伊人直播app 九州大学について
新年おめでとうございます。
昨年8月末に行われた众议院议员総选挙における民主党の跃进により、我が国における歴史的な政権交代が行われました。新政権のもとでは、予算编成の仕方も大きく変わり、前政権下で策定されていた补正予算や来年度概算要求原案が见直され、さらに、「国民的な観点から、国の予算、制度、その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民间の役割の在り方の见直しを行う」(平成21年9月18日阁议决定)との目的で设置された「行政刷新会议」では、一般公开のもとで「事业仕分け」作业が行われ、高等教育や学术研究に係る多くの事业について缩减や见直し等の方针が示されました。この见直しについては、学术や高等教育の推进に対する大きな悬念と危机感から、本学を含め多くの研究机関や研究者个人、団体?グループから数多くの声明等が出されました。
年末に阁议决定された来年度予算案では、依然として运営费交付金の削减や重要な竞争的资金の削减等、深刻な状况が続いてはいますが、2007年に始まりいまだ终焉しない金融危机や、税収の减少とデフレ倾向という深刻な状况、さらにはマニフェストで掲げた多くの新规事业への取り组みなどを考虑すれば、学术や高等教育に関しては、ある程度の理解と配虑が示されたのではないかと思います。
一方、九州大学においては、昨年は大きな変化?前进?成果が见られました。9月には、旧制福冈高等学校以来88年の歴史をもつ「六本松キャンパス」が闭校しました。また、「田岛寮」も闭寮しました。诚に感慨深いものがあります。
六本松キャンパスの閉校の一方、伊都キャンパスでは新たな施設がオープンしました。まず、4月には、「伊都キャンパスセンター?ゾーン」がオープンし、一?二年生を中心とする全学教育が始まり、伊都キャンパスは本学で最大のキャンパスとなりましたし、9月には「数理学研究教育棟」が竣工、理学部数学科、数理学府、数理学研究院が伊都に集結し、この時点で、平成6年の教養部廃止以来続いていた全学の研究院レベルでの分断状態が解消されました。また、10月には、百周年記念事業に賛同してご寄付を頂いた「稲盛财団记念馆」がオープンし、これにより「稲盛フロンティア研究センター」における研究活動が本格化してきました。さらに、整備充実が進んでいる伊都キャンパスにおける共通の事務を円滑?迅速に遂行するために「伊都共通事務部」が設置されました。
病院キャンパスでは、9月に、「新外来诊疗栋」が开院し、大学病院の再开発事业が完了しました。
教育研究では、まず、4月に、新しい大学院「统合新领域学府」がスタートし、「ユーザー感性学専攻」と「オートモーティブサイエンス専攻」という他に例のない新しい大学院専攻における教育研究が始まりました。近年、環境問題はエネルギーやCO2削減という面で注目されていますが、6月には、より根源的な生態系や生物多様性保全、自然共生社会を扱うグローバルCOEプログラム「自然共生社会を拓くアジア保全生態学」が採択されました。このことは、これからの地球環境を考える上で極めて意義深いことだと思います。7月には、「国際化拠点整備事業(グローバル30)」にも採択され、本学が2020年を目途に構想を描いている究極の国際化に向けた具体的な活動に弾みがつきました。これを受ける形で、5月に既に箱崎地区に設置していた「外国人留学生?研究者サポートセンター」を11月に各キャンパスにも設置し、留学生や外国人研究者が本学で活動し、福岡で生活するために必要な諸手続きを一元的にサポートする事業が開始しました。
7月には、本学独自の取り组みである「主干教授」制度がスタートしました。大型の具体的なプロジェクトを展开中の主干教授による新しい形の「研究センター」も既にいくつか开设され、研究活动が开始されています。また、10月には、既存の部局を超えた全学的な组织として、より高いレベルの国际的研究拠点としての飞跃が期待される「高等研究院」を设置し、ノーベル赏级の极めて高い研究业绩を有する栄誉教授、特别主干教授等のシニア研究者と(テニュア?トラックプログラムによる)特别准教授の若手研究者による実质的かつ高度の研究教育活动が始まりました。
