Research Results 研究成果
脊椎动物の精子は、精细管という细い管の中で精子细胞が成熟して形成されます。精细管は、精子の成熟パターンによっていくつかのステージに分けられます。このステージは空间的に顺番に并んでいるため、时间を追ってみると周期构造が一定方向に移动する波のように见えます。
精细管ステージが、啮歯类では分节状(図1)、ヒトではらせん状の分布(図2)であることは1980年代から知らせていましたが、なぜこのようなパターンの差があるのか理解されていませんでした。
今回、九州大学医学部6年の河村真理学部生、同大大学院医学研究院 系統解剖学分野の杉原圭助教、今村寿子助教、三浦岳教授と明治大学の小川知之教授の研究グループは、数理モデリングによってこのパターンを再現し、分節パターンとらせんパターンの出現する条件を導き出しました。まず研究グループは、3変数の反応拡散系によって移動する周期構造を作り出すモデルを作成し(図3)、その時空間ダイナミクスを数理解析によって解明しました。次に、細い管の上でこのモデルを動かすと、どのような条件で分節パターンやらせんパターンが生じるのかを詳細に検討しました(図4)。最後にこのモデルを用いて、ヒトでもらせんパターンのみではなく、分節構造も少数ながら出現することを理論的に予測し、実際の組織でも観察することに成功しました。本研究は、今後、構造形成の分子メカニズムを解明する上での基礎となるとともに、不妊の原因となる精子形成異常を理解する一助となることが期待されます。
本研究成果は、2021年2月15日に「Bulletin of Mathematical Biology」にオンライン掲載されました。
(参考図)
図1:マウス精细管のステージのパターン。
図2:ヒト精细管のステージのパターン。
図3:反応拡散モデルによるパターンの再现。
図4:パラメータの変化により出现するパターンの分类。
生物学と数学の境界领域はまだ学问として若く、経験が浅くてもできる重要なテーマがたくさん残っています。本研究では学部学生が研究の主体でしたが、この分野では本人の热意があれば研究の最前线で戦えることを示せました。