Research Results 研究成果
チーターから逃げるトムソンガゼルが4つ足で真上に跳ねるストッティングや、ヒトから逃げるショウリョウバッタが発するキチキチという音など、逃げる时に目立つ行动をする动物は数多く存在します。一见すると捕食者の注目を集めてしまうようにも思われる目立つ逃避は、逃避能力の高さをアピールして追跡をあきらめさせたり、突然目立つ逃避を止めることで目をくらませたりして、被食者の生存に有益な効果をもたらすと考えられています。ただし、目立つ逃避をする动物では、同じ种内でオスとメスで目立つ逃避をする频度が异なることがこれまでに报告されていました。极端な例として、ショウリョウバッタのキチキチ音はオスのみで観察され、メスでは観察されていませんでした。また、オスが発音せずに逃避する场合も観察されていました。なぜ、目立つ逃避を使用する频度にこのようなオスとメスの差(性差)が生じているのでしょうか?
九州大学大学院システム生命科学府の久我立大学院生、大学院芸术工学院の関元秀助教、大学院理学研究院の粕谷英一准教授、佐竹暁子教授は共同研究によって、被食者が目立つ逃避のために进化しうる性差の种类と、その进化に必要な条件を理论的に明らかにしました。目立つ逃避が被食者の生存に有益な効果をもたらすとしても、その行动に要する繁殖上のコストや捕食されやすさに性差がある场合、目立つ逃避の有无に性差が生じました。同じ性内で目立つ逃避をする场合としない场合が生じるのは、ある个体が目立つ逃避をすることでその个体の近くにいる他个体の捕食されやすさも下がる场合でした。本研究は目立つ逃避の性差を生じる条件について初の理论的な枠组みをもたらしており、今后の目立つ逃避の机能を探る実証研究を促进することが期待されます。
本研究成果は、2021年8月16日に科学雑誌「The American Naturalist」にオンライン速報版で掲載されました。(顿翱滨:10.1086/715745)また、本研究は、日本学術振興会科学研究費(JP19K16242)の支援により行われました。
逃避するショウリョウバッタのオス
参考図
进化しうる目立つ逃避の频度の性差とその性差を生じるために必要な条件