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Research Results 研究成果

「あと1%」の适格率改善を実现する种子选别技术を开発

「シードロス」を解消し、持続可能な食粮生产に贡献 2023.09.21
研究成果TechnologyEnvironment & Sustainability

ポイント

  • 持続可能な食粮生产には、高品质な种子の安定供给と、それを支える技术开発が不可欠です。
  • 近赤外分光法とAIモデルを併用し、种子の适格率を「あと1%」まで改善できる选别技术を开発しました。
  • 种子の効率的利用による食粮生产の革新に向けて、本技术を実装した选别装置の製作も进めています。

概要

 発芽率や品种の纯度といった种子の品质は、外観の特徴からは判别できない场合が多く、种苗生产では、适格率が基準に満たないために廃弃される种子の発生、いわば「シードロス」が问题となっています。作物生产用の种子は、多段阶の选别を経て调製されていますが、それでもなお残る不适格な种子は、内部の构造や成分に原因があるものと予想されます。
 九州大学大学院理学研究院の松田助教は、トキタ种苗株式会社との共同研究において、化学成分の「指纹情报」ともいわれる近赤外光の反射スペクトルをAIモデルに学习させることにより、多様な作物种子の适格率を「あと1%」の精密さで改善できる、新たな选别技术を开発しました。また、シンフォニアテクノロジー株式会社とともに、この技术を组み込んだ选别装置の製作も进めており、その実用化を通じて、「シードロス」の解消を含む、持続可能な食粮生产に贡献できることが期待されます。
 本研究の成果は、2023年9月20日(水)午後2時(米国東部時間)に、米国オンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載されました。

様々な野菜の種子:種子は食糧としても、食糧生産においても欠かせない、生命の源とも呼べる存在です。しかし、厳しい品質基準を満たすため、作物生産に生かされることなく廃棄される種子(シードロス)が発生しています。 種子の品質管理が困難を極めてきたのは、その多様性によるとも言えます。

用语解説

种子の适格率
「発芽率」などの用语の方が分かりやすいですが、种子の品质を左右する特性は、発芽能だけではありません。一部またはすべての特性が要件を満たすものの割合を、「适格率」と表现しています。
シードロス
昨今问题となっている、食品が消费されずに廃弃される「フード(=食品)ロス」を真似た造语で、作物生产用に调製された种子が、その目的に使用されずに廃弃されることを表しています。シード(蝉别别诲)とは种子のことです。
种苗法
创出された植物の新品种に対する権利保护と、流通种苗の表示等の规制を定めた法律で、本研究と特に深く関係するのは、后者における「指定种苗の生产等に関する基準」の内容です。种子については、下记の纯度や発芽率のほか含水量が、种苗业者が流通に际して遵守すべき品质基準として、具体的数値を示しています。
种子の纯度
「異種、異品種及び品種特性が明らかに変化した変異株の種子を除いた種子の全体の種子に対する粒数割合をいう」(种苗法条文)。また、異種種子と夾雑物を除いた種子は「純潔種子」と定義されています。
种子の発芽率
上記の「純潔種子」のうち、「正常芽生を生ずる種子の全体の種子に対する粒数割合をいう」(种苗法条文)。芽生えはしても、作物生産に利用できる苗に育たない場合は、その種子は発芽したとは見なされません。高い基準(85%)が定められているのは、アブラナ科のナタネやはくさい、ウリ科のきゅうりやメロンなどです。
近赤外光
可視光(概ね波長範囲が380~780 nmの電磁波)に近接する長波長側の光のこと。確定的な波長範囲の定義はないようですが、ここでは短波赤外光を含む、780~2,500 nmの光を指しています。
反射スペクトル
対象物における、光の波长と反射率の関係を、数列により表したもの。本研究では反射スペクトルを使用しましたが、测定が可能であれば、透过や吸収スペクトルも同様に扱えます。
近赤外分光法
対象物に照射した近赤外光の、波长ごとの吸収、透过、反射量などを测定する方法のこと。赤外光がもつエネルギーは、物质を构成する分子に吸収され、化学结合の振动や分子の回転エネルギーに変换されます。赤外光の波长と光吸収の関係は、分子の构造に依存するため、赤外领域における分光特性を调べることで、物质の化学组成などを予测することができます。近赤外光は赤外光の中でも、非破壊的计测に适しています。
分光センサ
入射光を波长ごとに分け、それぞれの强度を数値化できる検出器のこと。点测定型の「分光器」が一般的ですが、本研究では対象物の分光特性を面的にとらえることのできる、「ハイパースペクトルカメラ」を使用しています。
AIモデル
入力データに対し、どのような出力を返すかを决定するための仕组みのことで、モデルとは计算式のことです。昨今は深层学习(ディープラーニング)が有名ですが、従来的な机械学习法も、広义のAI(人工知能)に含まれます。本研究で适用したのは、线形スパースモデルとよばれる手法です。

開発技術による種子選別の流れと実際:図はエンドウにおける実例です。個々の種子には、外観上の顕著な差はありませんが、近赤外反射スペクトルを測定し、訓練されたAIモデルに入力データとして供すると、それぞれの品質スコアが得られます。その順位にしたがって4クラスに分け、実際に発芽(適格性)を確認したのが右写真です(下は上の写真から背景を除いたものです)。発芽率と品質スコアの高低が一致しています。なお、この种子の発芽率は、選別前が64.9%であり、標準的な強度の選別を行った後には83.0%に上昇しました。

论文情报

掲載誌 : PLOS ONE
タイトル :
著者名 : Osamu Matsuda, Yoshinori Ohara
DOI : 10.1371/journal.pone.0291105

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