Research Results 研究成果
九州大学大学院農学研究院 天敵昆虫学の津田みどり准教授、同大学大学院生物資源環境科学府の張 耀卓大学院生らは、エジプト農業研究センター植物保護研究所?カフルエルシェイク大学のサベト訪問研究員らとの共同研究で、ナノサイズのシリカ(二酸化ケイ素)を用い、葉に直接噴霧することで、即効性の高い天敵誘引効果の増強と害虫殺虫効果の双方が発揮されることを初めて実験により明らかにしました。
これまで、シリカを土に追肥すると作物が害虫の天敌を诱引しやすくなることは少数の作物で报告されていましたが、肥料を与えてから効果が现れるのに日数を要する等の问题がありました。
本研究では、野外のダイズ畑およびソラマメ畑を用い、叶にシリカのナノ粒子(=ナノシリカ)を様々な浓度で喷雾しました。その结果、ナノシリカが高浓度であるほど、害虫であるヨトウ幼虫、アブラムシ、ハモグリバエ幼虫という异なる食害タイプの昆虫をいずれも低减できることを示しました。
一方で、ナノシリカが低浓度の场合のみ、喷雾から1日后には、ダイズにおいてハネカクシなどの天敌昆虫(捕食者)の个体数が水喷雾区より増加しました。そこで、実験室内で、ヨトウ幼虫に食害されたダイズに、水またはナノシリカを喷雾し、捕食者のハネカクシに匂いを选ばせたところ、性别に関係なく、ナノシリカを喷雾した被害ダイズの匂いを选びました。
本研究成果は、2021年7月14日に国际科学誌「」で公开されました。
図1
図2
ナノシリカによる作物の天敌(捕食者)诱引効果の増强(図1?2)および害虫の低减(図2)