Research Results 研究成果
ポイント
概要
九州大学大学院総合理工学府の武藤大学院生(研究当時)、同大学院総合理工学研究院の林 信哉教授らの研究グループは、空気(大気)を原料とするプラズマを用いてカテーテルなどの長尺細管内を高速かつ安価に滅菌する方法を開発しました。
医疗器材は使用する前に必ず灭菌されていなければならず、现在医疗机関では、主に高圧水蒸気灭菌法や低温ガス灭菌法が利用されています。近年、非耐热性素材(プラスティックやゴム)で作られた医疗器材が増加しており、低温灭菌が可能な酸化エチレンガス灭菌法が主流となっています。医疗器材として多用される长尺细管、カテーテルは管内に导入できるガスの量が限られるのと残留した灭菌ガスを除去するのに长时间が必要であることから、ガス灭菌法でも十分な灭菌が困难とされてきました。
本研究では、カテーテルの一端に装着可能な小型安価な空気プラズマ装置を製作し、内径2 mm、長さ100 cmのカテーテル内の滅菌に、従前の薬剤による殺菌方法よりも短い時間(1~2時間程度)で成功しました。このとき、カテーテル自体へのダメージが僅少であり、本方法の素材適合性も確認しました。また,滅菌に寄与するプラズマ中の粒子種が活性な窒素酸化物であることを特定し、それによる菌の不活化メカニズムを明らかにしました。
今回开発した技术はカテーテル等の医疗器材だけでなく、农产物の杀菌や宇宙探査机に付着した微生物の杀菌にも応用すべく研究を进めています。
本研究成果は、2023年4月28日(日本時間18:00)付けで英国科学雑誌「Scientific Reports誌」に掲載されました。
用语解説
※1 滅菌
例えば医疗器材表面や液体中等に存在する微生物が完全に不活化(杀灭)された状态のこと。
※2 プラズマ
通常のガスに电気や热のエネルギーを加えることにより、正の电荷を持つイオンと负の电荷を持つ电子とに电离した高エネルギー状态のガス。プラズマ中の高エネルギー粒子を用いてこれまで起こせなかったような化学反応を生じさせることが出来る。
论文情报
掲載誌:Scientific Reports
タイトル:
著者名:Reona Muto and Nobuya Hayashi
顿翱滨:10.1038/蝉41598-023-34243-3
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