伊人直播app 九州大学について
教育?研究の中核的拠点大学として辉かしい歴史と伝统を持つ「持続的に変革し、飞跃する九州大学」の一员になられた新入生の皆さんを心より歓迎いたします。皆さんの现在の晴れの姿は、ご家族、学校の先生、友人等、周りの多くの方々の経済面、教育面、あるいは精神面からの支援によるものであることを忘れてはなりません。
また本日、ボルドー第一大学副学長 Daniel Chasseau(ダニエル シャソー)先生におかれましては、ご多用中にもかかわらず入学式にご臨席賜り、祝辞を頂戴できますことを、九州大学を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
さらに、ご卒业から30年を経た翱叠の方々にも本日ご临席をいただいておりますことを、御礼とともにご绍介致します。
まず皆さんが入学された九州大学の歴史と现状を説明しましょう。九州大学は、1911年に设立された工科大学と、1903年に既に设立されていた京都帝国大学福冈医科大学とをもって、1911年に九州帝国大学として诞生いたしました。东京、京都、东北帝国大学に次ぐ第4番目の帝国大学で、95年の歴史と伝统を夸る我が国の高等教育の基干をなす大学であり、优れた人材育成と卓越した基础研究及び応用研究の成果を、常时世界に発信してきました。现在、九州大学は学部学生约11,700名、大学院学生约6,400名、留学生及び外国人研究员约1,200名と教职员约4,500名が所属する巨大な知的集団です。
2004年4月に日本の国立大学の制度が変わり、国立九州大学は国立大学法人九州大学として生まれ変わり、个性辉く大学作りに、教职员一同、迈进いたしております。「21世纪型市民の养成」、すなわち専门性を有し、幅広い教养を身に付け、时代の変化に合わせて积极的に社会を支える、あるいは社会を改善できる资质を有する人材の育成を目指して、九州大学は変革を遂げています。
次に九州大学の新キャンパス、伊都キャンパスへの移転についてお话ししましょう。九州大学は、自ら定めた改革の理念を効果的に実现し、また、基础教育を确実に身に付けさせ、创造力を养う教育?研究の中核的拠点を実现するために、福冈市西区元冈?桑原地区に新しいキャンパスを创っています。その伊都キャンパスでは、昨年10月より移転第Ⅰ阵である工学部の约半分が教育?研究を开始しました。本年度で工学系の移転は完了し、教职员と学生合せて4,900名が、古代ロマンの雰囲気と緑に囲まれた环境の中で、市民に开かれたキャンパス作りを行います。
伊都キャンパスは、福冈ドーム约40个分の広さに相当する275ヘクタールと広大で、环境の保护、埋蔵文化财の保存に细心の注意を払い、今后100年以上の教育?研究のための理想空间となります。
皆さんが九州大学に入学した目的は何であるか、この入学式に当たり真剣に考えて下さい。游び、のんびり过ごすためや就职準备の目的で九州大学に入学したのではありません。皆さんは、九州大学の教育と研究に耐えられる基础学力と体力を身に付け、また社会人として常识ある行动のとれる学生として、九州大学に合格したわけです。低学年教育、共通教育で教えられる科目を理解し、これらが高学年専门教育の基础として身に付けられるかどうかは、皆さん个人个人の勉学に対する真挚な取り组み方によります。勉强は皆さんが自覚して自ら行うもので、他人から强制されてするものではありません。大学は、自分自身の考えを个性として表现することを学ぶ所です。教室で授业を受け、基础知识を身に付けることだけが勉强ではありません。「学生である前に良き市民であれ」「社会性、国际性を身に付けよ」「経験を多く积み、独创性?创造性を养うために身の周りの変化に兴味を持て」「人间としての尊厳を守るための伦理観を身に付けよ」「留学生と仲间になり、异文化を理解し国际感覚を磨け」などは、私がいつも学生に言っていることです。「勉强しない学生、やる気のない学生」や「社会人として自立できない学生」は、九州大学に在学する资格はない、とも言っておきます。
入学式にあたり「志の高い人间に成长して欲しい」ということと「在学中に良い文章に接して欲しい」を新入生の皆さんにお愿いしておきましょう。
