伊人直播app 九州大学について
明けましておめでとうございます。
2025年を迎え、「Kyushu University VISION 2030」の実现に向けて、これまでの成果を踏まえ、九州大学构成员、また関係者の方々と丁寧な话し合いを重ねながら、更なる前进をしたいと、気持ちを新たにしています。
2024年は、九州大学にとって過去と未来が交差する象徴的な一年でした。4月には、旧箱崎キャンパス跡地事業における優先交渉権者が決定し、1911年の大学創立時から本学のメインキャンパスとして歴史を刻んできた旧箱崎キャンパスが、「HAKOZAKI Green Innovation Campus」のコンセプトのもと、「九州大学100 年の歴史の継承」とともに、「新産業の創造と成長」を目指し、九州大学の新たなイノベーション?ビジネスの拠点として生まれ変わることになりました。
また、「第九」日本人初演100周年记念事业の一环として、その歴史を培ってきた今日の九大フィルによって素晴らしい演奏会が行われたことも意义あることでした。现在では「歓喜の歌」あるいは「第九」として広く一般に亲しまれているベートーヴェン作曲交响曲第9番が日本人によって初めて演奏されたのは、九州帝国大学フィルハーモニー会(现九大フィル)によるものとされています。初演から100年の节目となる2024年に九大フィルによる特别演奏会を开催し、壮大な歓喜の歌と旋律が、令和の时代に甦ったことに心を动かされました。
今年は、2021年に大学構想として掲げた「Kyushu University VISION 2030」の実現に取り組んで4年目となります。あるべき未来社会の実現に向け、社会課題の解決に取り組む未来社会デザイン統括本部では、デザイン分野を中心に形成した「シンクタンクユニット」と「脱炭素」「医療?健康」「環境?食料」の各研究ユニットが協働し、人文社会科学系から自然科学系まで、組織の壁を越えて多様な研究者が集まり、協力して研究を進めています。
これらの取り组みはすでに実を结んできており、颁翱2分离膜の研究开発や我が国最大规模の医疗データと行政データを统合したデータベース基盘の开発、海洋プラスチックゴミの予测モデル开発と世界初の数値目标の提案をはじめ、多くの成果が生まれています。
また、本学のDXを推進するデータ駆動イノベーション推進本部でも、多様な研究者が参画し、研究?教育?医療分野のDXを進めており、食料増産に必要な環境?生育管理をAI 技術で制御するデータ駆動型農業向け新技術の開発?実装など、それぞれの分野で成果を上げてきています。
このような様々な研究成果を着実かつ迅速に社会に还元していくため、4月に本学の产学官连携组织「オープンイノベーションプラットフォーム(翱滨笔)」を外部法人化し、本学が100%出资する子会社「九大翱滨笔株式会社」を设立しました。これにより、事业の拡张性が向上するとともに、意思决定のスピードをさらに上げ、适时に适切な方策を実施できるようになりました。7月には九大翱滨笔株式会社の子会社として「贰鲍痴フォトン株式会社」を设立し、国内唯一の、先端半导体の开発に必要な贰鲍痴光照射?解析评価サービスを提供し、产学连携を通じた日本の竞争力强化に贡献しています。
また、これらの取り組みを九州?沖縄、そして世界へと展開させています。例えば半導体分野では、熊本県、熊本大学のほか、台湾のTSMCや陽明交通大学との連携を深め、国際的な連携拠点づくりに力を注いでいます。さらに、九州?沖縄地区の11国立大学法人による九州?冲縄オープンユニバーシティ(KOOU)の幹事校として、台湾大学群12大学(UAAT)との連携を締結し、半導体や生命科学、工学分野、人文社会科学分野などで複数の国際連携プロジェクトが動き出し、大学の「知」を社会に還元できるように努力しています。
以上のように、社会的インパクトのある研究成果を创出し、イノベーションへと结実させる取り组みはすでに始まっています。社会からの期待と本学の强みをマッチングさせ、解决すべき社会课题を设定した上で、基础から実用化まで、そして多様な分野の研究者が集结し、研究を进める仕组みの构筑が重要です。そして、これらの研究を进める初期段阶から、実装の在り方、事业化などを见据え产学官金民の连携で、ともに未来図を描きながら、研究の推进と产学官金民连携を両轮として进めていかなければなりません。
また、本来の大学の使命である个々の研究者が自身で高いレベルの学术课题を设定し、独创的な研究アプローチによって学术的インパクトの高い研究を生み出すことは何より重要です。そのためには、各研究者が研究に集中できる环境と时间が必要で、我々は大学として、支援体制も含め、その环境を充実させていきます。
今、世界はウクライナ侵攻やガザの戦闘をはじめとして様々な问题を抱え、决して穏やかで安定した时代ではありません。日本も物価高や犯罪、どれが正しいかわからない溢れる情报と不安定な社会状况にあり、その中で私たちが筑いていかねばならないのは、确かな未来です。九州大学には长い歴史の中で育まれ培われた膨大な「知」があり、それを継承し、新たな独创的な研究を行う优秀な人材がいます。本来の使命である教育?研究はもとより、本学が持つすべての能力を结集し、本学の理念に共感いただける多くのステークホルダーとともに、新たな価値を作り出し、イノベーションとビジネスの创造拠点としても発展したいと考えています。
2025年は新たな九州大学を皆さんと共に作っていきたいと思っています。今年もどうぞよろしくお愿いいたします。
2025年1月1日
九州大学総長 石橋 達朗