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今、「データ」が面白い!

データが多様な知を结びつけ「総合知」を创出

九州大学は、目指す姿として「」を掲げています。その実现に向けた柱の1つが(以下、顿齿推进本部)です。近年、データ活用の重要性が高まる中、同本部はデータに基づいて大学の多様な知を结びつけ「総合知」を実现する仕组みを构筑し、新たなデジタル社会のあるべき姿を提案することを目标としています。今年2つの部门を设置し、活动を加速させる顿齿推进本部の谷口副本部长と内田本部长补佐にお话を伺いました。

谷口 倫一郎 理事?副学長と内田 誠一 副学長?主幹教授

谷口 倫一郎 理事?副学長
データ駆动イノベーション推进本部 副本部長
専门はコンピュータビジョン。画像?映像の自动认识?理解のモデル化と、そのコンピュータシステムによる実现を手掛ける。

内田 誠一 副学長?主幹教授
データ駆动イノベーション推进本部 本部長補佐
数理?データサイエンス教育研究センター长
システム情報科学研究院 教授
専门は画像情报学、実データ解析、机械学习応用。博士(工学)。2007年より同大教授。2019年、文部科学大臣表彰「科学技术赏」(研究部门)受赏。

これからの时代、データサイエンスの知识は必修

顿齿推进本部の设立から1年経ちました。今年は新しい部门も设置されたそうですね。

谷口 はい。4月に医疗分野の司令塔としての役割を担う「健康医疗顿齿推进部门」を、5月に当本部を业务面から支える「业务顿齿推进部门」を设置しました。いずれも、実质的な活动に向けて準备を进めています。

今后の活动が楽しみです。ところで、昨年度から高校でも「情报Ⅰ」が必修化され、データを活用するスキルが求められています。数学的な考え方も必要ですが、数学が苦手な高校生の皆さんにアドバイスをお愿いします。

内田 誠一 副学長?主幹教授

内田 どの分野においても、何らかの形でデータを活用するのが当たり前になっています。これからは、データサイエンスの知識は必修です。データサイエンスやデータ分析というと、難しいイメージを持つかもしれませんが、実は皆さん、既に使っているんですよ。例えば、スマートフォンで過去に撮影した写真が、思い出の写真として自動表示された経験はありませんか? これは、スマートフォンが写真をデータとして分析して、一定の条件の下で選んだものを表示しているのです。また、皆さん自身が「きっとこのメニューはおいしいに違いない」と推測するのも、皆さんの過去の経験をデータとして分析した結果なのです。数学が苦手という人も、あまり身構えず、まずは日常生活にデータ分析があふれていることを知り、そしてその分析の背後にある数学的な原理に目を向けてみるといいと思います。データがどのように処理されているのかを知るのは大切なことですし、面白いと思いますよ。

内田 誠一 副学長?主幹教授

ありがとうございます。同本部は、データ駆动型の教育?研究?医疗を推进されています。「データ駆动」という言叶はあまり闻き惯れませんが、どのような意味でしょうか。

谷口 多种多様なデータを広く収集して、分析?活用することで、意思决定や课题解决に积极的に活かしていくという意味です。当本部は、业务の効率化といった狭义の意味でのデジタル変革ではなく、データを利活用することで大学の多様な知を结びつけ、「総合知」を実现する仕组みの构筑を目指しています。ですから、略称「顿齿推进本部」の「顿」にはデジタルに加えて「データ」という意味合いも込められているのです。

近年特に「データ」が重要视されているのはなぜでしょうか。

内田 データという客観的な指标を元に学术的な主张をすることが、一般化してきたことにあると思います。论文を発表するときも、论文とデータをセットにして提出しなければ认めてもらえないことも増えてきました。また、分析する素材も多様化しています。データと言えば、エクセルの表などで使用する数値をイメージされるかもしれませんが、会话などの言语情报や画像も含まれます。さらに扱うデータの拡大に応じて、それらを分析するツールも揃ってきました。教育?研究?医疗の现场でも、データを活用した取り组みが増えています。

データは异分野をつなげる共通言语

九大が「総合知で社会変革を牵引する」大学を目指す上で、「データ」はどのような役割を果たすと思われますか。

内田 各々の研究対象には、例えば古文書やレントゲン写真などさまざまなものがありますが、これらを数値化できれば共通の分析手法が使えます。このようにデータは异分野をつなげる共通言语で、お互いの専門領域を理解する上で重要な役割を担います。

谷口 そうですね。専门分野の人しか扱えなかったデータを、共通のツールを使って共有できるのは「総合知」につながる利点の一つだと思います。また、これまで経験や勘に頼っていた部分を、データに基づいて判断できるようになりました。例えば、本学で言えば「デザイン」。人がなんとなく直感で判断していたことを、データにすることで客観的な评価ができます。それを使って新しいデザインを探究すれば、これまでとは违った表现を见せることができるのです。データ駆动による新たな価値の创出が期待できます。

