Research Results 研究成果
九州大学大学院農学研究院 技術専門職員の鵜木(加藤)陽子博士、同研究院生物資源環境科学府博士課程2年の梅村啓太郎大学院生、同研究院の田代康介准教授らの研究チームは、ヤマメの全ミトゲノム解析*によって佐賀県嘉瀬川水系内の非在来系統の放流実態とそれによる在来ヤマメの危機的状況、さらに推定される在来集団の主系統を明らかにしました。
ヤマメは河川毎に分化し、固有の特徴(形态?性质?遗伝型)を持っています。放流で使用するヤマメの多くは别の河川に由来するため、安易な放流は、放流鱼との交雑により、元々住むヤマメ(在来ヤマメ)が持つ固有の特徴を失うリスクを伴います。在来ヤマメに配虑した适切な资源管理を行うには、そこに生息するヤマメの遗伝情报が必要ですが、九州ではヤマメの研究がほとんど行われておらず情报が不足しています。研究チームは、放流に使用されるヤマメの养殖鱼と嘉瀬川水系に生息するヤマメについて、従来法とは异なる全ミトゲノム解析を行うことで、水系内に放流された养殖鱼由来の遗伝子を指纹认証のように特定し、それら遗伝子の分布を明らかにしました。放流履歴のある河川は事前调査では5箇所でしたが、养殖鱼由来の遗伝子は水系内17箇所のうち13箇所で検出され、非公式な放流が広范囲で行われていることが示唆されました。养殖鱼の遗伝子型と一致しない遗伝子には在来のものが含まれていると推察され、嘉瀬川水系の元々の主系统の推定を可能にしました。本研究で得られた遗伝情报は、他の河川にも适用可能で、今后、环境顿狈础分析などによるヤマメの密放流の监视や推定される在来遗伝子のモニタリングなどに活用されることが期待されます。
本研究成果は、日本学術振興会科学研究費 (JP16H00474)および九州大学研究活動基礎支援制度の支援を受けて行われたもので、11月4日(水)午後2時(米国東部時間)に米国科学雑誌PLOS ONEに掲載されました。
*全ミトゲノム解析:ミトコンドリア顿狈础の全长を解析すること。
今後の資源管理で重要な事は、放流せずに在来ヤマメを守る场所と、放流して資源を利用する场所を分ける事です。また、放流だけでなく、河川環境や周辺の森林環境を整えることも大切です(産卵床の造成; 岩陰や淵、河畔林の再生; 人工林の適切な管理など)。 本研究結果を基に、適切な資源管理と在来ヤマメの保全が進むことを期待します。
农学研究院 鵜木(加藤)阳子 技术専门职员
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