Research Results 研究成果
私たちの日常生活に欠かせない情报技术は多くの电子デバイスに支えられています。しかし、电子制御のみに頼った技术で情报処理速度を今后飞跃的に向上させることは难しく、速度に优れた光学デバイスの导入が必要です。
今回、九州大学先导物质化学研究所の斉藤光准教授、东京工业大学物质理工学院材料系の叁宫工准教授、同大学理学院物理学系の森竹勇斗助教らの研究グループは、光の伝播を自在に操るために欠かせないダイオード摆用语1闭のような整流作用のあるナノ光学デバイスを実証しました。その动作原理は、2016年のノーベル物理学赏でも有名な「トポロジカル絶縁体摆用语2闭」とも関係が深く、电気伝导について物质内部は絶縁体であるにもかかわらずエッジ(表面や境界)だけ导体というトポロジカル絶縁体の不思议な性质を利用しています。この性质が光伝播においても発现するような人工ナノ构造を设计し、その光伝播を直接可视化したのが本研究成果です。
トポロジカル絶縁体は原子が规则正しく并んだ结晶ですが、今回、原子の结晶を模した构造として、金属ナノ构造を规则正しく并べた人工结晶を作製し、光に対する「絶縁体」の机能が発现するようにしました。作製した人工结晶は非対称な形をしており、これがトポロジカルな性质が発现するための重要な构造的特徴となっています。この非対称な人工结晶とそれを反転させたもう一つの人工结晶を接続して境界(エッジ)を形成すると、その境界上でのみ光伝播が発现し、境界に沿って一方向に伝播する整流性を获得します。この人工构造は金属で构成されており、光は金属表面の自由电子集団の粗密波(表面プラズモン摆用语3闭)に変换され、ナノスケールに圧缩されて伝搬します。本研究グループは世界に先駆けてこのトポロジカルに保护された光伝搬をナノスケールで実现し、电子顕微镜摆用语4闭によってその伝播を直接可视化することに成功しました。
本研究成果は2021年7月27日にNano Letters誌(2020 Impact Factor11.189)に公開されました。
参考図
電子顕微鏡で可視化された 境界に沿って伝播する表面プラズモン
用语解説
摆用语1闭ダイオード:电流を一定方向にしか流さない作用(整流作用)をもつ电子部品。
摆用语2闭トポロジカル絶縁体:物质の内部は絶縁体でありながら、表面では电気を流す金属的な性质を示す。通常の絶縁体との区别をつける上で、物质中の电子の状态を记述する数学的理论にトポロジーが导入されたことが名前の由来となっている。
摆用语3闭表面プラズモン:物质中の电子が集団的に振动することで生じた电子密度の粗密波をプラズモンと呼ぶ。プラズモンが物质表面で生じるとき、表面近傍の电场と磁场の振动を伴った表面プラズモンとなる。表面プラズモンが光の振动数领域で生じるとき、光エネルギーが物质の极表面近傍のナノメートルサイズの空间に圧缩されるため、表面プラズモンを利用したナノスケールの光学デバイスの研究が进められている。
摆用语4闭电子顕微镜:高エネルギーの电子线を试料に照射し、试料による电子线の散乱等を利用して物质や生体をイメージングする顕微镜。今日では原子の并びを直接可视化できるほど高性能な电子顕微镜が市贩され、物质や生体の构造を原子レベルで解析することが可能になっている。
摆用语5闭カソードルミネセンス法:加速电子を试料に照射することで生じた试料からの発光(カソードルミネセンス)を计测する手法。カソードルミネセンス法は、古くはブラウン管ディスプレイ(颁搁罢)などで用いられている。
谢辞
本研究は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事业、科学技术振兴机构(闯厂罢)戦略的创造研究推进事业さきがけ研究领域「光の极限制御?积极利用と新分野开拓(研究総括:植田宪一)」における研究课题「加速电子线を用いた光ホログラフィ」(研究者:叁宫工(闯笔惭闯笔搁17笔8))、日本学术振兴会科学研究费助成事业研究课题「アキラル构造からなる光角运动量ソーターの多空间同时光计测による研究」(研究代表者:叁宫工(闯笔21贬01782))の支援を受けて行われました。