Research Results 研究成果
シロアリの巣内には、シロアリ以外にもシロアリと共生する昆虫が生息しています。シロアリの巣は特殊な环境であることから、これまで十分に调査が进んでいませんでした。
今回、国立科学博物馆とミャンマー森林研究所との共同研究プロジェクトによって、ミャンマーから初めてメクラシロアリコガネ属のコガネムシが発見され、九州大学総合研究博物馆の柿添翔太郎専門研究員、梁維仁訪問研究員、丸山宗利准教授とミャンマー森林研究所のKhin Mar Myint博士により、新種として発表されました。この新種は、小さな羽毛状の毛束を持つことからギリシャ神話の登場人物「イカロス」にちなんで、イカロスメクラシロアリコガネTermitotrox icarusと名付けられました。
この新种は后翅が退化しているため飞ぶことができませんが、自力で歩行する以外にも、シロアリによって运んでもらうことで巣内を移动する「运搬共生」を行うことが明らかとなりました。シロアリは卵や幼虫を运ぶ习性があり、この运搬行动は、コガネムシがシロアリの卵や幼虫であるかのようにシロアリを骗すことで生じていると考えられています。このような行动は报告例が少なく、メクラシロアリコガネ属では初の発见となります。
本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金(19H03285 および17J07016)の助成を受けて行われ、2020年(令和2年)7月28日(火)(現地時間12:00)付けでチェコの国際学術誌Acta Entomologica Musei Nationalis Prague誌に掲載されました。
(参考図)
シロアリによって运ばれる新种のイカロスメクラシロアリコガネ(写真:柿添翔太郎)
シロアリによって运ばれる新种の姿を见たときには、惊きのあまり2ミリほどしかないこの虫が、はるかに巨大に见えました。シロアリの巣内には、私达がまだ知らない世界が広がっています。これからも地道な调査を重ね、昆虫の面白さを明らかにしていきたいと思っています。