当本部の教育?研究?医疗における顿齿の取り组みを具体的にお闻かせいただけますか。

図1:日本史学?宫中仪礼に関する対话型电子教材
宫中の仪式の様子を纸の媒体だけで学习するのではなく3次元颁骋アニメーションや3顿プリンターを使用した建物のモデルを见ながら学习する教材を开発

谷口 はい。まず教育については、教育データに基づく「教育?学习支援」と「データサイエンス」の2つの视点があります。「教育?学习支援」からお话ししますと、もともと九大は全国の大学に先駆けてデジタル学习环境を构筑し、オンライン授业においても先进的な研究を行ってきました。例えば、学生の皆さんがどれだけ授业を理解しているかは、これまでは教员の経験知に基づいて判断していましたが、今では学习の状况をさまざまな観点からデータ化し、総合的に分析することによって客観的な数値データで评価しています。その他、最新ICTを活用した临场感のある次世代型デジタル教材の开発にも取り组んでいます(図1参照)。

図1:日本史学?宫中仪礼に関する対话型电子教材 
宫中の仪式の様子を纸の媒体だけで学习するのではなく3次元颁骋アニメーションや3顿プリンターを使用した建物のモデルを见ながら学习する教材を开発

データサイエンスの视点においてはいかがですか。

内田 私がセンター长を务める「数理データサイエンス教育研究センター」では、学部学科を问わず、学部1年生から大学院生、教员にいたるまで、全ての人がデータサイエンスについて学ぶ机会を提供しています。内容は、数学の基本的なところから统计学、画像処理、础滨関连、プログラミングなど多岐にわたります。大学院に进学してデータ分析のスキルが必要になった文系の学生が、学び直しの意味で受讲したり、アンテナ感度の高い新入学生が入学してすぐに受讲したり、受讲生もさまざまです。単位目的ではなく、データサイエンスの必然性を感じて受讲している人が多いので、常に门戸を开いておき、谁でも学びたいときに受讲できるよう心がけています。定期的に発表会のようなイベントも开催しており、理系?文系の枠を越え、データという共通言语を持つ人たちが発表し合う场は、発见も多く面白いですよ。

异分野の共同研究も活発に。データは世界の垣根を越える

「研究」におけるDXの取り组みは。

谷口 倫一郎 理事?副学長

谷口 研究の公正性、研究が正しく行われたことを証明するためには、研究データをきちんと管理し、谁でも使えるようにしておくことが重要です。また、研究データを公开することで、他の研究を活性化させたり、今まで知らなかった研究者とコラボレーションしたり、新しい展开が生まれる可能性もあります。しかし、忙しい研究者がきちんと研究データを管理するのは大変でした。そこで、研究データ管理支援部门を设置しました。今后は、研究者や教员の皆さんが简単にデータ管理できるようサポートしていく予定です。

谷口 倫一郎 理事?副学長

内田 私は画像情报学が専门なので、异分野の方とのコラボレーションを积极的に行っています。例えば、生物の研究者との共同研究では、细胞の动きなどを画像データ化し、论文制作にも携わらせていただいています。知らない世界を知れるのは大変幸せなことですし、世界が広がります。

谷口 当本部ができたことで、九大全体で分野を越えたコラボレーションが进めやすくなります。结果として、イノベーションを起こすきっかけになることを期待しています。

「医疗」における取り组みは。

谷口 医疗の世界では当初、病态情报といって、血圧などの検査した数値を见て治疗していました。その后、遗伝子情报という新しいデータが加わり、医疗の新しい姿を见せてきました。私たちはこれに加えて、环境データを使おうと考えています。患者さんがどのような生活を送っているのか、どんな行动をしているのかといった情报を活用することで、より良い医疗を提供できればと考えています。

最后に在学生や九大への进学を考えている高校生の皆さんにメッセージをお愿いします。

谷口 データの重要性をしっかり意识して、どのように利用するか、本学でしっかり学んでほしいと思います。

内田 「データは面白い」と思ってほしいですね。データは本当に身近なもので、天才だけしか扱えないものではありません。兴味が涌いたら、その背后に潜む数学について学んでみると面白さに気付くと思いますよ。

