伊人直播app 九州大学について
本日、ここに大学院学位记授与式を挙行するに当たり、学位记を授与されました修士1,778名、博士345名、そして専门职大学院学位记を受けられた210名の皆さんに、これまでのたゆまぬ研钻努力に対し深い敬意を表し、心からお祝い申し上げます。
本日は、ベルギーからレウベンカトリック大学 Martinus Buekers(マート?ブーケルス)副学長に、ご多用中にもかかわらず、ご臨席賜り、ご祝辞を頂けることになっています。九州大学を代表して、ブーケルス副学長に厚く御礼申し上げます。
九州大学は、明治36年(1903年)、京都帝国大学の一分科として设置された福冈医科大学と、明治44年(1911年)开设された工科大学とをもって、同年(1911年)に日本における第四番目の帝国大学、九州帝国大学としてスタートしました。以来、100年を超える歴史を通じて、我が国を代表する基干的総合大学として、最高水準の教育?研究?诊疗活动を行って参りました。大正10年(1921年)9月1日付けで第1号の医学博士号を授与して以来、皆さんを含めて、约25,000名の博士を、そして、约41,000名の修士と705名の専门职大学院修了者を、世に送り出しております。
皆さんは、九州大学大学院において、また、论文博士の被授与者にあっては、他の研究机関において、それぞれ优れた研究业绩をあげられました。今后は、大学院博士后期课程や、公司、教育研究机関、病院、公的机関等において、その経験を活かして、さらに研钻を続け、指导的な立场で、第一线の研究者?技术者として活跃されるわけです。社会からの皆さんへの期待は非常に大きいものがあります。それは、単にこれまでに培ってきたそれぞれの専门分野を通してのことにとどまりません。日本社会、国际社会の様々な领域?场面において、深い専门性に里打ちされた高度な指导性が期待されることが多いと思います。
科学技术や医疗の进歩によって、社会や个人の生活は、际限なくとも思えるほど豊かになってきました。しかし、その一方で、大量の化石エネルギーの使用に伴う二酸化炭素の排出等により、大きな世界规模の环境问题を引き起こしています。我が国では、かつて経験したことのない高齢化社会に突入し、社会保障や福祉の面で大きな课题を抱えています。雇用制度に伴う问题もあります。国际社会を见ますと、今なお、地域纷争や自然灾害で苦しみ、平和を享受できない人々が数多く存在しています。また、一昨年、アメリカ合众国に端を発した金融?経済危机は、瞬く间に世界中に伝搬し、市场経済だけでなく実体経済やもの作りにまで波及して、100年に一度ともいわれる重大な社会的问题へと拡大しました。
本日、修士?博士、専门职大学院の学位记を手にされた皆さんに、いくつかの期待とアドバイスをして、はなむけの言叶としたいと思います。それは、残念なことですが、最近、一部の博士学位取得者に対して、日本における公司や社会からの评価が必ずしも芳しくないと闻かされているからでもあります。
まず、今も简単に触れましたような、様々な社会问题や国际问题に対して、単に「大変だ~」というのではなく、これまでの専门分野で培ってきた知识や経験を活かして、それに総合性と统合性をもたせて、「自分はこう思う。」「自分ならこうする。」といった、自分なりの整理と解决策を常に模索して欲しいということです。そして、时折、社会の在り方、人间の在り方を常に意识しながら、人类が直面する様々な问题の解决について提言をしてほしいと思います。そのために有用な考え方として、帰纳や类推あるいはアブダクションがあります。帰纳は、それまで蓄えられた経験やデータ、情报等を一般化することです。类推は、一つのよく展开された専门的な分野の知识と対比させることによって、今直面している问题の解决のヒントを探る推论です。また、アブダクションは、演绎、帰纳と并ぶ第叁の推论で、提示されているデータや情报を説明できる仮説を探す推论のことです。こうした知的な活动と结び付いたときにはじめて、皆さんがこれまでに成してきた个々の分野における深い研究成果が、また、皆さんが重ねてきたそこに至るまでの経験が、広く社会一般に役立つことになります。
もちろん、それぞれの専门分野の探究を、さらに深め、未知の问题を解决し、未踏の领域を极め、専门分野を通じて、直接的に社会や学界に贡献することも当然期待されています。そのために、私自身も大事にしてきた手法があります。「どうやったら自分はそれができただろうか?」と自问してみるということです。これは、情报科学のノーベル赏ともいわれるチューリイング赏受赏者のフロイド教授がその受赏讲演で话した言叶です。文脉は「アルゴリズム」ですが、普遍性があります。独创的な発明?発见をした研究者の时代?环境に自分を置いてみて、どうやったらそのような発明?発见に至れるのか、追体験してみようということです。これを、感动するような理论や技术に接したときに普段から试みることをお勧めします。こうして、専门性と総合性をさらに身に付け、社会の要请に迅速に対応し、自由阔达な研究活动を行って学界?社会に贡献していただきますようお愿いします。
最後に、大学院の学位記授与式における恒例となっているようですので、皆さんが手にされる学位記の由来についてお話しいたします。学位記のデザインは、大正から昭和20年にかけて発行された紙幣の図案を数多く手がけられた、磯部 忠一(いそべ ただかず)氏の考案によるものです。輪郭は正倉院御物の古代紋様が描かれ、唐草模様は東大寺三月堂の本尊であります不空羂策(ふくうけんじゃく)観音像の宝冠などに表現された宝相華(ほうそうげ)唐草紋様に酷似しているということです。日本美術の黄金期といわれた八世紀、天平時代の美術作品から採用し、描き起こしたものと考えられます。極めて格調の高い独創的な図案であり、九州大学に相応しいものであるといわれています。 それでは、皆さんの今後のご活躍を願い、告辞といたします。
平成21年3月24日
九州大学総长
有川节夫