伊人直播app 九州大学について
平成26年4月7日 椎木讲堂
皆さん、九州大学への入学、おめでとうございます。また、新入生の皆さんを長年支えてこられたご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。本日は、皆さんの大先輩であります京セラ株式会社代表取締役会長の久芳 徹夫様にご来賓としてお越しいただき、皆さんにご祝辞をいただくことになっています。久芳様に九州大学を代表しまして厚く御礼を申し上げます。
九州大学は本日この式场にいる2,688名の学部学生とそれぞれの学府で入学式を行う大学院学生、修士课程1,769名、専门职大学院110名、博士课程587名、合计2,466名、学部大学院とあわせますと総计5,154名の新入生を迎えました。また、最近は秋入学式も行っていますので、10月には、约300名の仲间が加わることになります。
今年の入学式は二つの点で、特別な記念すべき入学式であります。まず、この椎木讲堂で初めて開催される入学式です。また、「基幹教育」が始まる最初の学年でもあります。
九州大学では、平成8年度までは入学式を箱崎キャンパスの创立五十周年记念讲堂で开催していましたが、学生数が増加したことに伴い、平成9年度からは福冈国际センターを借りて挙行していました。
このように入学式という新入生にとって最初の记念すべき行事を学外で开催せざるを得ない状况が続いていました。椎木正和様に、九州大学の创立百周年记念事业の一つとしてこの讲堂をご寄赠いただき、18年振りに入学式を大学の讲堂で开催できることになりました。椎木様に、この场を借りまして改めて深甚なる谢意を表したいと思います。
この椎木讲堂には、今、新入生のご家族の方々にお集り頂いておりますオープンスペースとしての「ガレリア」、大学の中枢機関として本部機能が集まる「管理棟」、そして本日の会場となっております「ホール」があります。このホールは約3千名を収容でき、大学の講堂としては日本最大規模のものであります。本日、この椎木讲堂での初めての入学式を、多くの方々のご列席のもと、また多くのご家族のご参加のもとで挙行できますことを大変喜ばしく思います。
さて、この伊都キャンパスは、平成17年の秋に工学系の第一阵が移転して开校して以来、やがて10年になります。平成21年4月から、すべての新入生の授业は伊都キャンパスで行われています。ここで一年间の「基干教育」を受けた后、皆さんは、それぞれの学部のあるキャンパスで卒业までの学生生活を过ごすことになります。现在建筑中の理学系の建物に、理学部等が平成27年の秋に移転してきます。その时点で、全体の约7割の教育研究栋が完成ということになります。
残すところは、人文社会系と農学系です。5年後の平成31年完了を目指していますので、皆さんが卒業するころには、この伊都キャンパスは、ほぼ完成しているのではないかと思います。敷地面積は、270ヘクタールを超え、完成時には建物の総床面積は50万㎡を超え、これは福岡ヤフオクドーム14個分以上の大きさになります。理学系の建物等の工事中で、特に図书馆へのアクセスで不自由をおかけしますが、こうして九大の発展の礎となる百年に一度のキャンパス整備の時期に居合わせ、その整備の状況を直視できることを幸運と感じて見守って頂きたいと思います。
このキャンパスは、豊かな自然环境に恵まれ、随所に歴史を感じることのできる丘陵地にあります。造成に当たっては、自然环境に最大限の配虑を行い、生物多様性の保全に努め、古坟等の贵重な文化财の保存に可能な限りの工夫と努力をして参りました。
自然や环境、歴史に最大限の心配りを行い、その上で、水素エネルギーや次世代燃料电池等に関する世界的な研究拠点を构筑し、ナノテクノロジー、有机贰尝デバイス、新材料の开発、产业のための数理学(マス?フォア?インダストリ)、滨颁罢等、世界最先端の科学技术の研究を展开し、それらの実証実験もこのキャンパスで行っています。また、地球社会统合科学や基干教育という新しい理念に基づく高等教育の研究もスタートしました。