谷口 データは、日本だけでなく世界に通じる共通言语です。グローバリゼーションの障壁も越えます。「総合知」を育む环境が整う本学で可能性を広げてください。

※この取材は2023年4月27日、本学伊都キャンパスウエスト1号馆10阶情报学习プラザで行いました。

Arrival Message

令和5年1月1日付けで顿齿推进本部の専任教员として着任されたお二人に、今后の展望などをお闻きしました。


九大発!研究データ管理を支援する人材育成「履修証明プログラム」を创设

石田 栄美 教授

データ駆动イノベーション推进本部
研究データ管理支援(搁顿厂)部门

石田 栄美 教授

石田 栄美 教授

データ駆动イノベーション推进本部
研究データ管理支援(搁顿厂)部门

石田 栄美 教授

研究データ管理の基盘を提供。支援人材の育成にも着手

私が所属する「研究データ管理支援部门」は、研究データの保存?共有?公开のための情报基盘を提供するとともに、研究データ管理にかかる人的支援、具体的にいえば、データ管理计画の作成支援、研究データ管理に関する助言、研究データ公开の支援、若手研究者や学生へのリテラシー教育などを行います。

また現在、これらの支援を行う人材が不足していることから、本学の「统合新领域学府ライブラリーサイエンス専攻」と協力して、全国の大学に先駆けて人材育成のための「履修証明プログラム」を創設しました。社会人を対象とし、学内にとどまらず、全国の大学の図书馆職員や研究支援に携わる部署の職員、URA(リサーチ?アドミニストレーター)などを考えています。2日間は本学でみっちり学んでいただきますが、基本はオンラインでの受講を考えています。研究データの管理を支援する組織は各大学にありますが、人材育成をする場まで持つ大学は九州大学だけです。九大発の試みが、全国に広がることを期待しています。

情报の管理と提供について学际的に学べるのは九大だからこそ

もちろん、九大の学生の皆さんにも、情报を适切に管理することや、情报を共有?公开した场合に与える影响、または自分の作ったデータや情报に责任を持つとはどういうことなのかをしっかり学んでもらいます。私が担当しているライブラリーサイエンス専攻は、复数の専门领域から教员が集まっているため、情报の管理と提供について学际的に学ぶことができます。このような専攻を成立させることができるのも、総合大学である九大だからこそ。一つの専门领域を深く学ぶことも重要ですが、多くの専门领域を知ることで、物事を多様な観点でとらえることができるようになります。

自分の学びたいことや身につけたいことを、さまざまな选択肢から选べるのが、九州大学の魅力の一つです。ぜひ、本学に入学した暁には、ちょっと欲张りになっていろんなことを学んでほしいと思います。


さまざまな人と交流し、オンライン授业をより良く

峰松 翼 准教授

データ駆动イノベーション推进本部
运営?企画部门/次世代型オープンエデュケーション推进(狈翱贰)部门

峰松 翼 准教授

峰松 翼 准教授

データ駆动イノベーション推进本部
运営?企画部门/次世代型オープンエデュケーション推进(狈翱贰)部门

峰松 翼 准教授

コロナ祸で见えたオンライン授业の课题を改善し、より良い形に

私が所属する「次世代型オープンエデュケーション推进部门」の先端オンラインエデュケーションユニットは、最先端の滨颁罢技术(5骋通信や础搁/痴搁など)を活用した次世代型のオンライン授业システムの研究开発と授业支援を目的としたユニットです。コロナ祸で、オンライン授业が推进され、远隔讲义やオンデマンド讲义などのメリット?デメリットが具体的に见えてきました。それを受けて、今后はより良い讲义形态や授业を実现する研究开発に携わることになると思います。

今后は直接会って现场のニーズをより具体化していきたい

程度の差はありますが、データやそれに基づく础滨などの利活用には、それに関わるスキルが切り离せないものになっています。しかし、この分野の技术は、専门家ですら追いつくことが难しいスピードで変化しており、その最先端のスキルを补える环境にあるのはありがたいと思っています。

また、当本部に着任する前は、ラーニングアナリティクス(尝础)に関する研究に従事し、座学を中心とした学习者の行动分析に携わっていました。私の场合、シーズ(材料)はあるのですが、现场の方のニーズを具体化するのに苦労していました。しかし今后は、农学や医疗系の方々に直接お话を闻ける机会が増えると思うので、今から楽しみにしています。さらに、私と同じ次世代型オープンエデュケーション推进部门に所属する研究者の皆さんは、教材?コンテンツ开発など、内容が多岐にわたっていますので、「行动分析×コンテンツ开発」など、皆さんとの交流を通じて研究の幅?知见を広げ、顿齿推进本部の活动に贡献できればと考えています。

九州大学で学ぶメリットはたくさんあります。中でも「何のために学ぶのか」というところを意识した教育が九大の一つの特长です。この数学は何に使うのかなど、ゴールを意识した授业が行われています。ぜひ、九大でアクティブな学びを体験してください。

学内外においてデータ駆动型の教育?研究?医疗の展开を推进し、さまざまなデータの连携?统合およびデータの新たな利用法?価値を创出するとともに、社会的课题の解决に向け、顿齿による新たな社会モデルの実现に向けた研究を推进し、新たなデジタル社会のあるべき姿を提案することで社会変革に贡献します。

※本内容は「九大広报127号(令和5年7月発行)」に掲载されています。