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Research Results 研究成果

ベイズ推定を用いた新たな电子构造の解析法を开発

トポロジカル絶縁体などを巡る数々の论争の决着へ 2021.07.28
研究成果Physics & Chemistry

発表のポイント

  • 新规开発の手法により、膨大な数のパラメータを持つ电子构造の全貌を明确化

  • トポロジカル絶縁体における长年の问题を解决するための突破口に

  • 原子层物质や超伝导体などより広范な机能性材料の解析にも适用可能

概要

 电気が流れる、磁石につく、透明不透明、といった物质の性质は、物质中の电子の振る舞いによって决まります。しかし従来の方法では、膨大な数のパラメータを持つ电子构造の全貌を明らかにすることが困难でした。
 東北大学材料科学高等研究所の佐藤宇史教授、九州大学情報基盤研究開発センターの徳田悟助教、京都産業大学理学部の瀬川耕司教授、ドイツ ケルン大学の安藤陽一教授、産業技術総合研究所 産総研?東北大 数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ(MathAM-OIL)の中西毅ラボ長らの研究グループは、IT分野などで幅広く用いられている「ベイズ推定」※1という統計学的手法を用いて電子構造の全貌を明らかにする新しい解析方法を開発しました。本手法により、近年提唱された「トポロジカル絶縁体」※2と呼ばれる新奇物質における、相対論的ディラック電子※3の質量を10年越しに正確に決定することに成功しました。本解析法は、トポロジカル絶縁体だけでなく様々な機能性材料に対しても広く適用可能で、次世代放射光などによって得られる電子構造データの解析にも役に立つと期待されます。
 本研究成果は、ネイチャー系英国科学誌Communications Physicsの2021年7月27日号で公開されました。

用语解説

※1 ベイズ推定
データ分析では、観测データを记述するモデルを立て、モデルのパラメータの値をデータに合うように求める、パラメータ推定が行われます。観测データとパラメータを共にランダムに得られるもの(确率変数)とみなし、パラメータが従う确率分布を求める手続きをベイズ推定と呼びます。パラメータの値だけではなく、それが従う确率分布を求めるため、パラメータの値が持つ不确かさを定量化できることが1つの特徴です。今回の研究では、モンテカルロ法と呼ばれる乱拓アルゴリズムに基づいて确率分布を计算し、电子构造を特徴付ける全てのパラメータを求めました。ベイズ推定は条件付き确率の连锁律(ベイズの定理)をその基础としており、モデルのパラメータだけでなく、モデル自体の不确かさも定量化できます。今回の研究ではこの性质を基に、ディラック电子の质量が有る(モデル滨)か、无い(モデル滨滨)か、を统计的に评価しました。

 ※2 トポロジカル絶縁体
固体は物质内の电子构造によって、金属、絶縁体(半导体)、超伝导体と分けることができますが、トポロジカル絶縁体は、位相几何(トポロジー)の概念を物质の电子构造の解析に取り入れることで、これまでの絶縁体とは一线を画す新しい絶縁体物质として2005年に提唱されました。3次元物质では表面に、2次元物质ではエッジ(端)に、电子の金属的な伝导路が形成されます。この伝导路は电子のスピンが上向きか下向きかで分かれており、その性质のために、不纯物の散乱に対して非常に强いことが知られています。この特殊な伝导路を利用してこれまでの物质にはないスピンの応答や制御を実现することで、新しい量子现象やスピントロニクス素子开発のアプローチができると期待されて、国内外で精力的な研究が行われています。

※3 ディラック電子
固体中の电気伝导を担う电子は、通常、有限の有効质量を持って运动していますが、特殊な状况下では、今から约90年前に英国の物理学者ディラック(1933年ノーベル物理学赏)が提唱した质量ゼロの相対论的フェルミ粒子の运动を记述する「ディラック方程式」に従って固体中を运动すると理论的に予言されていました。このような状态にある电子は非常に动きやすい上に、量子効果を示しやすいという特徴があります。

角度分解光电子分光の概念図。物质に高辉度紫外线や软齿线を照射し、放出された光电子のエネルギーと运动量を精密に测定することで?物质の电子构造を决定できます。

论文情报

タイトル:
着者名:
Satoru Tokuda, Seigo Souma, Kouji Segawa, Takashi Takahashi, Yoichi Ando, Takeshi Nakanishi, and Takafumi Sato 
掲载誌:
Communications Physics 
顿翱滨:
10.1038/蝉42005-021-00673-6 

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