皆さんの九州大学は、2011年に创立百周年を迎えました。1903年、京都帝国大学のひさしを借りる形で、京都帝国大学福冈医科大学としてスタートし、総合大学としての九州帝国大学は、工科大学の设置を待って、1911年に创设されました。
以来、学部等の増設、九州芸術工科大学との統合、法人化等を経て、現在では、学生約19,000名(留学生約2,100名を含む)、教職員約7,800名が在籍する総合大学に発展し、11の学部、21世紀プログラム、18の大学院学府、4つの専門職大学院、基干教育院と16の研究院、高等研究院、5つの研究所、最先端の医療を提供する最大級の大学病院、410万冊を超え、国立大学では、三番目の蔵書数を誇る附属図书馆等を擁する、我が国を代表する基幹総合大学として発展して参りました。
九州大学は、平成12年に、日本国民のみならず、世界中の人々からも支持される高等教育を一层推进するために、「教育宪章」を定めています。アジアをはじめ広く全世界で活跃する人材を辈出し、日本及び世界の発展に贡献することを目的にして、5つの原则、すなわち、①人间性の原则、②社会性の原则、③国际性の原则、④専门性の原则、⑤一体性の原则、を宣言しています。研究活动に関しては、学术宪章も定めています。
また、平成23年の创立100周年に际し、このステージの左侧にありますように「跃进百大」(どの分野でも世界のトップ百大学に入るよう跃进する。)というスローガンのもとに、「自律的に改革を続け、教育の质を国际的に保証するとともに、常に未来の课题に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点となる」ことを基本理念として掲げ、九州大学が目指す姿を、「社会の课题に応える大学」や「最高水準の研究を推进する大学」、「アクティブ?ラーナーを育成する大学」、「骨太のリーダーを养成する大学」等、スクリーンにあるような9つの事项にまとめて宣言しています。九州大学における教育研究诊疗活动は、こうした宪章やスローガン、基本理念、目指す姿等に沿った形で行われることになります。
さらに、九州大学は、九大百年に際して、大学における教育で最も重要な教養教育の位置付けを根底から見直し、強化することを決め、平成23年10月にその責任母体としての「基干教育院」を創設し、2年半かけて周到な準備をして参りました。新しい教養教育「基幹教育」がいよいよ今年入学の皆さんから始まります。すなわち、今年の入学式は、「基幹教育元年」という特別な年の入学式であります。
「基干教育」とは、学生が、自律的に生涯にわたって「ものの见方を学び、考え方を学び、学び方を学び」続けるアクティブ?ラーナーを育成する教育を言います。
基干とは、学びの姿势、学びの基本、背骨のことです。学びのモードを変えるために、当然、教えのモードも変わることになります。
大学では、研究を通じて教育すると言われ、特に、大学院では、学生が研究に直接取组むことによって、教育を受け、研究者あるいは高度な技术者として育っていきますが、同様に、学部教育においても、学生が授业に积极的に参加し、教授达と一绪になって教育を作り上げていく、という主体的な学びの姿势が大事です。
「学び」には基本的に叁つの种类があると思います。実験や计算、诊疗、英语によるコミュニケーション能力のように「技能を修得する」ことと诸科学における「知识を修得する」ことです。技能の修得には、训练が欠かせません。この二つは基本中の基本ですが、同时にこうした「技能や知识の修得の仕方を修得する」という、もう一段、阶层の高い、いうならば「メタな学び」があります。基干教育では、それを身に付けてもらおうと考えています。
そういう学びの姿势が身に付けば、学部に进んでも、卒业后就职しても、大学院に进学しても、未知の问题や课题に直面しても狼狈えることはないと思います。勉强の仕方、考え方が身に付いていますので、しっかり対応できるはずです。
