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平成19年度 大学院学位记授与式(2008年3月25日)

歴代総长メッセージ(梶山千里元総長)一覧

平成19年度 九州大学大学院学位记授与式告辞(2008年3月25日)

 本日ここに大学院学位记授与式を挙行するに当たり、めでたくこの日を迎えられた1,717名の修士学位记と328名の博士学位记、そして197名の専门职大学院学位记を受けられる皆さん、おめでとうございます。皆さんの永年の研钻努力に深い敬意を表し、心からお庆び申し上げます。

 また、マサチューセッツ大学学長Jack Martin Wilson先生におかれましては、ご多用中にもかかわらず、大学院学位記授与式にご臨席賜り、祝辞を頂戴できますことを、九州大学を代表して厚く御礼申し上げます。

 皆さんが九州大学大学院で高度に専门的な教育?研究の指导を受けて、大学院修士课程あるいは博士课程修了という辉かしい门出に到达することができましたのは、皆さん自身の不断の努力の赐であることは勿论ですが、経済面から精神面にまで及ぶご家族の支援、人间的、社会的に独立できるように大学で教育?研究の指导をしていただいた教职员の励まし、研究室、ゼミでの先辈、友人の支えも、皆さんの大学院修了という目标达成に重要な要素であったことは疑いもありません。

 皆さんは大学の学部卒业后、九州大学の大学院という最高の教育?研究环境で、高度な専门分野における将来の日本のリーダーとなるための训练を受けてこられました。皆さんの受けられた大学院での教育?研究は、社会に出て直面する种々の问题に自ら进んで挑戦し、自分自身で考え、その解决の糸口とプロセスを见出すことのできる能力を身に付けるためのものであった筈です。社会に出て就职したときに、仅か数年间学んだ自分の専门分野以外には兴味がないという、视野狭窄的な人间を九州大学大学院で育てたつもりはありません。真の科学?技术は计り知れないほど高度で深く、皆さんの现在の能力や専门性はその入口にあるにすぎません。しかし、皆さんが受けられた九州大学大学院の教育?研究は、自分で问题を见付け、自分で解决するという「问题提起型の创造性开発教育?研究」であり、その训练を受けた皆さんは、日本、世界において国际的に科学を先导する研究者あるいはリーダーとなるべき人材として强く期待されているのです。

 最近の科学の进歩、とりわけ、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、遗伝子治疗、通信情报やエネルギー?环境分野の科学と技术の进歩は目覚ましく、私达が、その科学?技术の真の内容を理解する前にさらに进展してしまうというようなことがしばしばあります。このような现状が、人间が科学?技术に支配されたり、心と爱情に乏しい人间が増えている现象の一因となっています。科学の进歩は、ともすると人间を物质として捉えるか、あるいは物质至上主义の心を持つ人间をはびこらせる危険性を持っています。また、科学?技术の応用には、ともすると知性と感性を备えた人间を対象としていることを忘れかねない危険が常に存在し、人间の尊厳を着しく伤つける可能性さえあります。最高学府の优れた教育?研究环境で高度な専门知识を身に付けた皆さんは、将来の社会のリーダーと期待されています。今后、皆さんに求められるものは、皆さんが生み出す科学?技术が、人类を含めた全生物にとって真の幸福をもたらすものかどうか常に反芻を怠らない姿势と伦理観です。

 九州大学大学院で高度な学术専门知识を身に付けられた皆さんは、さらに国际的感覚を身に付けたリーダーであるべきと期待されています。いかなる组织であっても、その求められるリーダーであるためには、人间味溢れ、人间的に魅力があり、奥行が深く、他人を理解し、受け入れることができる人间性と社会性が必要です。换言すると目的意识を常に持ち、将来を考えることのできる人であるとともに、他人のためにどれだけ自己犠牲ができる人であるかということです。これらの人间性、社会性の上に、さらに、国际的に活跃できるリーダーの资质として、「多様性の许容」が不可欠となります。地球の様々な国あるいは地域に、私达と异なった民族観、世界観、歴史観あるいは宗教観を持つ集団が存在していることを理解することが、「多様性の许容」の基本です。自分自身の意见と异なる考え方を持つ个人あるいは集団が居ることを知って、初めて他人、他民族あるいは他国家を理解?尊敬することができます。「国际的视野」の涵养には、あらゆる分野の多様性を受入れることがまず第一です。リーダーの意识を持ち国际的视野に立って社会に贡献することも、人间としての価値の表现の一つです。そのためには、个性、独创性、创造性を身につけるための日顷の训练と、日本を含めた国际的视野を持って问题点を把握し判断、解决できるようになることが必要です。

 最後に、(博士)学位記の由来についてお話しいたします。学位記の用紙は、財務省印刷局で印刷されております。デザインは、大正から昭和20年にかけて発行された紙幣の図案を数多く手がけられた、磯部忠一氏の考案によるものです。輪郭は正倉院御物の古代紋様が描かれ、唐草紋様は東大寺三月堂の本尊であります不空羂策観音像の宝冠などに表現された宝相華唐草紋様に酷似しております。日本美術の黄金期といわれた8世紀、天平時代の美術作品から採用し、描き起こしたものと考えられます。この学位記は極めて格調の高い独創的な図案であり、九州大学に相応しいものであると思っております。 今後、皆さんがさらなる研鑽を続けられ、諸先輩方の築かれた九州大学大学院の伝統を引き継ぐとともに、新しい時代の、新しい日本を担う中核的あるいは指導的な存在として活躍されるよう期待して、私の挨拶といたします。

平成20年3月25日
九州大学総长
梶山千里