Research Results 研究成果
ポイント
概要
日本海寒帯気団収束帯(闯笔颁窜)が関係する局地的豪雪による被害が近年频発しています。地球温暖化が进行していくと、闯笔颁窜の変化に伴って日本海沿岸地域の冬季降水がどうなるのかよくわかっていませんでした。本研究で、九州大学大学院理学研究院の川野哲也助教、川村隆一教授、理学府修士课程2年の安清莉奈大学院生(研究当时)らの研究グループは、温室効果気体の最大排出量シナリオで今世纪末の気候を予测した全球気候モデルの结果に基づき、领域気象モデルによる力学的ダウンスケーリング実験から闯笔颁窜の変化倾向を调査したところ、闯笔颁窜は北偏し、関连して本州中部山岳域の冬季降水量(降雪量と降雨量の和)は减少するものの、东北地方では日本海侧を中心に降水量の顕着な増加が生じる可能性が高いことを初めて明らかにしました。
闯笔颁窜はメソスケールの现象のため、全球気候モデルの空间解像度では十分に再现できません。そこで、全球気候モデルで予测された将来気候を背景场にして领域気象モデルによる高解像度数値シミュレーションを実施することで、闯笔颁窜自体の将来変化を见出すことに成功しました。局地的豪雪の発生に闯笔颁窜が関与している事例が多いため、これらの知见は日本海沿岸地域における大雪発生频度や山岳域の水资源の将来予测の信頼性の向上に资することが期待されます。また闯笔颁窜とそれに伴う降水分布の将来予测の信頼性を更に高めるためには、日本海の海面水温の高解像度の将来予测の影响を详しく调べていく必要があります。
本研究成果は,2023年5月10日に国際学術誌「Scientific Online Letters on the Atmosphere」にオンライン掲載(早期公開)されました。また本研究はJSPS科研費補助金(JP19H05696、 JP20H00289)の助成を受けました。
(a)現在気候におけるJPCZ出現時の降水量分布。JPCZピーク時の12時間積算降水量で示す。(b) 図(a)と同様、ただし今世紀末(2090年代)。
用语解説
注1) JPCZ
空間スケールは全く異なるが熱帯収束帯(ITCZ)という用語を参考にして、日本海寒帯気団収束帯(Japan Sea polar airmass convergence zone; 略してJPCZ)と呼ぶようになった(浅井、1988)。JPCZの形成要因として、先ず朝鮮半島の北に位置する長白山系の障壁効果が挙げられるが、朝鮮半島周辺の海岸線の形状に伴う海陸間の温度差や日本海の海洋前線である亜寒帯フロントの寄与も指摘されている。
注2) メソスケール
地上天気図に见られる高気圧や温帯低気圧の空间スケール(総観スケール)より小さい、20~200办尘程度を中心とした水平スケールを指す。メソスケールはさらに细分化されているが、研究者によって定义が异なる场合がある。
论文情报
掲載誌:Scientific Online Letters on the Atmosphere
タイトル:
著者名:Tetsuya Kawano, Rina Yasukiyo, Ryuichi Kawamura, and Takashi Mochizuki
顿翱滨:10.2151/蝉辞濒补.2023-014
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