Research Results 研究成果
九州大学と国立環境研究所は共同で最近のPM?.?濃度の減少要因と化学組成変化を調べました。最近のPM?.?濃度の減少は、中国国内でも明らかになっており、例えば北京では2013年から2019年にかけて年平均濃度が102 ?g/m?から43 ?g/m?と58%も減少しています。中国のSO?、 NOxの排出量は2012年から2017年の間にSO? (63%減少)、NOx (25%減少)の変化を示していることから、特にSO?排出の減少が、PM?.?濃度減少の最大の要因と考えられます。福岡でもPM?.?濃度は2014年の18.4 ?g/m?から2019年で13.8 ?g/m?と減少し、福岡のPM?.?濃度は中国の濃度と非常に高い線形関係があります(図1)。中国ではSO?の減少率が最大で、NOx減少率はその1/3程度でNH?排出量の経年変動はこれらに対して少ないため、従来は硫酸アンモニウム(NH?)?SO?の形成に使われたアンモニアNH?が余剰となり、硝酸アンモニウムNH?NO?の生成?越境輸送量が増加しPM?.?の化学組成の変化が起こる可能性があります。九州大学応用力学研究所の鵜野 伊津志主幹教授と国立環境研究所などの研究チームは、これらの点について、国内汚染の影響を受けにくい長崎県福江島での野外観測(国立環境研究所実施)から、硫酸塩と硝酸塩濃度の2?4月平均濃度の経年変化に、硫酸塩の減少と硝酸塩の増加傾向を確認しました(図2上段)。更に、この傾向を、化学輸送モデルGEOS Chemを用いた発生源感度解析からも示しました(図2下段)。従来は硫酸塩がPM?.?の主要成分でしたが、今後は硝酸塩寄与の増加の加速が予想され、日本域に越境輸送?沈着する窒素N/硫黄S比が増加し、栄養成分が増加することで海洋?陸上生態系への影響も危惧されます。本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業基盤研究(B)(JP18H03359)の支援を受けました。本研究成果は、2020年4月15日(水)発行のScientific Reportsに掲載されました。
(図1):2010-2019年の年平均笔惭?.?浓度(北京、福冈)、中国の厂翱?排出量、人工卫星からの厂翱?カラム浓度、日本の环境基準达成率の経年変化
(図2)上:国立环境研究所による长崎県福江岛での硫酸塩と硝酸塩浓度(2?4月平均浓度)の経年変化
(図2)下 化学输送モデルの発生源感度解析の结果(颁狈罢尝は発生量の2010年时点の标準推定値を用いた场合、厂04狈08は中国の厂翱?を40%、狈翱虫を80%とした感度解析结果を意味する)モデル结果は観测期间に合わせて2?4月の平均値で4领域を示す。
2013年以降の中国での大気汚染物质の排出削减で笔惭?.?の浓度は急激に减少しましたが、主要な化学成分が従来の硫酸塩から硝酸塩に変调しつつあります。この倾向は新型コロナウィルス対策での社会システムのロックダウンによる汚染质変化を含め継続的な観测?解析が必要です。