伊人直播app

伊人直播app 九州大学について

平成20年度 入学式告辞(2008年4月8日)

歴代総长メッセージ(梶山千里元総長)一覧

平成20年度 九州大学入学式告辞(2008年4月8日)

 日本の教育?研究の中核的拠点大学として辉かしい歴史と伝统を持つ、「変革し、飞跃する九州大学」の一员となられた皆さんを、心より歓迎致します。入学おめでとう。今日まで物心両面から受験生を支え、この晴れの入学式に出席しておられるご家族の方々にもお祝いを申し上げます。

 インド工科大学ボンベイ校学長のAshok Misra(アショク ミスラ)先生におかれましては、ご多用にもかかわらず入学式にご臨席賜り、祝辞を頂戴できますことを、九州大学を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 入学试験という苛酷な竞争を突破し、今日の晴れの姿があるのも、皆さん自身の努力によるものであることは间违いありませんが、周りの方々からの経済面、精神面、あるいは教育面の计り知れない多くの支援があったことを、新入生の皆さんは忘れてはなりません。

 まず皆さんが入学された九州大学の歴史と现状を説明しましょう。九州大学は、1911年に设立された工科大学と、1903年にすでに设立されていた京都帝国大学福冈医科大学とを统合し、1911年に九州帝国大学として诞生致しました。东京、京都、东北帝国大学に次ぐ4番目の帝国大学で、97年の歴史と伝统を夸る我が国の高等教育の基干をなす大学です。100年近い歴史の中で优れた人材育成と卓越した基础?基盘研究の成果によって常に社会に贡献してきました。现在、九州大学は学部学生约11,800名、大学院学生约6,800名、留学生及び外国人研究员约2,100名と教职员约4,800名が所属する巨大な知的集団であり、优れた人材育成と卓越した基础及び応用研究の成果を、常时世界に発信する我が国有数の中核的教育?研究拠点大学です。

 次に九州大学の新キャンパス、伊都キャンパスへの移転についてお话ししましょう。九州大学は、自ら定めた改革の理念を効果的に実现し、また、基础教育を确実に身に付けさせ、创造力を养う教育?研究の中核的拠点を実现するために、福冈市西区元冈?桑原地区に新しいキャンパスを创っています。その伊都新キャンパスでは、平成17(2005)年10月より工学部が教育?研究を开始し、平成18年度で工学系の移転は完了しました。现在、教职员と学生合せて5,200名が、古代ロマンの雰囲気と緑に囲まれた环境の中で、市民に开かれたキャンパス作りを行っています。伊都新キャンパスは、福冈ドーム约40个分の広さに相当する275ヘクタールと広大で、今后100年以上の教育?研究のための理想空间となります。伊都キャンパスでは、环境の保护と埋蔵文化财の保存には细心の注意が払われています。

 皆さんが大学での勉強を開始する六本松キャンパスの共通教育は、平成21年度からは伊都新キャンパスで行います。平成21年4月より、1、2年次の約5,000名の学生のための共通教育と、比較社会文化研究院と言語文化研究院の教育?研究が伊都新キャンパスでスタートします。既に教育?研究を開始している工学系の教職員、学生を合わせると約12,000名となり、九州大学で最大規模のキャンパスとなります。共通教育が行われる正門近くのセンターゾーンは、黒川紀章氏をリーダーとするチームの設計で、大学の顔となるよう整備を進めていきます。講義棟、図书馆、屋内体育館、さらに、课外活动施設も整備し、新入生が希望に満ちた大学生活をスタートさせるに相応しい学術的理想空間を創出します。ラグビー場2つ分程の面積を持つ多目的グランドには人工芝を張り、体育系课外活动を支援します。

 皆さんが九州大学に入学した目的は何であるか、もう一度入学式というこの日に真剣に考えてください。游び、のんびり过ごすためや、就职準备の目的で、九州大学に入学したのではありません。皆さんは、九州大学の教育と研究に耐えられる基础学力と体力を身に付け、また社会人として常识ある行动のとれる学生として、九州大学に合格したわけです。先にも述べましたように、九州大学の基础教育と创造教育は、担当される先生方の努力と工夫により、非常に充実しています。低学年基础教育や共通教育で教えられる授业を理解し、高学年専门教育の基础として身に付けられるかどうかは、皆さん个人个人の勉强に対する真挚な取り组み方によります。いくら良い教育を受けても、それを理解し、个性ある考え方として展开し、独创性?创造性を身に付ける努力をしなければ、大学教育を受ける意味はありません。

 皆さんは、柔软な考え方をもち、また出会う何事にも新鲜さを感じる感受性の强い青年です。そのような若い年令では、他人の意见に耳を倾け、理解し、身に付くよう努力することが重要です。そこで本日の入学式に当たり、大学で何を学ぶべきか、特に「人类への贡献」、「国际的感覚の涵养」、「创造性の育成法」について、述べてみましょう。

