Research Results 研究成果
ポイント
概要
従来の化学?材料研究は、実験を中心に试行错误を繰り返しながら実施されてきました。しかし近年のデータ科学手法の発展にともない、化学?材料とデータ科学の融合研究が盛んに行われています。しかしながら、エネルギーを始め、环境、バイオなど社会生活を支える基干材料群である机能性高分子分野への适用は未だ殆どなされていませんでした。
九州大学大学院工学研究院の加藤幸一郎准教授、藤ヶ谷剛彦教授および同大学工学府博士課程2年のPhua Yin Kan氏の研究グループは、機能性高分子の中でも、水素社会実現の鍵と期待される燃料電池や水電解の重要部材であるアニオン交換膜に着目し、分子構造に基づいてアニオン伝導度やその劣化挙動を高精度に予測可能な機械学習モデルを構築しました。独自にアニオン交換膜データベースを论文情报に基づいて構築することで、単独重合体と共重合体の双方を予測可能としているだけではなく、アニオン交換膜作成直後および劣化試験中のアニオン伝導度経時変化の高精度予測も実現しています。
今回开発した机械学习モデルを用いることで、燃料电池や水电解装置の重要部材であるアニオン交换膜の研究开発を加速させ、水素社会の実现に贡献することが期待されます。さらに、机械学习モデルの构筑方法はアニオン交换膜以外の机能性高分子にも展开可能なものであるため、様々な分野への波及効果も期待されます。
本成果は、2023年10月17日にTaylor & Francis Onlineが発行する国際学術誌「Science and Technology of Advanced Materials (STAM)」にオンライン掲載されました。
机械学习モデルの构筑フロー:単独重合体?共重合体の双方を含む独自データベースに基づき、机械学习モデルを构筑
用语解説
(※1) アニオン交換膜
イオンを選択透過させるイオン交換膜の1 種であり、陽イオンを交換するものを「カチオン交換膜」、陰イオンを交換するものを「アニオン交換膜」と呼ぶ。
(※2) 水電解装置
电気エネルギーにより水を水素と酸素に分离する装置。
(※3) 説明可能AI(XAI)
人工知能(础滨)や机械学习モデルが导き出した解について、どのようにして出力した结论に至ったかを人间が纳得可能な根拠を示す技术。
(※4) SHAP
協力ゲーム理論の「Shapley value」を機械学習に応用したフレームワーク。ひとつひとつの説明変数がモデルの予測値に与える貢献度を算出可能なため、説明可能AI の手法の1つとして注目。
论文情报
掲載誌:Science and Technology of Advanced Materials (STAM)
タイトル:
著者名:Phua, Yin Kan; Fujigaya, Tsuyohiko; Kato, Koichiro
D O I :10.1080/14686996.2023.2261833
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