴らしい研究は头脳が柔らかい若い时代の研究が元になっています。是非一流の研究を目指してください。
私の留学した時の経験をお話したいと思います。アメリカのオクラホマ医学研究所で1982年から2年間、栄養と免疫?老化についての研究をしました。指導教授はRobert A Goodという著明な免疫学者でした。先生はニューヨークのスローンケッタリングがん研究所から引っ越してきたばかりの時でしたので、設備があまり整っていませんでした。私は、研究設備を見てどのようなことができるかを考えて研究計画を教授に持っていきました。私の研究計画に対して、先生は“この研究計画では不十分である、設備や研究費などは自分が考えるから、本当にやりたい一流の研究計画に作り直すように”と言われました。私は、これまでの関連する研究について改めて勉強し研究計画を立て、やっと先生にOKをもらった次第です。まず一流の研究を目指すことの重要性を痛感しました。
大学院生时代の特権は、自分の时间が十分に使えることにあると思います。研究の魅力、学问を创る喜び、学会発表、先生や仲间との交流などを体験してください。
昨年の研究でのトピックスとして、6月に理学研究院?森田浩介教授の研究グループが発见した113番元素の名前としてニホニウムがパブリックレビューとして提案されました。11月には、113番元素名が「ニホニウム」、元素记号が「狈丑」に正式决定しました。
また、医学研究院の林克彦教授による组织由来の颈笔厂细胞から、培养皿上で卵子を作製することに成功したことが挙げられます。
二つ目はグローバルな視野を持つことです。インターネットの普及、経済や人の交流のボーダーレス化、企業の国際化、などがあり、皆さんは今後、グローバル化社会を生きていかなければなりません。自国の文化や歴史を知り、自分の考え方を国際社会で主張出来る論理的思考力、積極的姿勢や発信出来る語学力を兼ね備えることです。そのための近道は海外留学体験、国際学会での発表や外国人との交流です。九州大学にはグローバル人材育成のためのプログラムがあります。スーパーグローバル大学創成支援事業、博士课程教育リーディングプログラム等があり、皆さんの中にはこれらのプログラムを受ける人もいると思います。
海外留学制度は九州大学基金を利用する制度、短期留学体験制度、九州大学カリフォルニアオフィスを活用した「ロバートファン?アントレプレナーシップ?プログラム」、「トビタテ!留学闯础笔础狈」などがあります。こうしたプログラムを积极的に活用し、世界に飞び出していただきたいと思います。若いうちに留学体験することにより、学生の皆さんは考え方や视野が大きく変わります。
また、九州大学は国际化を进めていますが、世界97カ国?地域から2,300名を超える外国人留学生がいます。九州大学の中も多様性豊かな国际キャンパスであります。留学生と日常的に切磋琢磨し交流することで、国际的な视野を身につけ、世界の舞台で指导的役割を担うグローバル人材に育つと思います。
叁つ目は社会の课题への挑戦です。科学技术の进歩は、日常生活の便利さや快适さで恩恵をもたらしています。しかし、一方、环境汚染、地球温暖化、エネルギー问题、食料?水问题、宗教?民族问题など、地球规模の课题に直面しています。また、我が国特有の课题として、世界に类を见ない少子高齢化、厳しい财政状况などがあります。どうかこれらの社会の课题に果敢に挑戦するような研究も行ってください。
以上、皆さんの心にとめておいていただきたいことは、一流の研究を目指すこと、グローバルな视野、社会の课题への挑戦の叁つです。
九州大学は皆さんが持っているさまざまな可能性を大きく成长させてくれる 素晴らしい人材と环境に恵まれています。これらを最大限に生かして、大学での知的な生活、社会的な生活に积极的、能动的に関わってもらうことを愿っています。大学院修了后、皆さんがどの道に进まれようとも大学院时代に経験した高度な问题解决の実绩は皆さんの宝となります。皆さんが新たな発见や体験をして大きく成长され、実り多い大学院生活になることを心から愿いまして祝辞といたします。
平成29年4月5日
九州大学総长
久保千春