伊人直播app 九州大学について
国立大学法人九州大学に合格され、めでたく「変革し飞跃する九州大学」の一员となられた皆さんを、心より歓迎いたします。入学おめでとう。
また、大韓民国ソウル大学校Un-Chan CHUNG(チョン、ウンチャン)総長におかれましては、大学運営の御多用中にもかかわらず、入学式に御出席賜り、祝辞を頂戴できますことを、九州大学を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
入学试験という过酷な竞争を突破され、満足感と达成感をもって本日、入学式に出席しておられるのは、皆さん自身の努力によるものであるのは间违いありませんが、皆さんの今日の晴れの姿は、周りの多くの方々からの、これまでの経済面、精神面、あるいは教育面の、计り知れない支援によるものであることを忘れてはなりません。
まず、皆さんが入学された九州大学の歴史と现状を説明しましょう。九州大学は、1903年に京都帝国大学福冈医科大学として设立されていた医科大学と、1911年に设立された工科大学とを合併し、九州帝国大学として诞生しました。东京、京都、东北帝国大学に次ぐ第4番目の帝国大学で、今年で93年の歴史と伝统を夸る、我が国の高等教育の基干をなす大学であるとともに、研究面でもこれまで数々の世界的业绩を挙げてきました。昨年10月に九州芸术工科大学と统合し、现在、九州大学は、学部学生约11000名、大学院学生约6100名、教职员约4400名が所属する、巨大な知的集団であり、优れた人材教育と、卓越した基础および応用研究を世界に発信する、我が国有数の中核的教育?研究拠点大学の1つであることはご存知の通りです。
九州大学は、自ら定めた改革の理念を効果的に実现し、また、基础教育を确実に身に付けさせ、创造力を养う教育?研究の中核的拠点を実现するために、平成17年度より、福冈市西区元冈?桑原地区の新キャンパスへの移転を开始します。新キャンパスは、福冈ドーム约40个分の広さに相当する275ヘクタールと広大で、环境の保护、埋蔵文化财の保存に细心の注意を払い、今后100年以上の教育?研究のための新理想空间の実现に向け努力しています。新キャンパスには、学生の皆さんにとって、キャンパス生活が楽しく勉学せずにはいられないという环境を作るために、多くの仕掛を创るつもりです。
次に、国立大学の法人化についてお话します。
1911年の创立以来続いてきた国立大学九州大学は、4月1日以降、国立大学法人九州大学に名称が変わっております。法人化により大学の运営?経営法、财务?会计制度、人事制度等が変わり、大学活动の根干である教育、研究、社会贡献、国际贡献にも各大学の个性辉く特色?特徴を出すことが要请されています。九州大学でも、これら法人化の基本理念を具体化することにより、世界レベルの教育研究の中核的拠点を构筑することが求められています。九州大学の活动の重点四分野(教育、研究、社会贡献、国际贡献)で他大学と比较して特色のある活动をして顕着な成果を出し、大学の活动、成果を社会に対して分り易く目に见える形で情报発信することが、社会的责务となっております。
皆さんが九州大学に入学した目的は何であるか、今ここで真剣に考えて下さい。游び、のんびり过ごすためや就职準备の目的で九州大学に入学したのではありません。皆さんは、九州大学の教育と研究に耐えられる基础学力と体力を身に付け、また社会人として常识ある行动のとれる学生として、九州大学に合格したわけです。低学年教育、共通教育で教えられる科目を理解し、高学年専门教育の基础として身に付けられるかどうかは、皆さん个人个人の勉学に対する真挚な取り组み方によります。勉强は皆さんが自覚して自ら行うもので、他人から强制されてするものではありません。いくら良い教育を受けても、それを理解し、个性ある考え方として展开し、独创性?创造性を身に付ける努力をしなければ、大学教育を受ける意味はありません。ここで、「やる気のない学生は九州大学にはいらない」と「人并みの努力は人并みに终る」ということを言っておきます。また、人文科学、社会科学、自然科学の教育を通じて、基础知识を身に付けることは勿论ですが、人间としての尊厳を守るための伦理観も身に付けて下さい。
これから始まる九州大学での生活で、高等学校までの学生生活と大きく异なる点の1つに「国际性」があります。九州大学には约1200名の外国人留学生がいます。また、社会生活に於いても、リアルタイムで世界各地から様々な情报を得ることができるようになっています。真の国际性とは、外国语が喋れるということとは违います。异なった国や民族の风俗习惯、宗教、歴史、政治、経済などを理解し、これらに対して自分の意见を述べたり、その国の人たちと议论ができることです。最近、东アジア地域では、国民の経済が豊かになるにつれて、外国の厳しい环境の下で勉强することを、若者が积极的に望まなくなりつつあるということを闻いたことがあります。最近の日本人の若い人达は、旅行など短期间外国に滞在し楽しむことは望むが、外国で苦しい勉学を何年も続けることを、必ずしも望まなくなったように私も感じています。东アジアの国々の経済的に豊かな生活が、若者达に苦労して人生の梦を実现させるより、楽をして得られる目先の安易な道を选ばせているのかもしれません。政治、経済、スポーツ、芸能あるいは日常生活までもが国境を越え、ボーダーレスの状况になりつつあります。このような时こそ、外国语が喋れ、その国の人达の习惯、考え方、感情が理解でき、その国の人达と讨论でき、最后には激论を通じて、本当に相手を理解できる能力を持つ社会人となる必要があります。
