取材日 October 12, 2021 ※所属?役職名は取材当時のもです。
九州大学では、多様で异なる人々が自分らしく过ごせるキャンパスづくりに取り组んでいます。芸术工学研究院の中村美亜准教授と学部生2人が、多様な人たちが共生する社会について语り合いました。
中村 弥红さんは、础蝉办补さんは九大セクマイサークルに所属していらっしゃるそうですね。弥红さんはなぜピア?サポーターに?
弥红 私は3年生の后期に特别支援学校や就労支援施设を访问する机会があり、そのとき初めて障害は目に见えるものだけではないことに気付きました。それまでは、目に见える障害を持つ人だけを障害者として短络的にとらえていたんです。このまま色々な障害を抱えた人たちのことを何も知らないまま社会に出てもいいのかと思うようになり3年生から活动を始めました。
中村 ピア?サポーターを始めて障害者への认识が変わった?
弥红 障害があってもなくても、同じ人间であることに変わりないと思うようになりました。一绪にいるようになって、色んな特性があるのかなって感じるようになったんです。
Aska 自分はどちらかというと、「みんな违う」という前提に立っているので、「みんな同じ」という考え方もあるのだなと思いました。
中村 障害者、セクシャルマイノリティなど関係なく、全ての人が违うという意味かな?
Aska はい。「わかりあえない」というところからスタートしたいなと思っています。
中村 どうしてそう思うようになったんでしょう?
Aska では、参加した人にジェンダー?アイデンティティーを闻かないんです。话すのが难しかったり、自分でも説明できないものだったりするから。そうした中で、相手のことをわかろうと思って话すよりも、「よくわからないな」と思いながら话すほうが、相手に嫌な思いをさせないかもしれないと思うようになったんです。
中村 私も中学生くらいの顷、他の人と自分が违うことが気になって先に进めないと思ったことがありました。両亲に话すと「人と人が分かり合えないのは当たり前だ!」「いやいや分かり合える!」ってそれぞれ逆のことを言って、すごく困った事を思い出しました(笑)。その后大人になって、分かり合えないことも悲しいことじゃないのかな、と思うようになりました。违う人同士が分かり合えない中でも一体感がもてるってすごい事だって。
弥红 友人たちと色の定义について考えたとき、みんな定义する范囲が违っていて、私が緑と思った色を友人は青と定义していました。考え方や见え方は人によって异なるし、正解がないところなので、分かり合えないところから始まるのもいいなって感じます。
中村 无理に分かろうとしていたら违いばかりを気にして止まってしまう気がして。ある種のあいまいさ、余白を残しておくってすごくいいかなって思うようになりました。础蝉办补さんのサークルとかでは皆さんどんな感じ?
Aska セクシャルマイノリティの人や、そうかもしれないなと思っている人に参加してもらって、読书会や映画鑑赏会を开催してるんですが、どんな感想を持ってるかも闻かないのでどうかな…。
中村 なぜセクマイサークルで活动をしようと思ったんでしょう?
Aska 一番は自分のためです。どこにいても居心地が悪かったので、それなら自分で居心地の良い场所を作ろうと思って。学部1年生のとき、人が怖くなって引きこもっていたのですが、サークル活動を始めて人と会う機会が増え、少しずつコミュニケーションがとれるようになりました。「正規の大学生」ルートのようにはいきませんが。
中村 础蝉办补さんが思う正規の大学生ってどんなイメージ?
Aska サークル活动をエンジョイしながら、上手に大学の単位も取得している感じの学生かな……。
弥红 私も同じイメージです。私はどこか学部の中では浮いている気がしていたんですよね。だから、「普通の大学生活」が何かよくわからないけど、なんだか羡ましかった。
中村 「自分は浮いているかも」と思っている人は、结构多いんじゃない?
弥红 确かにそうかも。人が作っている枠组みにはまるって何だろうって思いました。
中村 私自身、今は自分に合っていることをしているけど、行きたい学科に行けなかったこともあって、最终的に合うことを见つけるまでだいぶ时间がかかったんです。マイノリティとか関係なく、色んな型にはまることに皆もがいている気がします。とはいえ、みんなつらい思いをしながら顽张っていると言われると、マイノリティの立场にある人たちは、一绪にしないでほしいという思いがあるか
も。このあたりどう思います?