日本は、课题先进国と言われることがあります。様々な课题に世界に先んじて直面してきたからであります。それらは、多くの开発途上国がこれから直面する种类のものであります。日本は、これまでそうした课题に正面から向き合い、非常に高いレベルで解决をしてきました。その解决策とそこへ至るプロセスを通じて、広く国际社会を先导し、大きく贡献してきたと思います。
现在は、少子高齢化の急速な进行、生产人口の减少、その中での高度な医疗や福祉、环境とエネルギー、原子力発电、食料确保と安全性等、多くの「先进的な」课题に直面しています。こうした课题に、国际的な竞争力が低下し、财政的にも厳しい状况のもとで向き合い、それらを解决していかなければなりません。
必然的に、高等教育や科学技术?イノベーションに対する期待と要请が、つまり大学における教育研究に対する期待と要请が强くなり、九州大学のような基干大学には、大きな成果と改革を迅速に进めることが强く求められています。
九州大学は、学问の自由と大学の自律性を确保しながら、そうした要请やそれを実现するための政策に的确に反応しています。先ほど述べた教育宪章や学术宪章、创立百周年に际して宣言した基本理念や目指す姿は、そうした要请を先取りした形になっていて、当然それらと整合したものになっています。
社会からの要请は、こうした课题解决のための科学技术やそれに基づくイノベーションだけでなく、若者の内向き志向を打破して、グローバル社会に雄飞する人材の育成等、大学における教育にも及んでいます。そうした人材育成を促进するため、国费や例えば、「トビタテ留学闯础笔础狈」のような民间からの寄付金による支援プログラムも用意されています。
また、こうした国の支援に加えまして、本学では、百周年记念事业のひとつとして设立した九州大学基金による山川赏や留学支援、海外研究発表支援等をはじめとする多くの支援?助成プログラムを用意しています。
こうした支援プログラムに積極的に応募して活用し、視野を広げ、グローバル社会を牽引する骨太のリーダーを目指して頂きたい。そのためには、日本语及び英語によるコミュニケーション能力を鍛え、日本の文化や伝統、世界の歴史を正しく理解し、説明できるようにしておく必要があります。もちろん、体育会系や文化系の部活等にもしっかり取組み、体と心を鍛えておくことも大事です。
九州大学には现在约2,100名の外国人留学生が学んでいます、その多くは、大学院の学生で、秋に入学する学生も大势います。そうした留学生とも积极的に交流し、相互の理解を深め、そうすることによって、国际性を身に付け、海外に飞び立ち、海外で学ぶための準备にも役立てて顶きたい。
さて、皆さんは、伊都キャンパスでの1年间の基干教育が终わると、それぞれのキャンパスで学部専攻教育を受け、専门性を身につけることになります。この伊都での基干教育を通じて、「理工系の学生は人文社会系」に、「人文社会系の学生は理工系」に関心をもっていただき、自分の専攻と违う异分野の科目を可能な限り受讲し、同时に、异分野の仲间?友达を作り、交流を広げて顶きたい。
また、皆さんは、学部に入学したばかりですが、卒業後のことも当然意識して、大学生活を設計しておく必要があります。近年、全国の基幹大学では大学院に進学する学生が年々増加しています。特に、修士課程については企業も重視しています。例えば、理工系では学部卒业生の70%から90%が大学院に進学しています。また、グローバル社会で活躍するには、理工系だけでなく、人文社会系の分野においても博士の学位が期待されます。こうした進路も視野に入れておいていただきたいと思います。
最后に、私は自分の教授时代の経験に基づいて、入学式等の机会に必ず话しているのですが、「皆さんの能力は、今皆さんが自分で感じているより遥かに高い。」そのことを信じて、最大限の努力をして、国や大学が用意している留学を始めとする様々な支援制度や施设等を积极的に活用し、素晴らしい学生生活を过ごし、将来の飞跃のための基础体力と强靭な精神力を身につけられることを期待して、告辞とします。
平成26年4月7 日
九州大学総长
有 川 节 夫