本学出身の宇宙飛行士若田光一博士が国際宇宙ステーションでの長期滞在を成功させ、11月には、伊都キャンパスで帰国報告会が開催されました。また、8月には、若田宇宙飛行士の所属先でもある「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」との组织対応型连携がスタートしました。10月には、100年の伝統を誇る九大フィルが福岡市民文化活動功労賞を受賞しました。11月には、整備が進んでいる伊都キャンパスが福岡市都市景観賞に選ばれました。運営面においては、3月に、二回目の財務格付けで最高の「AAA」を更新しました。
运営费交付金が毎年约1%削减され、大学病院も毎年2%の経営改善係数が课せられ予算削减が続く厳しい财政状况の中で、法人のメリットを最大限に活用すべく、上记のことも含めて、様々な改革?事业を推し进め、今年4月から始まる次期中期目标?中期计画期间に向けての基盘整备を行ってきました。
今年は、国立大学法人としての第二期中期目标?中期计画期间のスタートの年でもあります。次期中期目标?中期计画の达成実现に向けた具体的な取り组みが始まりますが、これまでの国立大学法人としての教育?研究?诊疗活动に加えて、新政権が打ち出している「国民的な観点」を常に意识して、なお一层の公平性?透明性を确保し、具体的な形での国民各层への理解を求める努力が必要になると思います。しかし、それは通常の费用対効果の考えだけでなく、科学技术?学术の振兴と次世代を担う高度な人材の育成という、社会的?国民的な投资という観点から、日本をそして世界を根底から支えるための息の长い地道な取り组みに基づいたものでなければなりません。
大学としてまず揺篮期の研究を支え、それを科学研究费补助金のような自由な発想に基づく研究活动へ繋ぎ、国などが定める政策课题解决のためのプロジェクト研究へと羽ばたいてもらうよう、环境の整备を行う必要があります。また、低炭素社会やクリーンエネルギー、环境问题をはじめとする持続可能社会の実现や高度先进医疗等を先导する「戦略的な研究」にも果敢にチャレンジする必要があります。また、人文社会科学の役割がこれまで以上に强くなり、各方面から期待されています。そうした期待に根底から、またタイムリーに応えていく必要があります。こうした研究に本学の研究者が存分に力を発挥できるよう环境整备と有効な制度の设计に取り组みたいと考えています。
教育面では、特に、博士后期课程の充実、博士取得者のキャリアパス、ポストドクター、职业教育等の问题がクローズアップされています。これは、21世纪を担う高度な研究者?技术者の养成と活用に関する根源的な问题を包含しています。また、内向き倾向にあるといわれている研究者や学生の问题、広い视野と関心をもった研究者?指导者の育成という大きな课题もあります。こうした问题等に対する抜本的な解决策を探し、国などへ具体的な提案を行い、できるところから大学独自の取り组みを始める必要もあります。长引く不况下における学生の修学支援についても考えなければなりません。
様々な制度改革や事业の展开には、多くの事务量が発生します。そうした事务に係る人件费や人员を削减しながら、また、障害者雇用问题も解决しながら対応しなければなりません。滨颁罢等を存分に活用することは当然ですが、业务の効率化へ向けた全学协力体制を确立し、すべての大学构成员がそれぞれの立场で、存分に持てる能力を発挥し、効率的なマネージメントができるように工夫する必要があります。
创立百周年は、いよいよ来年になりました。「知の新世纪を拓く」を基本テーマとした记念事业の準备作业を具体化する年になります。大学の改革と课题解决に连动した新しい记念事业を成功させるためには、募金事业を始めとした様々な行事に教职员が一体となって取り组むことが不可欠だと思います。
学内外、国内外の课题が山积し、先行き不透明な部分もありますが、こうした课题へのチャレンジは我が国を代表する基干総合大学としての存在感を示す好机でもあると考えます。本年が、世界中の人々、そして九州大学に学び働くすべての学生?教职员にとって、実りある年になることを祈念して新年の挨拶とします。
平成22年1月1日
九州大学総长 有川 节夫