伊人直播app 九州大学について
日本の教育?研究の中核的拠点大学として辉かしい歴史と伝统を持つ、「持続的に変革し、飞跃する九州大学」の一员となられた皆さんを、心より歓迎致します。ご入学おめでとうございます。今日まで物心両面から受験生を支え、入学式に出席しておられるご家族?関係者の方々にもお祝いを申し上げます。
また、ロンドン大学アジア?アフリカ学院学長のPaul Webley(ポール?ウェブリー)先生におかれましては、ご多用にもかかわらず入学式にご臨席賜り、祝辞を頂戴できますことを、九州大学を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
入学试験という苛酷な竞争を胜ち抜き、この入学式に出席しておられるのは、皆さん自身の努力によるものであることは间违いありませんが、周りの多くの方々の経済面、精神面、あるいは教育面からの计り知れない支援があったことを、新入生の皆さんは忘れてはなりません。皆さんは、高等学校まで大学入学という目标に向かって努力してきました。过去の学校の成绩、入学试験の点数、入试のための面接の结果などの差は、この入学式で全くリセットされ、皆さんは、これからの大学生活、社会生活のための同じスタートラインに立っています。
まず皆さんが入学された九州大学の歴史と现状を説明しましょう。九州大学は、1911年(明治44年)に设立された工科大学と、1903年に既に设立されていた京都帝国大学福冈医科大学とをもって、1911年に九州帝国大学として诞生しました。东京、京都、东北帝国大学に次ぐ第4番目の帝国大学で、96年の歴史と伝统を夸る我が国の高等教育の基干をなす大学であり、优れた人材育成と卓越した基础研究及び応用研究の成果を、常に世界に発信してきました。现在、九州大学は学部学生约11,700名、大学院学生约6,600名、留学生及び外国人研究员约1,200名と教职员约4,500名が所属する巨大な知的集団です。
九州帝国大学创立は1911年1月1日ですが、1910年12月26日の福冈日々新闻に、「九州大学の开设」と题して次の様な内容の论説が掲载されています。「高尚な知识欲に乏しく、薄っぺらな社会的名誉と利益にかり立てられた学生とならないよう愿う。九州大学は専念一意、纯粋に学问のために学问に务め、その成果をもって社会を指导し、そのような大学が福冈にあるという名誉と利益を社会に感知させよ。そして、それ故に社会は大学を尊重し拥护する责任があるのだと要求する気构えを期待する。社会の神圣なる心的生活の指导者となるべきという要求に対して、大学は応えなくてはならない。」この论説は、学生も含めた大学関係者が、见识ある行动と秀でた教育?研究活动を社会より求められているという大学の原点を、今一度思い起こさせます。
2004年4月に日本の国立大学の制度が変わり、国立九州大学は国立大学法人九州大学として生まれ変わり、个性辉く大学作りに、教职员一同、迈进しています。「21世纪型市民の养成」、すなわち専门性を有し、幅広い教养を身に付け、时代の変化に合わせて积极的に社会を支える、あるいは社会を改善できる资质を有する人材の育成を目指して、九州大学は変革と飞跃を続けています。
九州大学の新キャンパス、伊都キャンパスへの移転についてお话ししましょう。九州大学は、自ら定めた改革の理念を効果的に実现し、また、基础教育を确実に身に付けさせ、创造力を养う教育?研究の中核的拠点を実现するために、福冈市西区元冈?桑原地区に、新しい市民に开かれた都市型のキャンパスを创っています。伊都キャンパスは、福冈ドーム约40个分の広さに相当する275ヘクタールと広大で、环境の保护、埋蔵文化财の保存に细心の注意を払い、今后100年以上の教育?研究のための理想空间となります。その伊都キャンパスでは、2005年10月より工学部の约半分が教育?研究を开始し、本年3月に工学系の移転は完了しました。现在、教职员と学生合せて约5,500名が、古代ロマンの雰囲気と緑に囲まれた环境の中で、知的活动を行っています。2年后の2009年4月より六本松キャンパスの教育?研究を伊都キャンパスで开始します。2年后には、伊都キャンパスは、学生数10,000人以上、教职员约1,000名の知的集団が大学生活を行うキャンパスになります。
大学入学の目的は、これからの社会生活への基盤作り、即ち就職のための準備もありますが、志が高く、倫理観を持ち、社会に貢献できるリーダーとなるためでもあります。大学で何を学ぶことができるかは、大学が何を提供できるかも重要ですが、皆さんが大学を如何に有効に利用することができるかに懸っています。言い換えますと、大学に何かを求めるより、自分の欲する知的活動、课外活动、人間関係を見出す努力と熱意と積極性が不可欠です。勉学も含め、大学生活をコントロールし、有意義なものにする責任を自らが負うことが、高等学校までの学生生活と大きく異なる点です。
