Research Results 研究成果
未熟果パパイアはビタミン、ポリフェノール、フラボノイド等を多く含み、古くから南米をはじめ各地で食されています。さらに、その発酵物には高い抗酸化活性、抗肿疡活性や免疫调整作用が报告されており、その高い机能性が期待されています。一方、高齢者、特に高齢経管栄养补给者は、低下した免疫机能の影响から、感染症をおこしやすいことが大きな问题となっております。今回、九州大学大学院农学研究院の中山二郎准教授と汤野温泉病院の藤田雄叁医师らの共同研究チームは、発酵パパイア粉末摆カリカセラピ厂础滨顿翱-笔厂501,カリカセラピ株式会社(旧株式会社済度)製:福冈市中央区闭を高齢経管栄养补给者に30日间投与することで、末梢血単核细胞の肿疡细胞溶解能(ナチュラルキラー细胞活性)が回復することを见出しました。しかし、免疫や炎症に関わるインターフェロンや各种サイトカインの値は変动しませんでした。そのため、発酵パパイア粉末は、インターフェロンやサイトカインを介さない経路で、高齢経管栄养补给者の低下した自然免疫能を回復させると推测されました。また、発酵パパイア粉末の投与前后に便中の肠内细菌を分析したところ、発癌リスクを高めるとされる二次胆汁酸生产菌として知られるクロストリジウム?シンデンスが减少し、菌血症を起こすことが知られるエガセラ?レンタも减ることが観察されました。一方、発酵パパイア粉末の成分分析では、高分子のポリフェノール类は含まれず、その分解物である低分子のフェノール酸类が検出されました。以上より、消化管から吸収されにくい高分子のポリフェノールが発酵により低分子化されることで免疫系や肠内细菌への作用を発挥することが示唆されました。これらの知见は、肠疾患や癌をはじめとする様々な疾患の予防および治疗法の开発や、特に高齢者の感染症予防や肠内环境の改善など蚕翱尝(生活の质)向上に役立つことが期待されます。
本研究は、2017年1月6日付けで米国のオンライン科学雑誌「PLOS ONE」に掲載されました。
本研究で使用した発酵パパイア粉末の原料 野生未熟青パパイア フィリピン産(写真提供:カリカセラピ株式会社)
発酵パパイア粉末摂取による加齢経管栄養補給者の末梢血単核細胞腫瘍細胞溶解能の変化(左)と糞便中のClostridium scindens(中)とEggerthella lentaの存在比の変化(右)
最近の我々のグループの调査研究で、フィリピンの子供たちの肠内细菌丛が食の欧米化により変化していることも分かりました(论文発表予定)。特に、都会では未熟マンゴーやパパイアの食习惯も失われつつあります。今回の研究で、未熟果実の健康効果も示唆され、古来の食习惯を科学的に见直す必要性を感じています(中山二郎)
脳神経外科専门医として神経系疾患の研究をしてきました。今回は老化研究の际に、ポリフェノールの発酵物による免疫机能改善の他、肠内细菌丛の変化が示され、コレステロール代谢などに影响を与える可能性と、便の臭いの低下が示されました。さらなる発酵技术の応用が期待されます。(藤田雄叁)