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Research Results 研究成果

“超”高放射性粒子:福岛第一原発1号机から放出されたメガベクレル放射性粒子の化学とその环境影响

2021.02.16
研究成果Physics & Chemistry

 九州大学大学院理学研究院の宇都宫聡准教授、诸冈和也大学院生(理学府修士课程2年)らの研究グループは、福岛第一原発1号机から放出された福岛第一原発から放出された“超”高放射性のセシウム含有粒子を発见し、その化学的?物理的特性を多角的な分析によって明らかにしました。国立极地研究所、筑波大学、东京工业大学、フィンランド贬别濒蝉颈苍办颈大学、仏狈补苍迟别蝉大学、英顿颈补尘辞苍诲放射光、米厂迟补苍蹿辞谤诲大学との共同研究の成果です。
 2011 年の福島原子力災害により原発から放出された放射性セシウムは水溶性と難水溶性の形態をしていました。今回、これまでに福島で報告されてきた難水溶性粒子の中で最も放射能の高い微粒子を、双葉駅方面に伸びる局所的な高線量帯から発見しました(図1)。この高線量帯は1号機の水素爆発の際に形成されたものです。単離した全31個の粒子の中から発見された2つの“超”高放射性粒子(FTB1とFTB26)の粒径は数百?m~数mmで、それらの134+137Csの放射能は2011年時点に換算するとFTB1が0.61メガベクレル、FTB26が2.5メガベクレルとなりました。(メガは106。ベクレルは1秒間に放射線が出る回数または崩壊する原子数。現在はそれぞれFTB1が 0.27メガベクレル、FTB26は1.1メガベクレルと計算されます。) また134Cs/137Cs放射能比は0.97と0.95を示し、1号機由来の放射性粒子であることが確認できます。これらの粒子を電子顕微鏡、3次元X線CT、シンクロトロン放射光マイクロビームX線分析及び二次イオン質量分析を駆使して多角的に構造、組成分析を実施しました。

 1つ目の“超”高放射性粒子FTB1は酸素、アルミニウム、ケイ素、鉄を主成分として、非晶質かつナノ細孔を保持した構造を呈し、~1 wt%のCsが一様に分布していました。
 2つ目の“超”高放射性粒子贵罢叠26は内部が低密度かつ多数の空孔をもつコア物质で构成され、表面には多様な微粒子が埋め込まれた组织を呈していました(図2(左))。组成分析の结果、コア物质は炭素のみからなり、その表面に埋め込まれていた微粒子は、アルミノケイ酸塩ガラス繊维、スズ―铅合金、カルシウム炭酸塩、石英、等の様々な物质から成り、1号机水素爆発発生の瞬间に建屋内に充満していた浮游微粒子を捕获して外部へ放出したものと考えられます。これから、爆発の瞬间に建屋内部に浮游していた粒子の平均组成を図2(右)のように决定することができました。

 今回発见した“超”高放射性粒子が外部被爆で人体に与える影响は少ないと考えられますが、滤过摂食する生物等への影响は考虑する必要があります。また、表层环境中における高线量の动きに大きく寄与しており、粒子分布の経时変化はセシウムの移行モデルにも大きく影响を与えると考えられます。一方で、このような“超”高放射性の粒子を环境中から取り除くことで効率的に空间线量を减らすことができると期待されます。
 本研究は、文部科学省の科学研究費挑戦的萌芽研究(16K12585)の支援を受けて行われたものです。また、本研究成果は、2021年2月15日(月)に国際誌「Science of the Total Environment」に掲載されました。

図1. 2017年11月时点の线量マップに示したサンプリング地点(星印)。

図2. “超”高放射性粒子(贵罢叠26)断面の反射电子像及び元素マップ。(右)表面に付着した微粒子全体の平均组成。爆発时に浮游していた微粒子の主要平均组成を示す。

図3. 表面に付着した微粒子全体の平均组成。水素爆発时に浮游していた微粒子の主要平均组成を示す。

研究者からひとこと

“超”高放射性粒子の発见が、福岛第一原発から飞散した放射性微粒子の影响を再考する端绪になるかもしれません。同时にその化学的特徴は原発灾害时に建屋内部で起きた反応の痕跡を一部残しています。忍耐强く微细分析をする研究ですが、「福岛第一原発灾害の真実を知る」という学生达の强い意志が原动力となりました。

论文情报

,Science of The Total Environment,

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