Aska マイノリティが社会构造的に生きづらいのは事実なので「みんな违ってみんないい」などと、闻き心地のよい言叶で语られると违和感を感じることはあります。
中村 そうした生きづらさはなかなか伝わりにくいですよね。例えば、男女格差の话をすると、女性専用の列车や割引などを例に出して、女性のほうが优遇されていると主张する人もいます。女性は、社会构造的に不利な立场に置かれていると説明しても伝わらなくて、难しいなぁと感じます。
无理に分かろうとしていたら违いばかりを気にして止まってしまう気がして。
ある种のあいまいさ、余白を残しておくことも大事かなって。
中村 ところで、大学にはさまざまな人がいるんですが、多様な人たちと一つのコミュニティーを作ることをどう思いますか?
弥红 考え方や见え方は人によって异なるので、多様な人が集まれば意见がまとまらないこともあると思います。それをまとめるのが面倒って感じるかもしれないし。
Aska 自分の场合、周りにすごく気を遣ってしまうので面倒というより疲れます。一方で今までの自分とは违う心や体の动かし方をするから、少しだけ刺激があって面白いと思うこともあります。どっちの気持ちもありますね。
中村 なるほど。いつも思い通りにいくと体も同じところしか动かないけど、思い通りにならないと违うところが动いて活性化するみたいな?
Aska そうです!
中村 最近よくイノベーションが大事というけど、新しい技术は异なるものが混ざって生まれることが多いんです。多様な人の意见を闻いて、面倒だなと思う议论を重ねなければ生まれない紧张ばかりしていてもダメだけど、多少の紧张関係が必要なんですね。
弥红 そうですね。现状维持に惯れてしまうと、苦労して新しいことに挑戦しようとは思わないです。でも、组织によっては强固な考え方や枠组みがあって、新しい価値を认めてもらうのは难しいのではないでしょうか。
中村 それは日本の组织の多くが抱える课题ですよね。芸术工学研究院では「」という组织を立ち上げ、多様な人々の能力を活かせる仕组みを考え、皆さんに伝える活动をしています。みんながポテンシャルを発挥できる仕组みを考えることが必要だと思っていて。日本はこれからもっと多様な人と议论を重ねる环境を大事にしていかなきゃいけないんじゃないかな
中村 ところで、九州大学の尝骋叠罢蝉の皆さんへの対応をどう思いますか?
Aska 通称名が使用できるなど、少しずつ制度を作ってくれているのですが、私たちの意见がまだ完全には反映されてないのかなと感じるところもあります。それから、制度を変える窓口が欲しいです!
中村 确かにそれはあるといいですね。色んな人が生活していく中で出てくる「どうにかしたい」ということを考えていくのがすごく大事ですよね。
弥红 谁かが行动を起こすのって大事ですね。
中村 私は、多様性の课题に正解はないと思っているんです。ワークショップをするとわかるのですが、上司が部下に威圧的に振る舞うのはよくないという人に、正しい振る舞いをやってみてもらうと意外にできないんですよ。面白いことに、上司が部下の颜色を伺うような振る舞いをして立场が逆転してしまうんです。多様性はどこにも存在するし、100%みんなが幸せになることはないので、谁か一人だけ不利になるような状况を作らないことが大切だと思っていて。注目したのが时间轴です。例えば、上司が部下に大変な仕事を頼んだとします。毎日一方的に頼まれれば部下は参ってしまいますが、逆に部下が大変なときに上司がサポートしてあげれば、ギブ&テイクの関係が筑けます。
弥红?Aska なるほど。
中村 よく学生と話していても、みんなが生き生きできる社会なんて無理だ、てなっちゃうんですよね。皆がいつも生き生きはできない。でも皆が入れかわり生き生きできるような仕組みを作れるようになれば。今はまだそんなにないんだけれども、そんなアイデアを 考えていくことが必要だと思うんです。そのためにどういった環境を作るべきか、というのを日々考えています。九州大学は、自分をマイノリティと感じている人もそうでない人もお互いに尊重しながら学び、研究できる環境づくりを目指しています。九州大学の今後に期待してほしいですね。
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教职员?学生が、その个性と能力を十分に発挥できる环境の実现を目指し、関连讲义、就业?就学环境整备、ライフイベント支援、研究力向上、意识改革などに取り组んでいます。2019年からダイバーシティ?スーパーグローバル教员育成研修(厂贰狈罢础狈-蚕)を开始しました。
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学生?教职员に対する健康支援、心理支援、障害者支援などの业务を行う组织です。専门性を持つ5つの「室」で构成され、その一つ、インクルージョン支援推进室では、合理的配虑に関する相谈対応や施设?设备のバリアフリー化、アクセシビリティ?ピアサポーターの育成に取り组んでいます。
この座谈会は、「九大広报 123号 (令和3年11月発行)」の特集に掲载されています。&苍产蝉辫;