伊人直播app 九州大学について
本日学位记を授与された博士387名、修士1,702名、そして専门职大学院学位记を授与されました148名、合计2,237名の皆さん、おめでとうございます。皆さんのこれまでの勉学や研究を指导し、また様々な面で支えてくださった先生がた、研究室、事务职员、技术系职员の皆様、そして、ご家族の皆様に対しまして御礼とお祝いを申し上げます。
九州大学では、平成18年度(19年3月)までは学位记授与式を箱崎キャンパスの创立五十周年记念讲堂にて开催しておりましたが、平成15年10月に九州芸术工科大学と统合し、学生数が増加したことに伴い、平成19年度(20年3月)より福冈国际センターにて挙行しておりました。学位记授与式という大学にとって最も重要な行事を学外で开催せざるを得ない状况が続いていたわけです。九州大学の创立百周年记念事业の趣旨にご賛同を顶き、この讲堂を寄赠して下さいました、椎木正和様に、この场を借りて改めて深甚なる谢意を表したいと思います。
椎木讲堂は学生や教職員、市民の方々が集うオープンスペースとしての「ガレリア」、大学の中枢機関として本部機能が集まる「管理棟」、そして本日の会場となっております「ホール」があります。このホールは約3千名を収容でき、大学の講堂としては日本最大規模のものであります。本日、この椎木讲堂での初めての学位記授与式を、多くの方々のご列席のもと挙行できますことを大変喜ばしく思います。
さて、皆さんの大学院学生としての在学期间は様々ですが、九州大学は、この十年程の间に大きく进化しました。平成15年(2003年)には九州芸术工科大学と统合し、平成16年(2004年)には法人化し、平成17年(2005年)には工学系の第一阵を皮切りに伊都キャンパスへの移転が始まり、平成21年(2009年)には六本松キャンパスを廃止し、すべての新入生の授业が伊都キャンパスで行われるようになりました。同时に、六本松にあった比较社会文化研究院?学府や言语文化研究院等も伊都キャンパスに移転し、叁カ所に分散していた数理学研究院?学府も伊都に集结し、理学部数学科も一绪に移転しました。この年、平成21年(2009年)には、移転事业と併行して展开していた大学病院の再开発というもひとつの大事业が完了しました。伊都新キャンパスへの移転は、厳しい财政状况にも拘らず比较的に顺调に进み、平成27年(2015年)の理学系移転の时点で、建物の整备でいうと全体の70%が完了することになります。こうして平成31年の移転完了へ向けて着実に进展しています。
学内はこのような状况にありますが、この数年间は、国际、外交、政治、経済等、社会全般にとっても、実に厳しい変化の多い期间でありました。百年に一度といわれる金融危机、アラブ诸国での政変や暴动、ギリシャやキプロス等の财政危机に见られるような贰鲍における金融危机、昨年フィリピンを直撃した台风等の自然灾害、近隣诸国との関係、クリミア问题等、枚挙に遑がありません。
中でも一番大きな出来事は、3年前の平成23年3月11日に発生した东日本大震灾でした。この地震とそれに伴って起こった津波によって1万6,000人近い贵い命を失い、いまなお、2,600人以上の方々の行方が不明で、约26万7,000人が避难や転居を余仪なくされています。これらの方々に改めて衷心より哀悼の意とお见舞いを申し上げます。この震灾から、科学技术の在り方を含めて大きな课题を突きつけられました。大学では、あらゆる可能性を见极めながら、それぞれの専门分野を中心にして、新たな発想で深い研究を展开しているところであります。
科学技术に関しては、この数ヶ月、研究者の信頼やモラルに関する初歩的问题で世间を騒がせている状况は、最近の「はやぶさの帰还」や山中先生のノーベル赏受赏、スーパーコンピュータ「京」の成功等を通じて、我が国の科学技术の确かさを感じ、喜びを噛み缔めていただけに、残念でなりません。停滞感や闭塞感に支配されていた日本社会について、2020年の夏季オリンピックの东京开催决定やいわゆるアベノミクスの効果等、明るい兆しも所々で感じられるようになってきました。
このような学内外の情势の中で、皆さんは、この数年间、卓越した先生がたの指导を受け、基础的な、あるいは最先端の研究に取り组み、确かな方向を掴み、立派な研究成果を得る等、大きな达成感をもって本日の学位记授与式を迎え、そして、更なる高みを目指して、次のステージに进むことになります。
その际、社会が皆さんに何を期待しているのかについて、もう一度确认しておくことが大事だと思います。それは、最近、大学院修了者、特に、博士の皆さんに対する世间の风当たりが强くなっているからでもあります。もちろん、その中には、むしろ、文化や価値観、気质、惯习等に起因する社会の侧も问题もあり、社会の侧にこそ変化が求められるところも多々あるのですが、自分たちに求められているのは何か、自分たちに欠けているものがあるとしたらそれは何かについて、このような机会にしっかり见极めておくことは、意义深いことであると考えます。
社会の期待や要请は、公式的な形では、国の大学设置基準や本学の学位规则に表れています。もちろん、皆さんよく知っていることですが、例えば、博士课程については、国の大学院设置基準や九州大学の学位规则では、「専攻分野について、研究者として自立して研究活动を行い、又はその他の高度に専门的な业务に従事するために必要な高度の研究能力及びその基础となる豊かな学识を养う」ことを目的としています。同様なことは、修士课程に対しても书かれています。専门职大学院については、职业の専门性に基づく记述になっています。皆さんは、こうした基準に沿って、教育を受け、论文等の审査を受け、めでたく本日の学位记が授与されたわけであります。
