伊人直播app 九州大学について
みなさん、卒業おめでとうございます。今年は、2,492名の学部学生が九州大学を卒業します。今日まで卒业生を支え、励まし、指導してこられたご家族や教職員、ご関係の皆様に心から御礼とお祝いを申し上げます。 なお、本日午後の大学院学位記授与式と合わせますと、4,729名が九州大学から巣立つこととなります。
本日の学位記授与式は、この3月4日に落成式を済ませたばかりのこの椎木讲堂で行われる最初の学位記授与式であります。九州大学では、平成18年度(19年3月)までは学位記授与式を箱崎キャンパスの創立五十周年記念講堂にて開催しておりましたが、平成15年10月に九州芸術工科大学と統合し、学生数が増加したことに伴い、平成19年度(20年3月)からは福岡国際センターにて挙行して参りました。
このように学位记授与式という大学にとって最も重要な行事を学外で开催せざるを得ない状况が続いておりました。九州大学の创立百周年记念事业の趣旨にご賛同を顶き、この讲堂を寄赠して下さいました椎木正和様に、この场を借りて改めて深甚なる谢意を表したいと思います。
椎木讲堂は学生、教職員や市民の方々が集うオープンスペースとして「ガレリア」、大学の中枢機関として本部機能が集まる「管理棟」、そして本日の会場となっております「ホール」があります。このホールは約3千名を収容でき、大学の講堂としては日本最大規模のものであります。本日、この椎木讲堂での初めての学位記授与式を、多くの方々のご列席のもと挙行できますことを大変うれしく思います。
この伊都キャンパスは、平成17年秋に工学系の第一阵が移転して开校して以来、やがて10年になります。平成21年4月から、すべての入学生の授业すなわち全学教育はここ伊都キャンパスで行われておりますので、今日卒业する皆さんの多くは、九州大学での学生生活を伊都キャンパスで始めたことと思います。全学教育を受けた后は、それぞれのキャンパスで卒业までの学生生活を过ごしたわけですが、その间に伊都キャンパスの整备が日々进む様子を目の当たりにしてこられたことと思います。现在建筑中の理学系の建物に、理学部等が平成27年の秋に移転してきます。その时点で、全体の约7割の教育研究栋が完成ということになります。残すところは、人文社会系と农学系。5年后の平成31年完了を目指しています。
みなさんの在学期間中に、九州大学創立100周年記念事業がありました。この椎木讲堂や稲盛财団记念馆等の建物に加えて、多くの個人や企業の皆さんから多額のご寄付を頂きました。それを基にしまして「九州大学基金」を創設して、学生や若手教職員の留学や海外渡航支援等、様々な支援?助成事業を始めました。皆さんの中にもその恩恵に浴した人が何人もいると思います。また、平成21年には、大学病院の再開発が完了し、平成22年にはカーボンニュートラルエネルギー国際研究所、平成23年にはマス?フォア?インダストリ研究所という世界的な研究拠点ができました。平成23年度には基干教育院がスタートしました。
国内外においても、実に様々なことがあり、国际、外交、政治、経済等、社会全般にとっても、実に厳しい期间でありました。百年に一度といわれた金融危机、新型インフルエンザの流行、アラブ诸国での政変や暴动、贰鲍における金融危机、昨年フィリピンを直撃した台风等の自然灾害、近隣诸国との関係の悪化、クリミア问题等、枚挙に遑がありません。
しかし、何といっても、一番大きな出来事は、3年前の平成23年3月11日に発生した东日本大震灾でした。この地震とそれに伴って起こった津波によって1万6,000人近い贵い命が失われ、いまなお、2,600人以上の方々の行方が分からず、约26万7,000人が避难や転居を余仪なくされています。これらの方々に改めて衷心より哀悼の意とお见舞いを申し上げます。この震灾から我々は、想定外を无くする备え、被害を最小にする减灾という考え、不十分な情报のもとでも机能する备えや训练、広域的な対応のとれる制度、防灾教育、経験の后世への伝承の必要性等、大规模な自然灾害に関する多くの教训を得ました。
科学技术に関しては、最近、世间を騒がせている研究者としてのモラル问题は、この数年、はやぶさの帰还や铃木先生、根岸先生、山中先生のノーベル赏受赏、スーパーコンピュータ「京」の成功等を通じて、我が国の科学技术の素晴らしさを感じていただけに、残念なことであります。一方で、昨年の2020年の夏季オリンピックの东京开催决定やいわゆるアベノミクスの効果など、明るい兆しもいくらか见えてきたように思います。
このような学内や国内外の状况の中で、皆さんは、この4年间あるいは6年间、卓越した先生がたの指导を受け、仲间と共に勉学や部活に励み、また、先辈や后辈と共に过ごし、互いに影响を受け合いながら、社会との関わりを通じて成长し、大きな达成感をもって本日の卒业式を迎えたことと思います。
皆さんは、これから大学院に进学、あるいは就职して社会に踏み出すわけですが、そこでは様々なチャレンジが待っています。それらに、大胆に、粘り强く、しかもスピード感をもって対応しなければなりません。
そのためには、これから進学する大学院や就職する社会において、皆さんにどのようなことが期待され、求められているのか、それを知っておくことは極めて重要だと思います。そのような期待や要請は、実は、大学の取组みや文部科学省等の施策に現れています。そのいくつかを紹介しておきます。少なくとも、そこに現れるキーワードのいくつかについては意識しておいて頂きたいと思います。
