伊人直播app 九州大学について
日本の教育?研究の中核的拠点大学として辉かしい歴史と伝统を持つ、「変革し、飞跃する九州大学」の一员となられた皆さんを、心より歓迎致します。ご入学おめでとうございます。今日まで物心両面から受験生を支え、この晴れの入学式に出席しておられるご家族の方々にもお祝いを申し上げます。
また、ミュンヘン大学元学长の厂迟别颈苍尘补苍苍(シュタインマン)先生におかれましては、ご多用にもかかわらず入学式にご临席赐り、祝辞を顶戴できますことを、九州大学を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
入学试験という苛酷な竞争を突破し、现在の晴れ姿があるのも、皆さん自身の努力によるものであることは间违いありませんが、周りの多くの方々の経済面、精神面、あるいは教育面からの计り知れない多くの支援があったことを、新入生の皆さんは忘れてはなりません。
まず皆さんが入学された九州大学の歴史と现状を説明しましょう。九州大学は、1911年に设立された工科大学と、1903年にすでに设立されていた京都帝国大学福冈医科大学とを统合し、1911年に九州帝国大学として诞生致しました。东京、京都、东北帝国大学に次ぐ第4番目の帝国大学で、94年の歴史と伝统を夸る我が国の高等教育の基干をなす大学であり、これまで数々の世界的な教育?研究に関する业绩を挙げてきました。现在、九州大学は学部学生约11,600名、大学院学生约6,300名、留学生及び外国人研究员约2,100名と教职员约4,500名が所属する巨大な知的集団であり、优れた人材育成と卓越した基础及び応用研究の成果を、常时世界に発信する我が国有数の中核的教育?研究拠点大学です。
昨年4月に大学制度が変わり、国立九州大学は国立大学法人九州大学として生まれ変わり、个性辉く大学作りと、平成19年より始まるユニバーサルアクセス时代の21世纪の高等教育の将来像を実现すべく、教职员一同努力をいたしております。谁もがいつでも、自らの选択により学ぶことのできるユニバーサルアクセスが実现し、そのため学歴偏重社会が次第に过去のものとなろうとしています。また、「21世纪型市民の养成」すなわち社会の持続的発展のための、指导的人材の他に、専门性を有し、幅広い教养を身に付け、时代の変化に合わせて积极的に社会を支える、あるいは社会を改善できる资质を有する人材の育成を目指して、九州大学は日夜変革を遂げています。
次に九州大学の新キャンパスへの移転についてお話ししましょう。九州大学は21世紀型高等教育の実現に向けて、また、九州大学の改革の理念を実現し、基礎教育を確実に身に付けさせるとともに「問題提起解決型教育」あるいは「自己啓発型教育」を行うために、福岡市西区元岡?桑原地区の新キャンパスへ工学部を先頭に、今年10月より移転を開始します。新キャンパスは275ヘクタールと広大で、福岡ヤフードーム約40個分の広さがあり、学生の皆さんにとってキャンパス生活が楽しく、勉強せずにはいられないという多くの仕掛けのある教育?研究施設の整備は勿論のこと、山有り谷有りの環境の保全と活用、埋蔵文化財を生かした歴史公園作りなど、一般市民へも生活空間を提供するとともに、今後100年以上の教育?研究のための新理想空間の実現に向けて、教職員一同努力しています。さらに九州大学は、新キャンパスへの移転を、未来の実験の場としてとらえ、「水素利用技術開発」「多彩な個人情報を持つ安全カードの製作」や「ナノテクノロジー基盤未来材料創成」など九州大学独自の実験を既にスタートさせています。また、福岡県?市、経済界との連携を一層強くして、新キャンパスを核とする九州大学学術研究都市構想の実現にむけ、九州大学の研究成果あるいは「知」の活用を考えています。新キャンパスは学生が集まり授業を受けるという従来型キャンパスのイメージを変え、学生?教職員?市民の知的コミュニケーションの場として博物馆、産学連携棟、国际交流棟などの建設を予定しており、平成17年度より15年間かけて移転を完了する予定です。
皆さん、九州大学に何をするために入学したのか、大学生活第1日目の今日、目标を决めて下さい。大学は、自分自身の考えを个性として表现することを学ぶ所です。教室で授业を受け、基础知识を身に付けることだけが勉强ではありません。「学生である前に良き市民であれ」「社会性、国际性を身に付けよ」「経験を多く积み、独创性?创造性を养うために身の周りの変化に兴味を持て」「人间としての尊厳を守るための伦理観を身に付けよ」「留学生と仲间になり、异文化を理解し、国际感覚を磨け」などは、私がいつも学生に言っていることです。「勉强しない学生、やる気のない学生は九州大学に在学する资格はない」とも言っておきます。最近の学生の学力低下は着しく、もっと大学で実力を付けて欲しいと、経済界の多くの方々から要望される机会が多くあります。大学は、学生达の社会への出口ですから、学生の学力低下が大学教育に问题ありと直接结论されても仕方ありませんし、基础学力向上のために、大学での教育法の改善を真剣に考える必要もあります。
