Research Results 研究成果
目の中にある水晶体は加齢に伴い混浊(光学浓度が上昇)していき、光の透过率が低下します。水晶体がどのくらい混浊しているのか、どの波长の光をどのくらい通すのか(分光透过率)といった情报は、例えば白内障の诊断や视覚?色覚研究、体内时计の光同调作用を代表する非视覚研究などに役立つと考えられます。しかしながら、生体における水晶体の混浊度や分光透过率などを简便かつ同时に测定できる方法はこれまで确立されていませんでした。
九州大学大学院芸術工学研究院の樋口重和教授と同大学院统合新领域学府博士後期課程の江藤太亮大学院生らは、光を目に入射したときに現われる第4プルキンエ像(水晶体の後面からの反射像)を利用して、安全に簡便かつ短時間(現状約4秒)で水晶体の混濁度や分光透過率を測定可能なシステムをSingapore Eye Research Instituteの研究者と国際共同開発しました(特許出願済み)。本システムは、光を照射する光源装置と、プルキンエ像を取得するための撮像素子、解析用PCのみで構成されたシンプルなもので、将来的には持ち運び可能な小型デバイスの開発にもつながります。水晶体の混濁度だけでなく分光特性を評価することができるので、白内障の診断はもちろん、水晶体が関わる研究分野において新たな発見に貢献できる可能性が考えられます。
本研究成果は、2020年10月5日に「Scientific Reports」で公開されました。 (URL:)
本研究は闯厂笔厂科研费闯笔17碍18926の助成を受けたものです。
参考図
【开発システムの概要】复数波长(色)の光を入射したときの第4プルキンエ像を撮像する。
(上)様々な年齢の人において测定された波长别の光学浓度(分光光学浓度)。分光光学浓度の曲线下面积(础鲍颁)が混浊度の指标となる。(下)测定された分光光学浓度からモデル式によって推定された分光透过率。
现在普及している水晶体混浊度の测定机器は、大型で高価なものが多いのが现状です。本システムは、简便かつ迅速に混浊度の测定可能であるのに加え、小型で安価な装置を実现できます。さらに、分光透过率の情报も提供できるので、临床现场や研究分野などに幅広く普及してくれると嬉しく思います。
, Scientific Reports
顿翱滨:10.1038/蝉41598-020-73541-测