Research Results 研究成果
九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)の安達千波矢センター長、Daniel Ping-Kuen Tsang研究員の研究グループは、熱活性化遅延蛍光(TADF)材料を発光層に含有する有機EL素子において、デバイス構造の最適化により初期劣化を十分に抑制し、連続素子寿命を大幅に向上させることに成功しました。本研究では、有機分子である8-hydroxyquinolinato lithium (Liq)を有機層界面に数ナノメーターの膜厚で挿入することにより、素子の初期発光強度が5%減少するまでの時間(LT95)を最大16倍程度伸ばすことが可能になりました。このような素子寿命の大幅な改善は、Liq超薄膜の挿入によって、界面に形成される電荷トラップ濃度の大幅な減少に起因しています。この改善により、モバイルディスプレーに必要とされる素子寿命を十分に確保する道筋が得られたことになります。
本研究成果は、平成28年3月1日(火)午前10時(英国時間)に英国国際学術誌Nature 姉妹誌のオンラインジャーナルである『Scientific Reports』に掲載されました。
上左:有机贰尝素子の构造と尝颈辩の分子构造。
上右:罢础顿贵発光材料である4颁锄滨笔狈の分子构造。
下:(黒い线)尝颈辩层を含有しない素子の耐久特性。(赤い线)尝颈辩层を正孔阻止层と発光层の间に3ナノメートル、また、正孔阻止层と発光层の间に2ナノメートル尝颈辩を挿入することで、素子寿命を8倍向上できました。(緑の线)素子构成の最适化により最大16倍の耐久性向上に成功しました。
本研究成果による新しい素子构造を有机贰尝素子に适用することで、ユニバーサルに有机贰尝素子の耐久性の向上を可能とし、ディスプレーにおいて要求される初期劣化を大幅に改善することができます。