Research Results 研究成果
抗原抗体反応を利用した光センサーの一つに、0.1尘尘ほどのサイズで光をよく闭じ込める微小光共振器からなる円盘型微小レーザー素子を利用する方法があります。
この円盘型微小レーザー素子に検出対象物が付着した际に、素子に含まれる抗原もしくは抗体と検出対象物が结合し、抗原抗体反応を起こすことで、素子から発生するレーザーの光スペクトル(色情报)が変化、対象物が検出できるというアプローチです。原理的にはウイルス1个程度でも検出可能な超高感度センサーが期待できますが、これまでの微小光共振器ではその表面に検出対象物を结合させるための抗原もしくは抗体を施すには特别な処理が欠かせませんでした。
九州大学大学院システム情報科学研究院の吉岡宏晃 助教、興雄司 教授、Abdul Nasir大学院生らの研究グループは、熱処理が不要で市販のインクジェットプリンターと同様の技術で印刷可能な抗原抗体検査で利用できる光センサーの開発に成功しました。
本研究は、抗原抗体反応に用いるビオチンという分子が常温で表面修饰可能な特殊ポリマー(日产化学株式会社より提供)と、独自の円盘型微小レーザー素子の印刷技术とを组み合わせることで成功させました。印刷及び计测のセットアップをポータブルにすることで、検体を専门机関に送らずその场で结果が分かる検査や家庭での简易検査などの実现が期待できます。
本研究成果は、2021年2月3日(水)公開のアメリカ光学会(OSA, Optical Society of America)のOptical Materials Express誌に当学会の公式ニュースリリースとともに掲載されました。本研究は、JST-CREST(JPMJCR20T4)、日本学術振興会科学研究費(JP18K14149, JP19KK0379, JP20J12903)の支援により行われました。
(参考図)円盘型微小レーザー素子は特殊なポリマーを混ぜたインクを用いて印刷されます(左)。そして、热処理フリーでビオチン分子を表面に修饰し、基準となるレーザー発振の光スペクトルを测定し(中央)、ターゲットであるアビジン分子が结合したのちに光スペクトルを再度测定すると波长のシフトが観测されます。
レーザー素子を印刷できるインクジェット印刷法は、実験室のような特殊な环境を必要とせず室温?大気圧下で利用できます。そのため、インクの段阶から様々な物质をブレンドできるため、适用可能な応用范囲がとても広く今后より研究発展させていくことが楽しみです。