皆さんは、九州大学の教育と研究に耐えられる基础学力と体力を身に付け、また社会人として常识ある行动のとれる学生として、九州大学に合格したわけです。低学年教育、共通教育で教えられる科目を理解し、高学年専门教育の基础として身に付けられるかどうかは、皆さん个人个人の勉学に対する真挚な取り组み方によります。勉强は皆さんが自覚して自ら行うもので、他人から强制されてするものではありません。いくら良い教育を受けても、それを理解し、个性ある考え方として展开し、独创性?创造性を身に付ける努力をしなければ、大学教育を受ける意味はありません。人文科学、社会科学、自然科学の教育を通じて、基础知识を身に付けることは勿论ですが、人间としての伦理観も身に付けて下さい。
大学では、教室で授业を受け、基础知识を身に付けることだけが勉强ではありません。「学生である前に良き市民であれ」「社会性、国际性を身に付けよ」「経験を多く积み、独创性?创造性を养うために身の周りに兴味を持て」「人间としての尊厳を守るための伦理観を身に付けよ」「留学生と仲间になり、异文化を理解し、国际感覚を磨け」などは、私がいつも学生に言っていることです。
日本の学生に対して、いくつかの课题あるいは问题点が指摘されています。例えば、「表现、説明能力の低下」、「论理性の欠如」、「指示待ち」、「独创性?创造性の欠如」、「视野の狭さ」、「指导力?リーダーシップを涵养すべき」や「チームワークが苦手」等です。これらの诸课题に対して九州大学では様々な工夫を行っています。例えば、「问题提起、解决型授业、即ち自己解决型デザイン教育」、「チームプロジェクトの导入」、「学生の授业、研究指导への参加、即ちティーチング?アシスタントやリサーチ?アシスタント制度の充実」や「インターンシップの奨励」等です。学生自身の课题の解决、克服には上记のような学生指导に対する大学の努力、工夫も不可欠ですが、最终的には学生一人一人の解决への意欲の持ち方と热意と努力に强く依存します。
次に、日本の家庭、亲の课题についてお话し致します。本日、入学式にご出席のご両亲?関係者の皆様にも是非、真剣に考えていただきたいのです。财団法人日本青少年研究所が、家庭での亲から小学生の子供に対する注意事项について、日中韩、叁カ国の调査结果を最近発表しています。注意事项23项目中、21项目で日本が最下位で、日本に於ける家庭での教育力の低さが浮き彫りになっています。例えば、「テレビをみるのをやめなさい」、「ゲームをやめなさい」、「友达と仲良くしなさい」、「先生の言うことを闻きなさい」、「亲の言うことを闻きなさい」、「嘘をついてはいけない」、「好き嫌いなく食べるように」、「よく勉强すれば努力が报いられる」等を「よく言う」割合を见ると、日本の亲は、中国、韩国の半分以下しか子供に注意していないのが分かります。子供に対する家庭での亲の躾が社会での子供の态度に直接反映されます。家庭教育?乳幼児教育、低学年教育に於ける大人、亲の役目と责任を、私达はもっと真剣に考えるべきだと思っています。
最後に国語力について、お話しします。大学生の学力低下の原因はきちんと議論?解明し、解決されるべきですが、私は国語力の低下がその原因の一つであると信じています。試験問題を与えられてもきちんと問題の主旨が把握できなければ正しい解答はできません。また、自分の考えを論理的にまとめ、それを正しい日本语で表現できなければ、自分の意見を正しく他人に伝えられません。論理的表現と正しい日本语での記述は表裏一体であり、国語力の低下が論理的思想の展開ができないことに繋がっています。日本语の知識あるいは国語力の低下が、自分の考えを正確に表現することや、その人の個性の展開あるいは創造性?独創性の発達を妨げているのではないでしょうか。日本语教育や国語力の向上が、日本の教育の再構築と創造性?独創性の発揮に不可欠ではないでしょうか。大学在学中に「良い文章に接する」ために文学書をできるだけ読んで、人生の糧にしてください。
皆さんがこれから九州大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から强制されるものであってはなりません。学问に対する欲求と、研究から新しい真実を见つけ出す喜びは同じであり、勉强も研究も新しいことを知る喜びであるのです。しかし、今から六本松地区を中心に受ける低学年共通教育や基础教育、さらに学部専门教育、大学院教育及び研究には、新しい知识の蓄积、新事実の発见、さらに自分の考えを展开できるという期待と感动がありますが、决して易しく、楽しいばかりではありません。学问、研究は、専门的で深く追求すればする程苦しさが増してきます。
抵抗なく何事にも飞び込んでいき、失败が许されるのは若いときしかありません。新入生の皆さんは若者の特権を持てる时间があっという间に过ぎ去ることを自覚して、1日1日有意义に、九州大学の学生生活が実り多いものとなるよう心がけてください。大学から何かをしてもらおうと期待するのではなく、何を自分自身ですべきかを考える社会人になってください。「持続的に変革し,飞跃する九州大学」の一员となったという夸りを持ち、何事にも自分の意见を持ち、积极的、建设的な行动のとれる社会人として成长することを愿って告辞と致します。
「自ら进んで社会から学び取れる学生に」
平成19年4月5日
九 州 大 学 総 長
梶 山 千 里