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平成14年度 医疗技术短期大学入学式告辞(2002年4月5日)

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平成14年度 九州大学医疗技术短期大学部入学式告辞(2002年4月5日)

 将来、医疗技术者として人命を预かる重大な职务に就く使命感に燃え、明日からの勉学に胸を膨らませ、この晴れがましい入学式に集っておられる皆さん、入学おめでとうございます。また、新入生が将来の希望を叶えられるように、今日まで支えてこられた御家族の方々に心からお祝い申し上げます。

 皆さんは将来、人命を预かる崇高でかつ厳しい职业に就く道を选択され、それに十分応えられる医疗知识と技术、そして人间性、伦理観を养うために本学に入学されたのです。

 九州大学医疗技术短期大学部は、九州大学附属看護学校、診療放射線技師学校、衛生検査技師学校を前身として、1971年に全国で2番目に設立されました。さらに、1978年に専攻科助産学特別専攻を加え、3学科、1専攻を備えた、日本で有数の歴史と伝統を持つ短期大学部であります。短期大学部の前身の附属看護学校は、九州大学医学部の前身である福岡医科大学の母体となりました福岡県立病院の看護婦見習い生教育課程にまで遡ることとなり、百年以上の歴史と伝統をもつこととなります。皆さんが、本日より3年間、専攻科では1年に亘って勉強する病院キャンパスは、東京、京都、東北に次ぐ第四の帝国大学の設立を目的に1903年に京都帝国大学附属の福岡医科大学が設立された场所で、百年に亘って日本の医学?医療を先導し、指導してまいりました。

 现在、病院キャンパスの中央に、国立大学附属病院として最大の1,208床を有する最新鋭の病院が建设中で、第Ⅰ期工事が昨年10月に完成し、4月1日より外科系が诊疗开始しております。新病院はさらにⅡ期、Ⅲ期と工事を行い平成18年度末に完成予定であります。また、医学部附属病院、歯学部附属病院と生体防御医学研究所附属病院は统合し、枠组みを超えた医疗や医学の教育?研究が、さらに充実していくことになるでしょう。

 また、医学部创立75周年に设けられた记念庭园には、スウェーデンの彫刻家、カール?ミレス作の世界で5つしかない「神の手」の彫像があります。この作品は、神の手とされる大きな掌に全ての自らの运命を委ねながらも、なお光を求めて空を仰ぎ、希望を捨てない人间の姿を象徴しており、患者の方々や病院地区の関係者の方々の心を癒してくれるものと信じています。

 九州大学は大学院重点化大学であり、日本における教育?研究の中核的拠点形成大学であります。「21世纪プログラム」、「学府?研究院制度」など日本の他大学で类を见ない斩新な大学改革を进めております。九州大学は総合大学ですから、皆さんが求める心があれば、いかなる知识も得ることのできる恵まれた教育?研究环境にあります。病院地区には、医学部、歯学部及び薬学部の学生も教育と研究の指导を受けており、将来医疗の场で皆さんとチームを组むことになります。现代の医疗は极めて高度の専门性が要求され、チームを作って患者の皆さんの治疗に当たることになります。そのため、各医疗人の高度の専门知识と技术の修得は勿论ですが、チーム医疗を円滑に行うためには、お互いに良好な人间関係を筑く必要があり、皆さんには、协调性に富む幅広い人间性が求められます。

 近年の科学?技术の発展のスピードは着しく速く、人间の理解が追いつかないことがあります。しかも科学?技术の进歩がともすれば人间の伦理や环境への制约を超えた领域まで踏込み、人间性を侵す可能性も出てきました。人间の尊厳とは何か、社会伦理、自然现象への挑戦に対して、现実问题としてバイオ、环境、情报通信、エネルギー等の进歩?変化の许されるスピードと范囲を真剣に考えることのできる人材育成も必要です。医学?医疗技术の目覚ましい进歩が、その技术の理解のスピードを超えたとき、またその进歩?変化に対する心构えが充分でないときに、常识では考えられない医疗事故が起こる确率が着しく高くなります。医疗が高度になればなるほど、単纯ミスが大事故に繋がりやすく、これには细心の注意と二重、叁重のチェックが必要です。また、医疗チーム内での信頼、患者と医学?医疗を施す人たちとの间の信頼も、医疗事故の低减に不可欠です。最近の新闻のニュース、政治の腐败、农业政策、薬事の问题等、社会组织の基础となる信頼がこれ程损なわれている时代はありません。それ故、人间间の信頼を揺るぎないものにしていく必要があります。これから皆さんが勉强し、病栋実习を受ける所には、身体や精神など、どこか病める方々がおられます。病める方々から信頼を受け、豊かで信頼に足る医疗を构筑することが必要です。病気を诊るのではなく、知性と感性を备えた人间全体を诊る心构えが不可欠です。

 弱い立场にある患者の方々に生きる力を与え、病気に胜つ力を与えるには、医疗技术の他に医疗する侧の人々の人间爱が何よりもまして重要です。この人间爱は、皆さんが卒业后、将来就くであろう职种にはもっとも大切なことであります。ただ人间爱と言叶で言うのは简単ですが、どのような立场、状况にあっても、人间爱を持って他人に接するには、常日顷の精神の修养以外にありません。

 そのためにも入学后は、専门教育は勿论ですが、幅広い教养を身につけてください。さらに、学业以外のスポーツや文化活动に参加し、多くの友人を得て、社会生活に必要なルールや协调性を身につけるとともに、豊かな人间性の涵养に努めてください。皆さんが卒业后に选ばれるであろう职业は、决して安易なものでなく、自らのことより他を优先して考え、行动しなければならない厳しいものであります。しかし、その苦労と引替えに得られる喜びは、一般の职业では得られないものです。すなわち、病が癒え、生を得た喜びに安堵する患者の方々の感谢の気持ちに触れ、ともに喜び合える幸福感、満足感は、他の何物にも代え难いものであります。

 皆さんの将来には多くの活跃の场が待っております。民族、政治、宗教、信念に関係なく、人々が质の高い尊厳ある生を全うするよう努めるのが医学?医疗を施す人达に课せられた使命です。

 皆さんが目指す崇高な医疗人としての自覚をお愿いし、本学での学生生活が、専门教育?医疗技术とともに人间性の修养にも実り多いことを愿って、告辞といたします。

平成14年4月5日
九州大学医疗技术短期大学部
学長 梶山 千里