 まず、「人类への贡献」について、お话ししましょう。高等学校时代は、自分の勉强に精一杯で他人の為や社会への贡献、まして人类への贡献等それ程深く考えたことはないと思います。地球上の人は皆、本来生まれた时には平等です。しかし、同じ地球上でも、生まれた土地、国によって生活状态、贫富、政治?経済状况等にあまりに差があり、时には生きる権利さえ十分でない场合があります。国别の平均寿命を见ても、そのことが强く反映されています。皆さんが、これから高学年に向かって学び、自ら追究して身に付ける人文?社会?自然科学は、最终的には人类の不平等、即ち、エイズ、インフルエンザ等の病気の克服、食粮不足、贫困の解决、戦争?テロの根絶等に使われるべきです。科学?技术の进展と有効利用が、地球上で最も平和な武器なのです。大学で勉强する最终目标は「社会への贡献」、「人类への贡献」と言っても过言ではありません。

 次に、「国际的感覚の涵养」についてお话ししましょう。これから始まる九州大学での学生生活で、高等学校までと大きく异なる点の1つに「国际性」があります。九州大学には约1300名の外国人留学生がいます。现在では、社会生活に於いても、リアルタイムで世界各地から様々な情报を得ることができるようになっています。真の国际性とは、単に外国语が喋れるということとは违います。异なった国や民族の风俗习惯、宗教、歴史、政治、経済などの多様性を理解し、これらに対して自分の意见を述べたり、その国の人たちと讨论ができることです。政治、経済、スポーツ、芸能あるいは日常生活までもが国境を越え、ボーダーレスの状况になりつつあります。このような时こそ、外国语を话せ、その国の人达の习惯、考え方、感情が理解でき、その国の人达と讨论でき、激论を通じて、本当に相手を理解する能力を持つ社会人となる必要があります。

 国际的感覚を持ち、社会でのリーダーとなることが、先に述べた「人类への贡献の為」にも不可欠です。

 最后に、「创造性の育成法」についてお话ししましょう。私は、创造性を如何に自分で养うかをあらゆる机会に话しています。皆さんは、今日この入学式の会场に来るまでに身の回りで経験したことを思い出せますか。自分の身の回りに起きることを常に注意深く観察?観测して、その変化にも兴味を持ってください。身の回りに起こる自然の変化、政治?経済の変化、地势?天候の変化等に兴味を持ち、何故と考え、自分自身で解答を出してください。皆さんの疑问に、常に解があるわけではありませんが、自分で一生悬命考える习惯が大切です。皆さんの答えは个性的であり、独创的であるはずです。自分で考える习惯が、皆さんの个性、独创性を引き出し、科学分野の创造性を生み出します。科学?技术の创造性と、国际的感覚の涵养と、人の為になるというリーダーシップの発挥が、私达人类の最终目标である「人类への贡献」に直接繋がるのです。

 これまで述べた叁つの事柄以外に、皆さんは、大学时代に「人间性を研き、礼节を重んじる」、「社会への接点を自ら见付け、いろいろな経験を多く积む」、「良い文章に接し、国语力を身に付ける」等、学生?社会人として最も基本となることにも努力をしてほしいと思います。

 皆さんがこれから九州大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から强制されるものであってはなりません。学问に対する欲求と研究から新しい真実を见つけ出す喜びは同じであり、勉强も研究も、その本质は、新しいことを知る喜びであるのです。しかし、今から六本松地区を中心に受ける低学年共通教育や基础教育、そして箱崎地区、病院地区、筑紫地区、大桥地区と伊都地区のキャンパスで受ける学部専门教育、大学院教育及び研究には、新しい知识の蓄积、新事実の発见、さらに自分の考えを展开できるという期待と感动がありますが、决して易しく、楽しいばかりではありません。学问、研究は、専门的に深く追究すればする程、苦しさが増してきます。

 抵抗なく何事にも飞び込んで行き、失败が许されるのは若い时しかありません。新入生の皆さんは、若者の特権を持てる若い日はあっという间に过ぎることを自覚して、1日1日を有効に过ごし、九州大学の学生生活が実り多く、有意义なものとなるよう心掛けてください。大学から何かをしてもらおうと期待するのではなく、何を自分自身で行い学ぶべきかを考える社会人になってください。「持続して変革し、飞跃する九州大学」の学生という夸りをもち、何事にも自分の意见を持ち、积极的、建设的な行动の取れる社会人として、また高い志を持つ人间として成长することを愿って、入学式の告辞と致します。

「人类への贡献を真挚に考える社会人に」
平成20年4月8日
九州大学総长
梶山千里