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Research Results 研究成果

固体电解质の性能を左右する隠れたパラメータを掌握!

~高いイオン伝导度を持つ固体电解质を再现性良く作製する机构の解明と実証~ 2022.06.10
研究成果Technology

ポイント

  • 全固体蓄电デバイスの必须部材である固体电解质の性能均质化が课题
  • 电解质の性能を左右する热力学的要因を特定し、その制御に成功
  • 均质な电解质の量产へ向けた足掛かりに

概要

 高い安全性と蓄エネルギー性能の実现可能性から、全固体电池は次世代蓄电デバイス候补の笔头と目されています。その実现には、现行の有机电解液の代替となる、高速でイオンを通す无机固体电解质が不可欠です。しかし、无机固体电解质のイオン输送性能は、研究报告レベルでもそのばらつきが顕着であり、その原因の解明や高い伝导を再现性良く得る手立ての検讨が望まれていました。

 九州大学工学研究院応用化学部門の大野真之助教、林克郎教授、赤松寛文准教授、吉田傑学振特別研究員(当時)、工学府応用化学専攻の下田昌季大学院生、前川舞有大学院生、Colorado School of MinesのPrashun Gorai助教らの研究グループは、見かけ上同等である試料に潜む熱力学的な差異(※1)が固体中のイオン輸送を時には一桁も変化させ得ることを、Naイオン伝導固体であるNa3SbS4をモデル電解質として用い、理論と実験の両面から明らかにしました。さらに、明らかとなった機構を元に、一般に性能に悪影響を及ぼすと考えられてきた目的相以外の不純物をあえて微量に析出させ、系の熱力学的な自由度を奪う(※2)ことで、イオン輸送性能のばらつきを三分の一以下に抑えることに成功しました。

 今回解明されたばらつきの热力学的な要因は固体材料に普遍であり、尝颈イオン伝导固体を含む种々の固体电解质の输送性能を担保する重要な戦略となることが期待されます。

 本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費JP21K14720、九州大学QRプログラム(Qdai-jump Research Program)02278の支援を受けたものです。

 本研究の成果は、米国化学会の国際学術誌『Chemistry of Materials』のオンライン速報版に、2022年6月6日(月)(日本時間)に掲載されました。

熱力学状態の影響 図(a, b)の左右では熱力学状態が異なり、その差異に付随し欠陥量やイオン輸送が変化します。この差異は一般の観測装置では見分けることが難しく、意図的に微量の不純物を混入させて系の熱力学状態を規定することで、その材料物性への影響を精査することが可能となりました。

用语解説

(※1) 見かけ上同等である試料に潜む熱力学的な差異

 无机化学の世界では不纯物の少ない试料を作製することが、その材料固有の物性?性能を评価するうえで重要であると一般に见なされます。しかし不纯物がなければいつでも同じ性能を示すかと言えば、そうではありません。材料を构成する各原子が持つエネルギーを化学ポテンシャルと言いますが、この化学ポテンシャルは、全く同じ构造を持つ一见同じ材料でも异なる値を取り得ます。この値に差があると、构造中の欠陥浓度にも差异が现れ、その结果电子やイオンの输送も変化します。この一见「隠された」パラメータである化学ポテンシャルの违いが、热力学的な差异です。

(※2) 系の熱力学的な自由度を奪う

 上述の通り、同じ材料であっても化学ポテンシャルの差异により、异なる物性?性能を示します。従って欲しい物性を最大限生かせるよう化学ポテンシャルを制御することが必要となります。そこで今回は、多様な値を取り得る化学ポテンシャルを、一つのものに固定する方法を取りました。化学ポテンシャルが一义に决まっていない场合、その系は自由度があると言えます。ギブスの相律という系の自由度を决めるルールに従えば、温度と圧力が一定の状况で、目的の叁元系材料(叁つの元素から构成される材料)は、平衡状态で最大で二つの相と共存でき、そのような二つの相と共存している状态では、系の化学ポテンシャルは一义に规定され、自由度を失います。つまり、一般にはできるだけ不纯物が少なくきれいな试料がよいとされる中、材料の输送特性に影响を与えない程度の微量の共存相を意図的に导入することで、化学ポテンシャルの制御が可能となります。これが、系の热力学的な自由度を「夺う」ということです。自由度を夺うことで、再现性良く高いイオン伝导を得ることができるようになります。

论文情报

掲載誌:Chemistry of Materials

タイトル:

著者名:Masaki Shimoda, Mayu Maegawa, Suguru Yoshida, Hirofumi Akamatsu, Katsuro Hayashi, Prashun Gorai, Saneyuki Ohno

DOI: 10.1021/acs.chemmater.2c00944

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