Research Results 研究成果
バクテリアが増殖して形成するコロニーや、纸についた火の広がる様子など、境界面が不均一な形状をとりつつ拡大する様々な现象が「动的スケーリング则」と呼ばれる法则に従っていることが统计物理学の世界で明らかになってきました。しかしながら、どのような仕组みでこの法则が形成されているのか、多くの现象について解明されていないことが课题でした。
九州大学大学院医学研究院の小熊俊輝博士課程学生?今村寿子助教?三浦岳教授らの研究グループは、上皮細胞コロニーの拡大における「動的スケーリング則」が、「リーダー細胞」と呼ばれる運動性の高い細胞が出現することなどで形成されていることを明らかにしました。
研究グループはまず、実験的に観察された细胞运动を表现する数理モデルを构筑することで、细胞の运动性の差异や细胞接着の効果が「动的スケーリング则」を作り出すのに十分であることを示しました。更にこの数理モデルについて解析することで、スケーリング则の特徴量と细胞の运动性?接着性の直接的な対応を导出しました。この结果は、生命科学に限らずあらゆる「动的スケーリング则」を説明する上で有用なものだと考えられます。
本研究は、JSPS科研費JP18K06260の助成を受けたもので、研究成果は、2020年12月4日に、米国科学雑誌「Physical Review E」のオンライン版で発表されました。
参考図
(a) 上皮細胞コロニーの拡大図。ただ広がるだけではなく、境界面が時間とともに荒くなっている。
(b) 境界面における空間的なスケーリング則の例。領域長lとその領域における界面の荒さ w(l,t) がべき乗則に従う。
(c) リーダー細胞の顕微鏡画像(矢印)。高い運動能を持ち、周囲の細胞を牽引するようにして移動する。