地球上には、様々な国あるいは地域に、多种多様な生活习惯、社会通念あるいは政治?経済体制、文化、宗教があることを知り、私达と异なった民族観や宗教観を持つ集団が存在していることを知ることが、「国际性」の基本です。自分自身の意见と异なる优れた考え方を持つ个人あるいは集団が居ることを知って、初めて他人あるいは他民族を尊敬することができます。地球上に存在する民族、宗教、文化、政治?経済体制など、様々な面で自分达と异なるものがあることを理解し许容することができれば、20世纪に起こった多くの戦争や现在起こっている民族あるいは国家间の争いを、防ぐことができたかもしれません。先程述べました様に幸いにも、九州大学の学生になられた皆さんの回りには、世界中から集まってきた1200名に近い数の留学生がいます。外国からの留学生と积极的に交流し、意见を交换し、多くの国际的友人を作って、地球上には、単纯に统一したり、规格化したり、枠に嵌め込んだりできない価値観、人间観、宗教観のあることを理解して下さい。
最近の日本の若い人達の考え方、行動で気になっていることをお話します。財団法人 日本青少年研究所が「高校生の生活と意識に関する調査─日本?韓国?アメリカ?中国の四ヵ国比較」を実施し、2004年2月に発表しています。調査内容は、学校生活、男子生徒と女子生徒の意識と行動、友人関係、生活意識など、高校生の自己認識比較と多岐に亘っています。4ヵ国比較で日本の高校生が他の3ヵ国と特に異なっている点について解説してみます。「学校で最も充実している時は」との質問に対して、日本では『親しい友人と一緒にいる時』であり、他の3ヵ国は『よい成績を取った時』となり、日本の生徒の勉学に対する関心の低さが目立っています。「クラスの中の男子生徒と女子生徒の行動」では、男のイメージとして『乱暴』や『頼りになる』は共通ですが、日本では『元気』と答えた者が僅か25.3%で他の3ヵ国とは大きな違いがあります。また「規範意識」として、日本の高校生は、『先生に反抗する』、『親に反抗する』、『学校をずる休みする』や『過激なファッションをする』という行動には他の国と比べて、かなり寛容であるという傾向が浮かび上がってきます。特に「生活意識」に関しては、他の3ヵ国と比べて、『偉くなりたい』、『将来自分の会社を作りたい』、『クラスのリーダーになりたい』、『目立ちたい』と肯定する日本人高校生が、かなり少ないという結果となっています。調査の結果をまとめますと、高等学校で人生の目標を持って一生懸命勉強し、将来、責任感や独立心を持った社会のリーダーになりたいと望みを持っている若者の数が、他の3ヵ国と比較して極端に少ない日本の実状が浮かび上がってきます。日本経済の不況や世界で起こっている政治、経済、軍事的争いを考えると将来の夢や希望は持てない、という言い訳をするのは容易ですが、自分が消極的である理由を他人や社会に押し付けても仕方のない事です。新聞記事、テレビのニュースを見ると、何事においても他人や社会の責任にするという悪い風潮が、日本に蔓延しているのではないかと心配になってきます。
大学は、自分の将来の梦や目标を自分自身で设定し、それを実现する场なのです。的确な人生の目标?目的なくして梦の実现はありません。梦や目标の実现を愿うことが、自然と実现へ向けての行动を起こさせ、勉学、社会生活、友人関係などあらゆる面で积极性を発挥させるのです。九州大学では、ただ待っているだけでは何も得ることはできません。自分自身で考え行动する贪欲な学生が、専门性、社会性、国际性、人间性を身に付けることができる仕掛を授业、研究、ゼミナール、クラブ活动など、様々な场に作っていますし、そのような学生を、教职员は喜んで支援します。世界人権宣言の起草に情热を注いだエレノア?ルーズベルトは『未来は美しい梦を信ずる人达のもの』と言っています。
皆さんがこれから九州大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から强制される勉强であってはなりません。学问に対する欲求と、研究から新しい真実を见つけ出す喜びは同じであり、勉强も研究も新しいことを知る喜びであるのです。しかし、今から六本松地区を中心に受ける低学年共通教育や基础教育、そしてその后に受ける学部専门教育、大学院教育及び研究には、新しい知识の蓄积、新事実の発见、さらに自分の考えを展开できるという期待と感动がありますが、决して易しく、楽しいことばかりではありません。学问、研究は、専门的になり深く追究すればする程苦しさが増してきます。
产业界から见た日本の大学生に対する评価として、いくつかの问题点あるいは课题を経済団体连合会がまとめています。产业界から指摘された日本の大学生に対する问题点を列挙しますと、①実社会との関わりが少ない、②探究心に欠け、深い掘り下げが不充分、③自らの目标设定がなかなかできない、④壁にぶつかったとき突破する気力、粘りが不充分、⑤すぐに防御线を张り、多少でも无理がある场合は飞び込まない、⑥受け答えがデジタル型返答が多く、返答の内容はリスク回避型が多い、とあります。これらの実业界からの要望にできるだけ応えるためにも、皆さんは学部教育を受ける间にこれらの指摘を真剣に考え、自己研钻をして欲しいと思います。
抵抗なく何事にも飞び込んで行き、失败が许されるのは若い时しかありません。新入生の皆さんは、若者の特権を持てる若い日があっという间に过ぎることを自覚して、1日1日を有効に、九州大学の学生生活が実り多く、有意义となるよう心掛けて下さい。「変革し飞跃する九州大学」の学生という夸りをもち、何事にも自分の意见を持ち、积极的、建设的な行动の取れる社会人としても成长することを愿って、告辞と致します。
「自律的に行动できる若者に」
平成16年4月7日
九州大学総长 梶山 千里