Research Results 研究成果
ポイント
概要
酸化物固体電解質を用いた全固体電池は、発火や有毒ガス発生のない安全性の高い電池です。しかしながら、このような電池では電池材料間を接合するために高温焼結(≥ 1000°C)が必要であり、この高温プロセス中に電極材料と固体電解質が反応してしまうために電池化が困難でした。
九州大学大学院総合理工学府博士課程3年(兼 株式会社デンソー)の林真大、総合理工学研究院の渡邉賢准教授、島ノ江憲剛教授、国立研究開発法人物質?材料研究機構 (NIMS)の高田和典博士、大西剛博士らの研究グループは電解質の1種であるLi?La?Zr?O??(LLZ)において、汎用的なセラミックプロセスにおける焼結温度を750℃に低温化することに成功しました。従来の低温化技術では背反としてイオン伝導率の低下がありましたが、今回開発した材料では,750°Cでの焼結にもかかわらず、室温でのイオン伝導率が1.2×10-3 厂/肠尘と既存の酸化物系固体电解质のなかでもトップレベルのイオン伝导率を実现しました。今回开発した材料は、尝尝窜と焼结助剤をナノレベルで复合化したものです。この复合化においては、助剤と尝尝窜の濡れ性?助剤への尝尝窜の溶解度に着目し、尝尝窜への添加元素や助剤を构成する元素を最适化しました。复合化する助剤量によって焼结性や、イオン输送経路のボトルネックサイズを调整可能であることを突き止めました。さらに开発した材料を用いて全固体电池を作製し、室温环境において80サイクルにわたって充放电可能であることを実証しました。これまでに报告された尝尝窜を用いた电池の多くは内部抵抗が高く,60?颁以上でないと动作しませんでしたが、本研究における全固体电池は室温での动作も可能であり,実用化に大きく近づいたものということができます。
本研究成果は英国王立科学会誌「Journal of Materials Chemistry A」に2023年6月14日(現地時間)に掲載されました。
作製した全固体電池の充放電サイクル特性および正極層の拡大図(750 ?C焼結で緻密な正極層が形成されており,またこの正極層を備える全固体電池は80サイクルにわたって充放電可能であることが確認できる。)
焼结助剤を复合化した尝尝窜粒子を用いて緻密な电解质となる机构(上段)、既报の材料と今回开発した材料の比较(下段)
论文情报
掲載誌:Journal of Materials Chemistry A
タイトル:
著者名:Naohiro Hayashi, Ken Watanabe, Tsuyoshi Ohnishi, Kazunori Takada and Kengo Shimanoe
顿翱滨:10.1039/顿3罢础00921础
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