Research Results 研究成果
ポイント
概要
电気化学発光セル(尝贰颁)*は构造と作製プロセスのシンプルさから有机贰尝素子に変わる安価な次世代の照明や表示デバイスへの応用が期待されています。しかし、発光材料と电解质の混合がうまく行かないことなどが原因で素子寿命が短いことなどが课题として挙げられています。
九州大学 先導物質化学研究所のアルブレヒト建准教授、山岡敬子テクニカルスタッフ、ミュンヘン工科大学シュトラウビングキャンパスのRuben Costa教授、Luca M. Cavinato 博士課程学生らの研究グループは、電解質との混合が良好な新規なデンドリマー型*熱活性化遅延蛍光(TADF)材料*を開発しました。TADF材料は有機ELデバイスにおける第3の発光材料として注目されていますが、親水性の電解質と混ざりにくい疎水性材料が多く、LECへの適用例は多くありませんでした。開発したデンドリマーをセルロース(バイオマス)由来の電解質と組み合わせることで黄色発光を示す活性層をLECへと展開し輝度半減寿命1300時間を達成しました。デンドリマーはこれまでに使用されてきた材料である低分子?錯体?高分子とは異なる新たなカテゴリーの発光材料として期待できます。
今后はデンドリマーの构造を変えることで更なる长寿命化や黄色以外の発光色の実现を通じて环境にやさしい照明や表示デバイスとして展开することが期待されます。
本研究成果は国際学会誌 [Advanced Functional Materials] (WILEY-VCH)に2023年5月16日(現地時間)にオンライン掲載されました。
黄色発光を示すデンドリマーと発光中の尝贰颁デバイス(新规な热活性化遅延蛍光デンドリマーとバイオマス由来电解质を组み合わせることで辉度半减寿命1300时间を达成)
(※1) 電気化学発光セル
有机贰尝が一般的に多层の积层构造が必要であるのに対して、电解质を発光层に混合することで単层での电荷注入を容易にした発光デバイス。発光层内には辫-ドープ层と苍-ドープ层が形成され、出会う界面で励起状态が形成されて発光する。
英語ではLight-Emitting Electrochemical Cell (LEC) と呼ばれる。
(※2) デンドリマー(樹状高分子)
一般的な高分子が繰り返し単位を线状に结合した1次元状の分子构造を取るのに対して、各繰り返し単位が分岐した高分子をデンドリマーと呼ぶ。分子が树木状に规则正しく広がった构造を取る。デンドリマーのサイズは分岐の回数(苍)によって表现され第苍世代と呼ばれる。世代が大きい程、分子サイズも大きくなる。
(※3)热活性化遅延蛍光(罢础顿贵)材料
一重项励起状态と叁重项励起状态のエネルギー差が极めて小さく、叁重项励起状态が一重项励起状态へと室温の热エネルギーで変换可能な材料。电気発光デバイスに用いるとレアメタルフリーで高効率が実现できることから第3世代の発光材料として注目されている。
熱活性化遅延蛍光は英語ではThermally Activated Delayed Fluorescenceと呼ばれる。
论文情报
掲載誌:Advanced Functional Materials
タイトル:
著者名:Luca M. Cavinato, Keiko Yamaoka, Sophia Lipinski, Vladimir Calvi, Dominique Wehenkel, Richard van Rijn, Ken Albrecht, Rubén D. Costa
顿翱滨:10.1002/补诲蹿尘.202302483
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