Research Results 研究成果
ポイント
概要
有机化合物の水素化反応は、医薬品やビタミン类などをはじめとする种々の机能性化学品の製造において幅広く用いられます。水素化反応においては、过剰反応による副生成物の生成抑制が重要となります。反応时に窒素原子を含む添加剤を加えると、过剰反応を抑制できることが経験的に知られていましたが、その作用机构は明确ではなく、利用は限定的でした。また、添加剤を加える検讨は烦雑になりやすく、体系的な検讨が困难でした。
今回の研究では、フェナントロリンという物质が添加剤として特に有効に机能することと、触媒の不规则な表面がフェナントロリンで不活性化されて过剰反応が起きにくくなることが明らかになりました。
九州大学先導物質化学研究所の浅野周作助教、辻雄太助教(現総合理工学研究院准教授)、田原淳士助教(現東北大学助教)、林潤一郎教授、吉澤一成教授、英国Warwick大学のNikolay Cherkasov講師(Stoli Chem社取締役兼務)らの研究グループは、21種類の添加剤について、独自開発した自動化フロー反応装置で水素化反応の成績変化を検証し、有望な添加剤とその作用機構を解明しました。フラスコに原料溶液と触媒を入れて反応させる通常の方法ではなく、触媒をコーティングしたチューブに原料溶液を送液して反応させるフロー法を用いることで、効率的な検討を実現しました。フロー法では、ポンプやバルブをパソコンから操作することで容易に添加剤の種類や反応条件を変更できるため、計352条件もの検討を自動化して行うことが可能となり、触媒の使用量もごくわずかに抑えられました。
今回の成果は、机能性化学品の効率的な合成につながると期待できます。また、今回开発した自动化フロー装置を他の反応系にも展开していくことで、化学分野での実験検讨の効率化?省労働力化に资すると期待できます。
本研究成果は、2022年5月16日に、英国の国際学術誌「Reaction Chemistry & Engineering」誌に、オープンアクセス形式でオンライン掲載されました。
図「自动化フロー反応装置」あらかじめ定めた条件に従ってポンプやバルブが笔颁から操作され、反応とサンプリングを行う。チューブの中を流れる速度を変えると、反応时间を変更することができる。触媒は流れ出さないため、少量の触媒を効率的に繰り返し利用できる。
用语解説
(※1)水素化反応
化合物中の不饱和结合に水素を付加させる反応をいう。本研究の例においては、炭素と炭素の间の叁重结合に水素を付加し、二重结合へ変换している。过剰反応が起こると、二重结合にさらに水素が付加して単结合になってしまうため、过剰反応を抑えることが重要となる。
(※2)触媒
少量存在することで化学反応を促进させる物质をいう。水素化反応においては、パラジウムなどの迁移金属が触媒として有効に作用する。
タイトル: | |
着者名: | Shusaku Asano, Samuel J Adams, Yuta Tsuji, Kazunari Yoshizawa, Atsushi Tahara, Jun-ichiro Hayashi, Nikolay Cherkasov |
掲载誌: | Reaction Chemistry & Engineering |
顿翱滨: | 10.1039/顿2搁贰00147碍 |