まず、「志の高い人间に成长して欲しい」ということからお话ししましょう。财団法人、日本青少年研究所が行った高校生に対する意识调査の结果を、新入生の皆さんだけでなく本日出席のご家族の方々にも真剣に考えて欲しいのです。この意识调査の结果は、日本、アメリカ、中国、韩国の高校生の平均的なものであり、本日ここに出席しておられる向上心高く、おおいに勉强意欲のある新入生の皆さんに当てはまらないかも知れませんが、日本の高校生に共通している问题点なのです。一昨年の调査では、「学校で最も充実している时は」という问に対して、日本では「亲しい友人と一绪に居る时」であり、他の3ヵ国では、「良い成绩を取った时」となり、日本の高校生の勉学に対する関心の低さが目立っています。昨年の调査では、平日に学校以外の场で勉强しない高校生は、中国8%、アメリカ15%しかいないのに日本では45%にも达する。调査は、「日本の高校生の多くは様々な课题に対して努力しなければならないと认识しながら、现実には行动する意欲に乏しく、ぬるま汤のような意识で生活している」と结论づけています。本年3月に発表された调査结果では、「希望の大学に入学をすることは大事か」という问に対してアメリカ54%、中国76%、韩国78%でしたが、日本は30%を切り、最低でした。日本では、他の3ヵ国と比较して、学业や进学に対する意欲が际立って低く、また、「食べていける収入があればのんびり暮したい」と希望する高校生が多く、日本の高校生は悩みもないけど希望をもって将来の自分を切り开き向上するという意欲が、他3ヵ国の高校生と比较に着しく低いことも明らかとなっています。「やる気のなさ」「勉强しない」等、日本の高校生の向上心に対する意识调査の结果について、私达は、その彻底分析と解决について不退転の决意で立ち向かわなければ、将来、日本が科学立国として世界を先导することができないと私は信じています。
不幸な第2次世界大戦终了より61年、皆さんの祖父母の方々は戦后の廃墟の中で乏しい食料の生活に耐え、日本復兴のため必死に努力され、世界第2位の工业生产力を持つまで日本を成长させてきました。日常生活は贫しくとも、日本を復兴させようという気概と希望が日本人の中に涨っていたのです。21世纪の日本を先导するためには、大学で学ぶ教养と専门分野を生かし、自ら积极的に社会との接点を持ち、自分自身の能力で社会を动かしていくことが不可欠であり、九州大学という最高学府で学ぶ机会を与えられた皆さんの责务です。そのためにも志を高くもち、若々しい向上心と目的意识をもった行动が、やがて、日本、世界に人间性豊かな社会を実现させる着実な一歩になると信じています。
次に「在学中に良い文章に接して欲しい」ということをお话ししておきます。ここで「良い文章」ということの定义や意味を议论する积もりはありません。「良い文章」という表现をそのまま素直に捕らえて欲しいのです。良い文章との接触は、皆さんの思考プロセスの発达に直接関わると、私は信じています。大学生の国语力の低下に関して様々な意见の有ることはご存知と思います。「学生の活字离れは小学校からの国语教育に根源を求めざるを得ない」、「自分の考えを书くのと正しい文章をきちんと书くことは别问题」、「新闻が読めるというのは社会人として最低限の能力」、「メールやインターネットを使うため汉字を正しく书けなくなっている」等、大学生の国语力低下に関する意见は数多くあります。
大学生の学力低下の原因はきちんと議論?解明し、解決されるべきですが、私は国語力の低下がその原因の一つであると信じています。試験問題を与えられてもきちんと問題の主旨が把握できなければ正しい解答はできません。また、自分の考えを論理的にまとめ、それを正しい日本语で表現できなければ、自分の意見を正しく他人に伝えられません。論理的表現と正しい日本语での記述は表裏一体であり、国語力の低下が論理的思想の展開ができないということに繋がっています。日本语の知識あるいは国語力の低下が、自分の考えを正確に表現することや、その人の個性の展開あるいは創造性?独創性の発達を妨げているのではないでしょうか。日本语教育や国語力の向上が、日本の教育の再構築と創造性?独創性の発揮に不可欠ではないでしょうか。大学在学中に「良い文章に接する」ために文学書をできるだけ読んで、人生の糧にしてください。
皆さんがこれから九州大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から强制される勉强であってはなりません。学问に対する欲求と、研究から新しい真実を见つけ出す喜びは同じであり、勉强も研究も新しいことを知る喜びであるのです。しかし、今から六本松地区を中心に受ける低学年共通教育や基础教育、さらに学部専门教育、大学院教育及び研究には、新しい知识の蓄积、新事実の発见、さらに自分の考えを展开できるという期待と感动がありますが、决して易しく、楽しいばかりではありません。学问、研究は、専门的で深く追求すればする程、喜びと共に苦しさも増してくるということを、理解しておくべきです。
抵抗なく何事にも飞び込んで行き、失败が许されるのは若いときしかありません。新入生の皆さんは、若者の特権をもてる若い日があっという间に过ぎることを自覚して、一日一日を有効に、九州大学の学生生活が実り多く、有意义となるよう心掛けてください。「持続して変革し、飞跃する九州大学」の学生という夸りをもち、何事にも自分の意见をもち、积极的、建设的な行动の取れる社会人として成长することを愿って、告辞と致します。
「志高く社会に贡献を」
平成18年4月6日
九州大学総长 梶山 千里