Research Results 研究成果
【研究成果のポイント】
◆ 半導体技術を用いて、ナノ細孔とゲート電極で構成される集積ナノポアデバイスを開発した。
◆&苍产蝉辫;ゲート电极に加える电圧を通して生じさせるナノポア内の水流によって、ナノポアを通过するウイルスサイズの粒子の速度を、従来技术に比して1/10000にまで低减することに成功した。
◆&苍产蝉辫;本成果により、固体ナノポア法によるウイルス検査の精度が飞跃的に向上すると期待される。&苍产蝉辫;
&苍产蝉辫;【概要】
大阪大学产业科学研究所の筒井真楠准教授?鷲尾隆教授?川合知二招聘教授と、华中科技大の贬别(ハー)教授、九州大学先导物质化学研究所の龙崎奏助教?玉田薫教授による共同研究グループは、水中におけるウイルスサイズの物体の动きを精密に制御する固体ナノポア※1デバイスの开発に成功しました。
固体ナノポア法は、半导体技术で作製するナノサイズの细孔(ナノポア)を通るイオン电流※2を计测することで、そこを通过する1个のウイルスの検出?识别を可能にする超高感度センサです。しかし従来の固体ナノポア法では、物体が细孔を、1/1000秒に満たない仅かな时间で高速に通过するため、イオン电流计测が追い付かず、ウイルスの识别精度が劣化する、という课题がありました。
図1. 上図:従来の固体ナノポアでは粒子が高速にナノポアを通過する。下図:それに対し今回開発した集積固体ナノポアデバイスでは、ゲート電極に加える電圧により、ナノポア内の水流を制御することで、ウイルスサイズのナノ粒子の移動速度を1/10000倍にまで減速できる。
そこで、筒井准教授らの共同研究グループは、固体ナノポアにゲート电极を集积したナノポア构造を开発しました(図1)。この新规デバイスでは、ゲート电极に加える电圧によってナノポア内に水流(电気浸透流※3)を生じさせ、その流れの向きや势いを自在に変えることができます。本研究ではこの原理を応用し、ウイルスサイズのナノ粒子のナノポア通过速度を、従来のものに比して1/10000倍にまで大幅に减速できることを実証しました。本技术の応用により、固体ナノポア法によるウイルス検査の飞跃的な精度向上が期待されます。
本研究成果は、ネイチャー?パブリッシング?グループ(NPG)の「Communications Materials」に、3月12日(金)19時(日本時間)に公開されました。
用语説明
※1 ナノポア
ナノメートル(10 億分の 1 メートル)スケールの細孔。
※2 イオン電流
电荷を持った原子?原子団(イオン)の运动によって生じる电流。本研究では、ナノポアを挟んで电圧を印加することで、イオンをナノポアに强制的に通过させる。ウイルスがポアを通过する际、ポア内のイオンはウイルスの体积によって排除されるので、瞬间的にイオンの流れが阻害され、电気的なシグナルとして検出できる。
※3 電気浸透流
壁面に电荷を帯びた流路に电圧を加えたときに生じる溶媒の流れ。例えば负に帯电した壁面があれば、そこにはカチオンが引き寄せられ、电気二重层が形成される。流路に电圧を加えれば、壁面近傍に集まったカチオンは阴极に向かって移动し、その结果、溶媒の流れが生じる。本研究では、ゲート电极に加える电圧でナノポア壁面の帯电状态を変えることで、电気浸透流の流速を制御した。