Research Results 研究成果
ポイント
概要
人類はおよそ1万年かけて、野生イネを改良して栽培に適したものにしてきました。イネはアジアとアフリカの2 地域で独立に栽培化されましたが、その標的となった表現型は両者で共通するものが多く、芒の喪失もその1 つでした。東北大学大学院生命科学研究科の別所-上原助教ら、名古屋大学そのほかの共同研究チームは、栽培化の過程でアフリカイネが芒(のぎ、種子先端にできる突起状構造物)を失う原因となった遺伝子変異を同定しました。これまでに研究チームは、アジアイネの芒喪失にRAE1 とRAE2 の2 つの遺伝子の機能欠損が重要であったことを示してきましたが、アフリカイネの芒喪失については詳しくわかっていませんでした。本研究では、アフリカイネにおける芒喪失はRAE3 という遺伝子の機能欠損が原因であったことを示しました。これまでアジアイネとアフリカイネの栽培化関連形質は、同じ遺伝子の異なる変異が選抜されることにより達成されてきたと報告されていましたが、今回初めて、アジアイネとアフリカイネで共通の栽培化形質(芒の喪失)が異なる遺伝子変異の選抜によってもたらされたことを明らかにしました。
この研究成果は、2023年1月17日付で米国科学雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」電子版に掲載されました。
野生イネ(有芒)と栽培イネ(無芒)の種子。種子の上に長く伸びる突起状の構 造物が芒
芒伸長におけるRAE3 タンパク質の役割
予想されるアジアとアフリカにおけるRAE1、RAE2、RAE3 遺伝子の選抜過程 とRAE1-RAE2-RAE3 の遺伝学的関係性
论文情报
タイトル:
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences
著者: Kanako Bessho-Uehara, Kengo Masuda, Diane R. Wang, Rosalyn B. AngelesShim,Keisuke Obara, Keisuke Nagai, Riri Murase, Shin-ichiro Aoki, Tomoyuki Furuta, Kotaro Miura,Jianzhong Wu, Yoshiyuki Yamagata, Hideshi Yasui, Michael B. Kantar, Atsushi Yoshimura,Takumi Kamura, Susan R. McCouch, Motoyuki Ashikari* *責任著者
笔头着者情报:(氏名、所属):别所-上原奏子(东北大学大学院生命科学研究科)
顿翱滨:10.1073/辫苍补蝉.2207105120
研究に関するお问い合わせ先
農学研究院 吉村 淳 名誉教授