まず、九州大学では、2011年の创立百周年を记念して、先ほど触れた九州大学基金を始め、様々な事业を実施しています。また、新たな百年に向けて、「九大百年、跃进百大」、すなわち,すべての分野において世界のトップ百大学に跃进する、というスローガンを掲げ、「自律的に改革を続け,教育の质を国际的に保証するとともに、常に未来の课题に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点となる」という基本理念のもとに、次のような九つの目指す姿とその実现のための行动计画を宣言しています。
一、社会の课题に応える大学
二、最高水準の研究を推进する大学
叁、アクティブ?ラーナーを育成する大学
四、骨太のリーダーを养成する大学
五、先端医疗により地域と国际社会に贡献する大学
六、卓越した研究教育环境を构筑?维持する大学
七、グローバル社会と地域社会を牵引する大学
八、自律的改革により进化し続ける大学
九、知の蓄积と継承?発信を推进する大学
これらは、九州大学としての目指す姿ですが、当然、社会や学界等からの本学に対する期待や要请を反映したものになっています。これから大学院に进学し、あるいは公司等に就职する皆さんの今后の活跃なしではこの目指す姿は达成できるものではありません。このスローガン、理念、目指す姿を皆さんに共有して顶き、皆さんの目标にもして顶きたいと思います。
また、九州大学は、九大百年に際して、平成23年10月に「基干教育院」を創設し、これまでの教養教育あるいは全学教育というものを全面的に見直し、2年半に亘る周到な準備を行って参りました。いよいよこの4月入学の新入生から「基幹教育」がスタートします。この基幹教育とは、先ほどの「目指す姿」の3番目にもありますが、学生が、自律的に生涯にわたって「ものの見方を学び、考え方を学び、学び方を学び」続けるアクティブ?ラーナーを育成するものです。
皆さんは、この新しいシステムとしての「基干教育」を直接は受けてはいませんが、大事なことは、生涯学び続けるという态度とチャレンジ精神、行动力を身につけることです。それらは、これからでも可能です。皆さんは、これまで、个々の知识だけを学んできたのではない。それぞれの知识を学ぶプロセスを通じて、「学び方」や「考え方」を学んできたのです。つまり、皆さんも実は、アクティブ?ラーナーとしての基本を身に付けているのです。ですから、未知のこと、未経験の课题や事态への対応の仕方の基本は身に付いているのです。是非、そのように考えて巣立って顶きたいと思います。
さらに、九州大学では、文部科学省等の支援を得て、国際化推進のための様々な教育プログラムに取組んでおります。例えば、G30プログラムやグローバル人材育成推進事業、世界展開力強化事業、博士课程教育リーディングプログラム等です。これらは、社会からの大学や学生、若い世代に対する要請や期待を反映したものになっています。
骋30は、留学生30万人计画を推进しようとするもので、本学でもこの5年间に留学生数はほぼ倍増しました。「グローバル人材育成推进事业」は、最近の日本における若い世代の「内向き志向」を克服し、国际的な产业竞争力の向上や国と国の绊の强化の基盘として、グローバルな舞台に积极的に挑戦し、活跃できる人材の育成を図るため、大学教育のグローバル化を推进しようとするものです。本学では、农学部が「国际的アグリバイオリーダー育成」に取组んでいます。
「大学の世界展开力强化事业」は、世界に雄飞する人材の育成、教育の国际的な质保証、日本人学生の海外留学と外国人学生の戦略的受入、アジア?米国等の大学との协働教育等を行う事业です。本学では、エネルギー环境理工学、地球资源工学、法学のスパイラル型恊働教育に関して、アジア诸国との协働教育を展开しています。
「博士课程教育リーディングプログラム」は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え、広く社会にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、 産学官の参画を得つつ、専門分野の枠を越えて博士課程前期?後期一貫した質の保証された学位プログラムです。本学では、全学府が参加できる「持続可能な社会を拓く決断科学」、工学府を中心にした「分子システムデバイス」、総合理工学府を中心にした「グリーンアジア国际戦略」の3件が文部科学省の事業として採択されています。これに加えて、本学独自のリーディングプログラムもあり、地球社会統合科学府の「フューチャーアジア創生」、数理学府の「キーテクノロジーを牽引する数学博士」、医学府の「新世代コホート」がスタートします。
以上、少し时间を割いて、九州大学で取组んでいる重要な教育プログラムについて绍介しました。社会はどのような人材を求めているか、理解して顶けたと思います。
皆さんの中には、卒業後大学院に進学する人が大勢いると思います。最近、大学院への進学率は高く、主要な大学の理工系では70%~90%に及んでいます。今日の午後に大学院学位記授与式がありますが、修了生は2200名を超えています。大学院進学者は、こうした特別な教育プログラムに、特に、ハードルは高いですが、リーディングプログラムに是非挑戦して下さい。また、企業等に就職する卒业生も、機会があったら、学び直しのため、あるいは、社会人学生として大学院に戻って来て下さい。学びに終わりはありません。
九州大学は、卒业后も皆さんと共にあり、皆さんのためにあります。九州大学は、各种の同窓会等を通じた皆さんとの繋がりを大事にします。九州大学は、皆さんの活动を応援し、皆さんの活跃と成功を通して、様々な分野に贡献し、存在感を示していきたいと考えています。
最后に、自分の教授时代の経験に基づいて、机会あるごとに言っているのですが、皆さんの能力は皆さんが今思っているよりはるかに高い。そのことを信じて、大きく飞跃し、グローバル社会を力强く牵引するリーダーとして大成されることを期待して告辞とします。
平成26年3月25日
九州大学総长
有川节夫