Research Results 研究成果
ポイント
概要
ミトコンドリア病は、细胞内でエネルギー产?の役割を担うミトコンドリアの机能が低下することで発症します。?臓、?格筋、神経系などの様々な症状を引き起こす遗伝性疾患で、治疗法や治疗薬の开発が望まれています。
本研究では、ミトコンドリア病のMELAS(※1)で頻繁に報告されているtRNA(※2)遺伝?内部の病原性変異(3243A>G)(※3)をもつ際に、近くに位置するもう1 つの?病原性変異(3290T>C)(※4)がミトコンドリア機能の改善に貢献するという新たな仕組みを解明しました。
九州?学医学系学府博?課程上?沙央理?、?学院医学研究院臨床検査医学の康東天名誉教授、保健学部?検査技術科学の内海健教授らの研究グループは、東京?学?学系研究科化学?命?学の鈴?勉教授らの研究グループと共同でサイブリッド細胞を構築し、ミトコンドリア機能とミトコンドリアtRNAの解析を?いました。tRNA 遺伝?内部に3243A>G 変異と3290T>C ハプロタイプの2 つをもつとき、tRNA のタウリン修飾(※5)が改良することでミトコンドリア機能が改善することを明らかにしました。
今回の発?は、ミトコンドリア病の発症メカニズムの解明やtRNA を標的とした新規治療法の開発などに貢献することが期待されます。
本研究成果は国際学術誌「Nucleic Acids Research」に2023年7?13?に掲載されました。
ミトコンドリアtRNA に3243A>G 変異をもつとき、tRNA のタウリン修飾が低下することでミトコンドリア機能が低下する。3243A>G 変異に加えてハプロタイプ3290T>C が存在すると、tRNA のタウリン修飾に改良がみられる。その結果、ミトコンドリア機能が改善することで臨床症状は軽度となる。
内海教授からひとこと
本研究は、当院の検査部で実施しているミトコンドリア遗伝?検査がきっかけで発?され、博?课程?学院?の上?さん(笔头着者)が临床検査技师として働きながら解析を进めてきました。
用语解説
(※1) MELAS
ミトコンドリア脳筋症?乳酸アシドーシス?脳卒中様発作症候群の略。脳卒中様症状を中?に、全?の様々な臓器で多様な症状を呈することが特徴である。
(※2) tRNA
転移搁狈础(トランスファー搁狈础)の略で、遗伝情报を読み取り、その情报に従ってアミノ酸を运ぶ分?である。
(※3) 3243A>G
ミトコンドリアDNA 上の塩基番号3243 が、A(アデニン)からG(グアニン)に変異していることを?す。MELAS 患者の8 割以上で、この3243A>G 変異がみられる。
(※4) 3290T>C
ミトコンドリアDNA 上の塩基番号3290 が、T(チミン)からC(シトシン)に変異していることを?す。この変異は東南アジアに多く、遺伝的に連鎖している塩基置換の組み合わせ(ハプロタイプ)で共通してみられる。
(※5) タウリン修飾
tRNA の遺伝情報を読み取る部分に、アミノ酸であるタウリンが結合していること。タウリン修飾はtRNA の正確な遺伝情報の読み取りに関与している。
论文情报
掲載誌:Nucleic Acids Research
タイトル:
著者名:Saori Ueda, Mikako Yagi, Ena Tomoda, Shinya Matsumoto, Yasushi Ueyanagi, Yura Do, Daiki Setoyama, Yuichi Matsushima, Asuteka Nagao, Tsutomu Suzuki, Tomomi Ide, Yusuke Mori, Noriko Oyama, Dongchon Kang, and Takeshi Uchiumi
DOI: 10.1093/nar/gkad591
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