学力低下の原因はきちんと議論?解析し、解決されるべきでありますが、私はその原因の一つとして日本の若い人達の国語力の低下を指摘したいと思います。最近では文学書どころか新聞を読まない学生も多く、ワープロ時代では、漢字は覚えるよりパソコン画面に現れるものと思っている学生も少なくないようです。試験問題を与えられても、きちんと問題の主旨が把握できなければ正しい解答はできません。また、自分の考えを論理的にまとめ、それを正しい日本语で表現できなければ、自分の意見を正しく他人に伝えることはできません。論理的思考と正しい日本语による記述は表裏一体であり、国語力の低下が論理的思考の展開力不足に繋がります。日本语の知識あるいは国語力の低下が、自分の考えを正確に表現することや、その人の個性の展開あるいは創造性?独創性の構築を妨げているのではないでしょうか。日本语教育の充実や国語力の向上が、日本の教育の再構築と創造性?独創性の発揮に不可欠ではないでしょうか。新入生の皆さん、今年は文学作品を一冊でも読んで、その内容の素晴らしさ、感動したことを日本语で表現してみませんか。
次に、「経験の重要さ」について话をします。皆さんが、これから九州大学で受ける教育は、今までの受け身で他人から强制される勉强とは异なって、自ら考え、経験を积み、答えを出していく「自己启発教育」です。学问に対する欲求を満たすことと、身の周りの人々や社会と多くの接点を积极的に持ち、今まで経験したことのないことから新しい事実を知り、それまで知らなかった真実を见つけ出すことが九州大学へ入学した重要な理由の一つです。九州大学には约1200名の留学生が居ますので、留学生と亲しくなり、外国の人の习惯、考え方、文化?宗教を知る机会はいくらでもあります。外国を旅行したり、そこに滞在すること、あるいは地球上の情报をインターネットを通じて瞬时に把握することもでき、现在では、皆さんが望めば、异文化に直接接することは简単です。また、日本国内に於いても、ボランティアなどによる社会との接触、インターンシップ制度などにより公司の理解を深める机会はいくらでもあります。私たちが今まで経験したことのない新しい経験が「新事実の発见」「新しい技法の提案」「新しい作品、製品の创造」に繋がった例は、过去に数多くあります。
近代京都画坛で活跃した1人に土田麦僊という日本画家がいます。彼は、パリ滞在中に多くの西洋画を见て、その中から日本画の持つ日本美を新鲜な感覚で见直しています。それと同时に西洋画の特徴とその様々な技法を学んでいます。例えば、西洋画の1点透视法を日本画に採用し、西洋画の远近感を日本画に持ち込んでいます。また、パリで学んだデッサン技法を日本画に使い、日本画に於ける自己表现法を拡大しています。すなわち、土田麦僊は、西洋画法の特徴を日本画に応用し、従来の日本画の概念を超えることに成功しているのです。ただ、漠然と絵を见ていたのでは决して得ることのできない経験を、土田麦僊は自分自身の作品に积极的に取込み、日本画坛に新境地を展开したのです。1人の日本画家のパリ滞在という経験が日本画技法を飞跃させたということに、私は大変兴味を持っているのです。
若い时の海外留学や外国での滞在体験の素晴らしい点は、日本あるいは自分自身の価値観と异なる文化を持つ国や人が、现実に世界に存在することを强い感受性を持って直接体験できることであります。异民族や异文化の存在を认めることが、他国や他人の日常生活、政治?経済、宗教などあらゆることを理解し、自分と异なる世界観を持つ人间の存在を认め、その人达を尊敬する第1歩だと思います。さらに、若い时代に多くの异文化と接触することの重要な点は、それ以降の人生において、より多様な选択肢を持てることです。身の周りで起こるあらゆる経験を、自分の过去の体験と比较することのできる人生においては、人生の岐路に立ったとき、私达は自分自身でより良い选択ができます。より良い判断と选択の积み重ねが、最终的に素晴らしく辉かしい人生を送ることに繋がっていると、私は信じています。
抵抗なく何事にも飞び込んでいき、失败が许されるのは若いときしかありません。新入生の皆さんは若者の特権を持てる时间があっという间に过ぎ去ることを自覚して、1日1日有効に、九州大学の学生生活が実り多く有意义となるよう心がけてください。大学から何かをしてもらおうと期待するのではなく、何を自分自身ですべきかを考える社会人になってください。「変革し、飞跃する九州大学」の一员となったという夸りを持ち、何事にも自分の意见を持ち、积极的、建设的な行动のとれる社会人として成长することを愿って告辞と致します。
「人生経験を生かせる若者に」
平成17年4月7日
九州大学総长 梶山 千里