したがって、「研究者としての博士(修士)」だけでなく、様々な高度な业务で、いわば「総合职としての博士(修士)」としての见识や活动、対応も期待されているのです。このことを特に强く意识して活动して下さい。そのような「総合职」としての见识や活动は、皆さんのようにひとつの分野で高度に専门的な问题解决の実绩があるから可能になるのです。その実绩と経験を援用することによってのみ可能なのです。そのような见识と态度で事に当たれば、未知の课题に対して独创性のある効果的?効率的な解决策が提示できるはずです。そうすると、「自分の専门に闭じ篭っていて、融通は利かず、俯瞰力もない」といった不当な苦言を呈されることも无くなり、その结果、皆さんや皆さんの后辈达の进路や活跃の场も広がってくるものと思います。
また、学び続けるという姿勢も重要です。九州大学では、九大百年に際して、平成23年10月に「基干教育院」を創設しました。これまでの教養教育あるいは全学教育といったものを全面的に見直し、2年半にわたって周到な準備をしてきました。基干教育院の教員を中核にして全学の教員が参画して、いよいよこの4月入学の新入生から「基幹教育」が始まります。この基幹教育とは、学生が、自律的に生涯にわたって「ものの見方を学び、考え方を学び、学び方を学び」続けるアクティブ?ラーナーを育成するものです。新入生は全員1年間、伊都キャンパスでこの理念に基づく「基幹教育」を受けますが、学部や大学院でも、ある程度の専門性を経験し、必要性を実感したときに、基幹教育が受けられることになっております。
この基干教育は、皆さんの在学中には间に合いませんでしたが、皆さんは、大学院において、ひとつの専门分野を极めました。あるいは、身に付けました。同时に、そのプロセスにおいて、自分が取组んできた课题や専门领域について、ものの见方を学び、考え方、学び方を极め、身に付けてきました。そうした特定の课题を通じてのそうした経験は、敷衍できるのです。一般化できるのです。そう意识してみて下さい。そうすると、皆さんは、専门を极め、身に付けただけでなく、ものの见方、考え方、学び方を学んできたことに気付くと思います。その意味で、皆さんも、立派なアクティブ?ラーナーなのです。
こうした九州大学の教育改革は、社会や学界からの期待や要請を真摯に受け止めて自主的に自律的に実現したものですが、国の方は、財界や一般社会からの要請に応じて様々なプログラムやプロジェクトを競争的な環境のもとで用意しています。多くは、国際化を推進し、グローバル社会の中で活躍するリーダー養成を目的とするものです。九州大学は基幹総合大学でありますので、当然、すべての事業に応募して、挑戦しています。例えば、グローバル人材育成推進事業や世界展開力強化事業、博士课程教育リーディングプログラム等です。
「グローバル人材育成推进事业」は、最近の日本における若い世代の「内向き志向」を克服し、国际的な产业竞争力の向上や国と国の绊の强化の基盘として、グローバルな舞台に积极的に挑戦し活跃できる人材の育成を図るため、大学教育のグローバル化を推进しようとするものです。本学では、农学部が取组んでいます。
「大学の世界展开力强化事业」は、世界に雄飞する人材の育成、教育の国际的な质保証、日本人学生の海外留学と外国人学生の戦略的受入、アジア?米国等の大学との协働教育等を行う事业です。本学では、エネルギー环境や地球资源、法学に関する事业が採択され、アジア诸国との协働教育を展开しています。
「博士课程教育リーディングプログラム」は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え、広く社会にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、 産学官の参画を得つつ、専門分野の枠を越えて博士課程前期?後期一貫した質の保証された学位プログラムです。本学では、全学府が参加できる「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」、「分子システムデバイス」、「グリーンアジア国际戦略」の文部科学省の3事業に加えて、本学独自のリーディングプログラムとして、「フューチャーアジア創生」、「キーテクノロジーを牽引する数学博士養成」「新世代コホート」に関する3つの博士課程教育がスタートしております。
こうした事业や取组みの中に、少なくとも、こうした事业に含まれているキーワードに大学への、特に大学院教育に対する社会の期待を読み取り、皆さん方、明日からの生活や活动の目标として顶きたいと思います。
最后に、九州大学の外国人留学生は、この5年间に倍増し、二千人を优に超えています。本学の场合、留学生の多くは大学院で学んでいます。秋季入学の留学生も増えていますので、数年前から秋季学位记授与式に加えて、秋季入学式を挙行しています。九州大学は、グローバル30プログラムに热心に取组み、先程述べた、グローバル人材育成推进事业や世界展开力强化事业、リーディング大学院等、数多くの国际事业を推进しています。留学生の皆さんは、修了后も出身の研究室の先生がたや仲间との共同研究や共同教育プログラム、あるいは同窓会活动等を通じて、九州大学との関係を强固なものとして维持し、さらに発展させてください。
皆さんが、留学生の皆さんと共に、勇気を持って未知の世界に飞び込み、新しい世界を拓き、迅速かつ的确に决断できる、専门性、総合力、俯瞰力を兼ね备えたグローバルリーダーとして大成されることを期待して、告辞とします。
平成26年3月25日
九州大学総长
有川节夫