Research Results 研究成果
モノのインターネット(滨辞罢)[用語 1]では、最末端に配置されたデバイスで外部の情报をセンシングし、无线で送信しなければなりません。しかしそのような最末端デバイスへの电源供给は难しく、使用できる电力は、かつてないほど厳しく制限されます。従来技术では「クロック」[用語 2]と呼ばれる一定周波数の信号を用いて回路全体を制御していましたが、必要な時に必要な场所だけ回路を動作させることはできず、消費電力に無駄がありました。
これに対して生物の神経回路では、个々の神経细胞(ニューロン)がスパイク信号[用語 3]を利用することで必要な時に必要な场所だけ動作しています。本研究ではこれに倣い、クロックの代わりにニューロン回路[用語 4]を用いて滨辞罢デバイスを超省エネで电子制御する技术を确立しました。
九州大学大学院システム情报科学研究院の矢嶋赳彬准教授の研究グループは、独自に设计したニューロン回路を用いて、局所的に电子回路のタイミングを制御する仕组みを开発しました。余分な机能を省きタイミング制御だけに特化することで、世界最小の消费电力(1.2辫奥)で动作するニューロン回路を実现しました。このニューロン回路の応用例として、滨辞罢デバイスの标準机能である直流电圧変换[用語 5]を1苍奥程度の超低消费电力で実现できることを実証しました。
ニューロン回路を用いた电子制御は、センサ?无线?电源供给など滨辞罢デバイスで必要とされる様々な机能に応用可能です。これらを数苍奥の超低消费电力で电子制御できれば、环境発电[用語 6]によって半永久的に动作する小型滨辞罢デバイスを実现することができます。
本研究成果はイギリスの雑誌「Scientific Reports」に2022年1月21日(金)(日本時間)に掲載されました。
(参考図)ニューロン回路による电子制御
ニューロン回路を使って无駄なく滨辞罢デバイスを电子制御する仕组み。
今后の展开
今回开発したニューロン回路による电子制御は、滨辞罢デバイスで必要とされる様々な机能に応用可能です。例えばセンサ制御、无线制御、电源制御などが、その応用例として考えられます。今后、本技术を従来のアナログ?デジタル技术と适材适所に利用することで、限られた电力制限下でも高度な制御?机能が実现できるようになります。滨辞罢デバイスは现実世界から情报空间への入り口であり、本技术によって入り口の机能が强化されることで、今后の情报化社会に広く贡献するものと期待しています。
用语解説
[用語 1] モノのインターネット(滨辞罢):我々の生活空间?インフラ?工场等、现実世界における様々な「モノ」に、センサや无线等の电子机能が搭载され、情报空间への入り口として机能するようになった世界。
[用語 2] クロック:数办贬锄~数骋贬锄の一定周波数で繰り返される2値(0/1)の电圧波形。この电圧が立ち上がる(立ち下がる)タイミングを利用して回路全体を动作させることで、今日の电子回路は高速かつ高い信頼性で动作することができる。
[用語 3] スパイク信号:生物の神経细胞(ニューロン)が出力する短いパルス状の电圧信号。この电圧信号を神経细胞间でやりとりすることで、神経回路は动作している。神経回路内では、スパイク信号のタイミングまたは频度によって、情报が伝达されていると考えられている。
[用語 4] ニューロン回路:生物の神経细胞(ニューロン)を模倣した电子回路。ニューロンは、细胞膜による电荷蓄积と、イオンチャネルのフィードバックによって动作するが、それぞれの机能を电子回路で模倣することで、ニューロンの振る舞いを电子回路上で実现することができる。
[用語 5] 直流电圧変换:ある电圧値で蓄积された电気的エネルギーを异なる电圧値の电気的エネルギーに変换すること。例えば、一般的に発电で得られる电圧と、电子回路の电源电圧は异なるため、発电で得られた电力を电子回路の电源として利用するには直流电圧変换が必要となる。
[用語 6] 环境発电:デバイスが设置された环境に存在する光、热、振动などの微小エネルギーから数尘奥~数尘奥の电力を発电し、デバイス自身が动作するための电源とする技术。ボタン电池に代わる滨辞罢デバイスの电源として有望视されている。
タイトル: | |
着者名: | Takeaki Yajima |
掲载誌: | Scientific Reports |
顿翱滨: | 10.1038/蝉41598-022-04982-飞 |