伊人直播app

Research Results 研究成果

世界初!蒸気に応答して広波长帯域の近赤外吸収を剧的に変化させる技术を开発

~アルコール蒸気で消去、水蒸気で书き込み可能な近赤外吸収スイッチ材料~ 2022.01.21
研究成果Physics & ChemistryTechnology

ポイント

  1. これまで近赤外(NIR-II)領域に1,000 nmを超える連続的な超広帯域の近赤外吸収を与え、かつ、その消去と書き込みを温和な条件下、可逆的に行える物質は存在しなかった。

  2. 本研究で、1,000 nmを超える連続的な超広帯域近赤外吸収を与える一次元白金錯体と、そのフィルム化技術を開発し、近赤外吸収を可逆的にアルコール蒸気雰囲気下で消去、水蒸気雰囲気下で可逆的に書き込みすることに成功した。

  3. アルコール蒸気雰囲気下で効率よく消去、水蒸気雰囲気下で再生できる分子暗号技术として、偽造防止などのセキュリティインク、スイッチングできる近赤外线吸収フィルタの製造、狈滨搁-滨滨と可视吸収の双方を利用するセンサー技术等への幅広い応用が期待される。

 眼に見えない波長780~2,500 nmの光は近赤外光と呼ばれ、多くの物質を透過することから、セキュリティインク(偽造防止)技術、光変調技術やイメージングをはじめとする幅広い応用がなされています。一方、より高度なセキュリティ技術やその社会実装へ展開するためには、分子レベルで設計され、幅広い近赤外吸収を可逆的にスイッチングできるインクやフィルム材料が求められています。蒸気に応答して色が変化するベイポクロミズムは、主に可視光領域において検討されてきましたが、超広帯域の近赤外吸収を可逆的にスイッチングできるフィルム材料はこれまで知られていませんでした。
 今回、九州大学大学院工学研究院の君塚信夫教授、森川全章助教、同大学大学院工学府永井邑树大学院生らは、超広帯域の近赤外吸収を示し、かつ有机溶媒に可溶でフィルム化できる材料を开発し、近赤外吸収を可逆的にアルコール蒸気雰囲気下で消去、水蒸気雰囲気下で可逆的に书き込みすることのできる超広帯域の近赤外吸収ベイポクロミズム现象ならびに材料を発见しました。
 超広帯域の近赤外吸収は、一次元白金错体とアニオン性脂质分子の精密复合化に基づいて、金属间相互作用を强め、バンドギャップを着しく小さくする同グループの独自技术に基づいて実现しています。一次元错体/脂质复合体における结晶水は、一次元错体锁ならびに脂质分子の配列构造を安定化していますが、メタノール蒸気によって结晶水が追い出され、これに伴って错体锁と脂质の配列构造が大きく変化することによって、超広帯域の近赤外吸収が消失、可视光吸収特性も変化(蓝色→赤色)しました。一方、水蒸気雰囲気下では可逆的に结晶水が形成され、近赤外(ならびに可视光)吸収が回復します。
 本材料は水蒸気に応答する「环境调和型」の近赤外光セキュリティ技术として応用が期待されます。
 本研究成果は、2022年1月4日(英国時間)に英国の国際学術誌「Chemical Communications」にオンライン掲載されました。

研究者からひとこと
当研究グループで开拓した一次元金属错体(固体物性科学)と分子膜(生体関连化学)の异分野融合?分子组织化技术に基づき、蒸気に応答して近赤外吸収を剧的に変化させる技术を开発しました。近赤外フォトン?アップコンバージョンを含め、分子组织化に基づく新たな光技术へ展开します。

论文情报

タイトル:  
着者名: Yuki Nagai, Masa-aki Morikawa and Nobuo Kimizuka
掲载誌: Chemical Communications
顿翱滨: 10.1039/顿1颁颁06723碍   

研究に関するお问い合わせ先