Research Results 研究成果
ポイント
概要
石油に数%程度含まれる硫黄化合物は、燃焼すると硫黄酸化物となり环境を汚染し、また自动车触媒の性能低下、燃费性能悪化などを招きます。现在、製油所で水素化脱硫という手法で硫黄化合物が除去されていますが、数十~数百気圧の高圧の水素や大规模な设备が必要であり、世界には脱硫が不十分な燃料が流通している地域も多いのが现状です。
今回、脱硫が不十分な际に残りやすい含硫黄芳香族化合物を、紫外线を当てるだけというシンプルな操作で分解し、生成した硫黄単体を固体粉末の沉殿として分离させることに成功しました。
九州大学大学院理学研究院の徳永信教授、村山美乃准教授、理学府博士课程3年篠﨑贵旭氏、トヨタ自动车稲见规夫氏らの研究グループは、石油中の难脱硫物质であるベンゾチオフェン类やジベンゾチオフェン类(※1)を炭化水素に溶かした状态で紫外线を照射すると、酸化反応に続いて电子环状反応などが连続的におこり、2~16时间で完全に分解することを见出しました。また、分解した后に、硫黄は硫黄単体として沉殿することを、各种の分析手法で明らかにしました。沉殿した固体はろ过などで取り除けます。
これにより、大規模な設備や耐圧容器が必要なく、簡便な設備で硫黄分の除去が可能であることが示されました。水素化脱硫では、硫黄分が硫化水素という有毒ガスの形で排出されるため、その処理も安全に行う設備が必要ですが、今回、開発した手法では硫黄単体という無毒で不溶性の固体に変換されるため、さらなるコスト低減や、安全性の確保が容易である利点などがあります。また、従来の水素化脱硫は行える场所が製油所などに限定されていましたが、今回の手法は、ガソリンスタンドや自家用車の中などオンサイトで実施できるのも特徴です。
本研究はJournal of Cleaner Production の電子版(投稿原稿)に8月5日(金)に掲載されました。
难脱硫性のジベンゾチオフェン类の紫外线による分解と硫黄単体の析出
用语解説
(※1) ベンゾチオフェン類?ジベンゾチオフェン類
有机硫黄化合物のなかでも特に安定な多环式の含硫黄芳香族化合物で、水素化脱硫の条件での水素化分解に最も耐性の高い化合物群です。このため、脱硫が不十分な燃料中に多く残留します。
论文情报
掲載誌:Journal of Cleaner Production
タイトル:
着者名:篠﨑贵旭、末永正彦、高ヨハン、山本英治、村山美乃、徳永 信
顿翱滨:10.1016/箩.箩肠濒别辫谤辞.2022.133402
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