Research Results 研究成果
平成29年(2017年)7月5日正午頃から夜にかけて,福岡県朝倉地方で最大6時間積算雨量が600mmを超える記録的な豪雨が発生し,同時多発的な斜面崩壊や土石流?泥流による甚大な災害が引き起こされました。6時間積算雨量が400mmを超える領域が東西20km,南北5km程度の極端に狭い範囲に集中している点が本豪雨の特徴ですが,これは同日正午頃に朝倉地方に発生した線状降水帯が,その後10時間以上も同じ场所に持続したことによるものです。本豪雨を引き起こした線状降水帯が10時間以上も停滞?持続する要因は,これまで明らかにされていませんでした。
九州大学大学院理学研究院の川野哲也助教と川村隆一教授は,高解像度数値シミュレーションによって,朝倉地方に记録的豪雨をもたらした线状降水帯の再现に初めて成功し,その発生?持続メカニズムの全容を解明しました(図1)。九州に豪雨をもたらしたこれまでの線状降水帯とはその発生環境場の点で大きく異なっており,日本海上で停滞した総観スケール高気圧のブロッキング効果が重要であること,また背振山系などの周囲の山岳よりもむしろ地表面加熱によるメソスケール前線の形成?強化が重要であることなどを明らかにしました。
本研究は闯厂笔厂科研费补助金(闯笔16贬01846,闯笔18碍03744)の助成を受けました。
本研究成果は,2020年5月12日(火)に国際学術誌「Journal of the Meteorological Society of Japan」に掲載されました。
図1: 平成29年7月九州北部豪雨発生メカニズムの模式図。
矢印は下层の空気の流れを示す。
10时间に及ぶ极端降水の持続もたらした线状降水帯を再现することに初めて成功しました。再现のみならずメカニズムの全容も解明したことで,今后の线状降水帯の予测研究の格段の発展が期待されます。