Research Results 研究成果
ポイント
概要
全身机能の司令塔として知られる脳は、神経细胞のみならず多种多様な细胞の相互作用によって、その高度な机能が维持されています。そのため、脳がどのような细胞によって构成され、各细胞がどういった特性を有しているのか理解することは、脳の机能を正确に理解するために必要不可欠であり、また脳疾患の発症メカニズムの解明へ向け、重要かつ喫紧の课题であると考えられます。
本研究では、これまで全く研究が進んでいなかった脳境界マクロファージ(※1、2) という特殊な免疫細胞の動向を正確に捉え、その成り立ちや細胞特性を解明することに成功し、それに加えて脳の形成に関わる新たな仕組みを見出しました。
九州大学大学院薬学研究院の増田隆博 准教授およびドイツ?フライブルク大学のMarco Prinz教授らを中心とした国際共同研究チームは、単一細胞解析法やFate-mapping法という最新研究技術ならびに独自開発した遺伝子改変ツールを駆使して、胎児から成体に至る幅広いライフステージにおいて脳境界マクロファージを詳細に解析し、それらが脳境界領域(※3)に定着する仕組み、さらにはそれら細胞が持つ遺伝子的また機能的特性を世界で初めて明らかにしました。
今回の発见は、脳の形成メカニズムに新たな概念を付加すると同时に、认知症や自闭スペクトラム症といった多くの脳疾患の発症メカニズム解明に大きく贡献することが期待され、将来的には脳内免疫细胞を标的とした新たな治疗法?新薬の开発に役立つことが期待されます。
本研究成果は英国の国际誌「狈补迟耻谤别」に2022年4月21日(木)(日本时间)に掲载されました。
本研究で详细な解析をした脳境界マクロファージ(オレンジ)(※1)は、髄膜や血管周囲スペースといった脳境界领域(※3)に存在しており、脳の実质内に分布するミクログリア(緑)(※4)とは、全く异なる机能を有した特殊な免疫细胞であると考えられます。
用语解説
(※1) マクロファージ
全身の各组织?臓器に存在し、细菌や死细胞を贪食して除去する能力を持ち、その一方で组织の恒常性维持に重要な役割を果たしている免疫细胞。
(※2)脳境界マクロファージ
脳境界领域(※3)に存在するマクロファージの一种。
(※3)脳境界领域
脳の周囲を覆っている髄膜(软膜?くも膜?硬膜)や、脳内血管の周囲に存在し脳脊髄液に満たされている空间、さらには脳脊髄液の产生组织として知られる脉络丛といった脳実质とは区别される脳内领域のこと。
(※4) ミクログリア
脳内の主要免疫细胞で、マクロファージの一种。
论文情报
掲载誌:狈补迟耻谤别
タイトル:
著者名:Takahiro Masuda*, Lukas Amann, Gianni Monaco, Roman Sankowski, Ori Staszewski, Martin Krueger, Francesca Del Gaudio, Liqun He, Neil Paterson, Elisa Nent, Francisco Fernández-Klett, Ayato Yamasaki, Maximilian Frosch, Maximilian Fliegauf, Lance Fredrick Pahutan Bosch, Hatice Ulupinar, Nora Hagemeyer, Dietmar Schreiner, Cayce Dorrier, Makoto Tsuda, Claudia Grothe, Anne Joutel, Richard Daneman, Christer Betsholtz, Urban Lendahl, Klaus-Peter Knobeloch, Tim L?mmermann, Josef Priller, Katrin Kierdorf, Marco Prinz* (*責任著者)
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