Research Results 研究成果
ポイント
概要
かゆみを感じたとき、私たちはかゆいところを引っ掻きます。通常であれば、数回引っ掻くとかゆみは治まりますが、アトピー性皮肤炎や接触皮肤炎などに伴う慢性的な强いかゆみだと、何回も繰り返して引っ掻いてしまいます。それによって皮肤の炎症が悪化し、その结果、かゆみがさらに増すという悪循环となってしまいます。これは、「かゆみと掻破(そうは)※2の悪循环」と呼ばれ、かゆみを长引かせる大きな原因と考えられていますが、そのメカニズムはまだよく分かっていません。
九州大学大学院薬学研究院/高等研究院の津田诚主干教授、薬学府の兼久贤章大学院生(当时)、冈山大学、ジョンズ?ホプキンス大学(米国)の研究グループ※3は、何回も繰り返し皮肤を引っ掻く、アトピー性皮肤炎や接触皮肤炎モデルマウスで研究を行い、皮肤からのかゆみ信号を脳へ送る脊髄神経(かゆみ伝达神経)の活动が高まっていること、皮肤への引っ掻き刺激を抑えるとそれが起こらないことを见いだしました。さらに、皮肤を繰り返し引っ掻くことで、皮肤と脊髄をつなぐ感覚神経で狈笔罢齿2というタンパク质が増え、これが脊髄のかゆみ伝达神経に作用すると、その神経の活动が高まってしまうことを発见しました。実际に、狈笔罢齿2を无くしたマウスでは、脊髄のかゆみ信号伝达神経の活动が低下し、かゆみも軽减しました。この研究成果から、皮肤炎モデルマウスで见られる长引くかゆみには、かゆい皮肤を何回も引っ掻くことで作られる神経のタンパク质狈笔罢齿2と、それによるかゆみ信号伝达神経の活动の高まりが原因であることが明らかになり、慢性的なかゆみのメカニズムの解明と、かゆみを镇める治疗薬の开発に向けた大きな一歩となると考えられます。
本研究成果は、2022年5月2日(月)午後6時(日本時間)に国際科学誌「Nature Communications」のオンラインサイトに掲載されました。
かゆい皮肤への引っ掻き刺激により、感覚神経で狈笔罢齿2というタンパク质が増えてきます。それが脊髄へ运ばれ、かゆみ伝达神経に作用し、その活动を高めてしまいます。结果、强いかゆみが生じ、また皮肤を引っ掻いてしまう。これが「かゆみと掻破の悪循环」を生み、かゆみを慢性化すると考えられます。
用语解説
※1: NPTX2(neuronal pentraxin 2)
神経细胞の活动が高まると作られるタンパク质。神経から放出された后、次の神経の细胞膜にあるグルタミン酸受容体をクラスター化し、その神経活动を高める働きがある。
※2: かゆみと掻破(そうは)
皮肤などのかゆいところを掻いてその部分が伤つくこと
※3: 研究グループ
本论文着者(全员)
九州大学大学院薬学研究院薬理学分野?高等研究院: 津田誠(主幹教授)
九州大学大学院薬学府薬理学分野: 兼久賢章(大学院生:当時)、古賀啓祐(大学院生:当時)、白石悠人(大学院生)、浅井こなつ(大学院生)、白鳥美穂(助教)
岡山大学学術研究院自然科学学域(牛窓臨海): 坂本浩隆(准教授)、前嶋翔(特任助教)
Johns Hopkins University School of Medicine: Mei-Fang Xiao(研究員)、Paul F. Worley(教授)
论文情报
掲載誌:Nature Communications
タイトル:
著者名:Kensho Kanehisa, Keisuke Koga, Sho Maejima, Yuto Shiraishi, Konatsu Asai, Miho Shiratori-Hayashi, Mei-Fang Xiao, Hirotaka Sakamoto, Paul F. Worley, Makoto Tsuda
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